米国で技術系転職サービスを行っているDiceは1月19日（現地時間）、ITエンジニアの給与調査「The Dice Tech Salary Report 2022」を発表した。17年連続で毎年行っている調査で、同社CEOのアート・ジール氏は「技術者の平均給与は、この調査を始めてから初めて6ケタを突破し、かつ職場の柔軟性や健康面での変革も順調に進んでおり、技術者になるにはかつてない好機」と述べている。
調査は、2021年8月10日～10月10日に実施されたもので、7215人が回答した。失業中の回答者、学生、米国外で就労しているエンジニアは除いた、としている。
全回答者の平均給与は前年比6.9％、金額で6707ドル増加し、10万4566ドル（約1150万円）となった。17年前の調査開始以来、「初めての6ケタ（10万ドル）超え」という。
◎地域別
平均給与額のトップ3は、シリコンバレー（13万3204ドル）、シアトル（11万8729ドル）、ニューヨーク（11万5510ドル）で、これにボストン、サンディエゴ、デンバーが続く。増加率では、シアトル（11.2％増）とシリコンバレー（5.0％増）が上昇し、ニューヨーク（1.1％増）とボストン（3.5％増）にとどまったが、「これらの地域は“技術者ハブ”としての需要が継続していることを物語っている」と指摘している。Googleなどの大規模企業は、これらの地域に大型のオフォスを設けることを表明している、という。
新興のハイテク拠点では、アトランタが13.9％増と大幅に上昇し、マイアミ（11.4％）、フィラデルフィア（10.6％）、デトロイト（10.3％）の技術者も上昇した。
またレポートは、「テキサス州に注目」と記している。「テキサス州は、低い税金と手頃な生活費を武器に、カリフォルニアの企業や技術者を全力で誘致しており、過去数四半期の間に、オラクルやテスラなどの巨大企業が同州に新しい本社を設立した」という。
◎職種別
職種別のトップ3は、ITマネジメント（CxOやVPなど、15万1983ドル）、システム・アーキテクト（14万7901ドル）、クラウド・アーキテクト/エンジニア（14万571ドル）で、これにサイバーセキュリティ・エンジニア/アーキテクト、データアーキテクト、ビジネス/マネジメントコンサルタントが続く。
増加率が高かったのは、Webデベロッパー（21.3％増、9万8912ドル）、データベース管理者（アドミニストレータ）（12.4％増、11万1362ドル）、テクニカルサポートエンジニア（12.4％増、7万7169ドル）、データアナリスト（11.5％増、8万4779ドル）の順。「データの保存、クリーニング、分析、クラウド・アプリケーションの強化などに対応することが給与の増加につながっている」と指摘している。
◎技術別
技術別では、Apache Solr（14万3464ドル）、Mokito（14万366ドル）、SOA（Service Oriented Architecture、13万9961ドル）で、これにRabbitMQ、Elasticsearch、Redisが続く。ただし、Apache SolrとMokitoについては「回答数が100件以下で、統計的価値はない」とも付け加えている。
技術別については、以下のようにコメントしている。
「企業はエンタープライズレベルのインフラ、特にデータストレージやディスカバリー、クラウドに関連するスキルには喜んで高い報酬を支払う。たとえば、Hadoop、HANA、PaaSなどは以前から高額な報酬を得ている。また、Tensorflowやニューラルネットワークにも注目したい」
「一方、Ruby（12万8689ドル、2019年～2021年で12％増）、JavaScript（10万9833ドル、2019年～2021年で8.9％増）、Python（11万6498ドル、3.9％増）などのプログラミングスキルは、クラウドやデータ関連ほどの給与額はないが、レガシーコードの保守や新しいアプリケーション／サービスの構築に不可欠。これらの言語を学ぶことで安定かつ多様な仕事を得られるが、技術者は、これらの言語知識を最新に保つ努力が必要である」
なお、給与が上昇した理由は、「昇給」（34％）、「転職」（21％）、「昇進・職掌変更」（10.0％）などとなっている。
調査レポート「The Dice Tech Salary Report 2022」
https://www.dice.com/recruiting/ebooks/dice-tech-salary-report/salary-trends/
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