電通は、国内電通グループ横断でAIに関するプロジェクトを推進する「AI MIRAI」のもと、全国15~69歳の男女3000人を対象に、第3回「AIに関する生活者意識調査」(以下「同調査」、調査期間:2024年7月18日~7月22日)を実施した。
同調査は、生活者のAIに関する認知、活用状況、期待・不安、課題などの傾向を把握し、AIへの理解促進や関連ビジネスの成長、ひいては産業の発展に貢献することを目的に実施された。同調査で得られたのは次のとおりである。
◎AIサービスを使用している人は、3割超(33.4%)。世代別では15~19歳が多い。特に15~19歳男性が最も多く、6割弱(58.9%)が使用している。
◎AIに対して不安に感じることは、「AIにより世の中にフェイクニュースや誤情報が増えること」(35.9%)、「AIが生成した情報に偽情報が含まれている可能性があること」(31.6%)、「AIをうまく使いこなせる自信がないこと」(28.3%)の順に多い。
◎従業員数500人以上の一般企業では、3割弱が生成AIをビジネスで活用。活用検討中まで含めると4割を超える。
◎一般企業における人手不足対策としてのAI導入意向は、8割超(80.8%)。人手不足対策、コスト対策、ビジネスチャンスのいずれの目的でも前回調査(2023年11月)より増加。特に、半年以内の導入意向が大きく増加。
◎一般企業におけるAIサービス導入前後に共通した課題は、「運用・導入コストが高い」「社員に対する教育・研修が必要」「知識・技術を備えた専門スタッフが必要」。
◎調査担当者の解説
今回の調査では、AIサービスを使用している人は3割超で、世代別では40代女性と60代男性が伸びていることがわかった。2023年に生成AIについて生活者が耳にしたり触ってみたりする機会が増え、2024年は幅広い層に裾野が広がったことがうかがえる。
一方で、好奇心旺盛な15~19歳女性や、ビジネスの場でAIが身近になった30代男性では、AIサービスを使用している人が前年より減っているが、この世代はAIが話題になった2023年にAIサービスを試してみたものの、自身の業務や実生活ですぐに使うイメージが伴わず継続使用はしていないのではないかと推察される。
また、AIのメリットと同時にデメリット(偽情報やフェイクニュース、権利侵害などへの不安)にも生活者の目が向くようになったと考えられるものの、AIの導入を検討中の一般企業従事者は増加しており、各企業が本腰でAIの導入を検討し始めたと言えそだ。
今後この流れは一層進み、AIの恩恵を受ける場面が各所で生まれる一方、AIの使用にまつわるトラブルの増加が危惧され、その対応に必要なルールづくりなどが急がれるのではないだろうか。
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