電帳法対応、待ったなし!❷
電帳法対応製品と
電子帳票ソリューションとの違い
電子帳簿保存法(以下、電帳法)は、電子取引データの保存に関する宥恕(猶予)措置が終了し、書面保存は廃止され電子保存が義務化される(ただし、2022年12月発表の令和5年度税制改正大綱で、電帳法の一部要件緩和や対応の選択肢の追加が発表されている)。
そのスタートまで残り10カ月。ベンダー各社はここぞとばかりに営業・マーケティングを加速させている。
図表1は、市場で流通している帳票ソリューション製品のカバレッジを、「帳票作成」「帳票出力」「電子保存」「電帳法対応」に分けて整理したものである。
ここで電帳法対応を実現する製品は「電帳法対応」をカバーする製品のみで、「帳票作成」「帳票出力」「電子保存」の機能だけでは「電帳法対応」にならないことに注意していただきたい。こう書くのは、電帳法自体のわかりにくさもあって、電帳法対応製品とはどのようなものか、一般に理解に混乱が見られるからだ。
また電帳法には「帳簿」「書類」「スキャナ保存」「電子取引」の4つの区分がある(図表2)。この4つの区分と帳票ソリューションの4つの機能が“ごっちゃ”になり、混乱の一因となっているようだ。
日鉄日立システムエンジニアリングの大谷哲也氏(産業流通ソリューション事業部デジタルドキュメントソリューション部シニアマネジャー)は、「電帳法への対応は、業務の効率化とペーパーレス化の観点から、帳簿・書類のデータ保存、スキャナ保存、電子取引のそれぞれに個別対応するのではなく、それらすべてに対応し、業務オペレーションの統一と一元管理を可能にするツールの導入がおすすめです」と説明する。
大谷 哲也 氏
日鉄日立システムエンジニアリング株式会社
産業流通ソリューション事業部
デジタルドキュメントソリューション部
シニアマネジャー
システム構築のしやすさ
使いやすさという要件
ユーザーがツール/ソリューションを導入する際、機能に加えて運用面も視野に入れる。つまり自社の実状にあうのか、“非機能要件”も重要な検討要素になる。
ここで日鉄日立システムエンジニアリングのPaples(パピレス)を例に、電帳法対応に必要な要素を探ってみたい。同製品を取り上げるのは、長い歴史をもち、1パッケージで帳票作成・出力から電子保存、電帳法対応まで幅広くカバ—し、電帳法の4つの区分すべてに対応可能なことをうたっているからだ。すなわち、「帳簿」「書類」はデータアーカイブ機能で、「スキャナ保存」「電子取引」はドキュメント管理機能で、さらに業務系帳票の控えは電子帳票機能で統合管理できる。
Paplesは1994年にメインフレーム向けの電子保存ツールとして誕生した。それ以降、上位プラットフォームへの対応を拡大するとともに(IBM iへの対応は2011年)帳票作成など電子帳票基盤としての機能を継続的に強化し、2009年からは電帳法に取り組む企業が増えつつあるのを受けて「電帳法システムコンサルティング」をスタートさせている。そして2018年以降は、電帳法の改正や国税庁の「一問一答(電子帳簿保存法Q&A)」の追加などにあわせて、「その都度、機能の追加・拡張を続けています」(大谷氏)という(図表3)。
図表3 Paplesの主な歩み
一方、法律対応のほかに、使いやすさやシステム構築のしやすさのための拡張・改良も継続している。大谷氏はその理由として「お客様の取り組みの変化」を挙げる。
「従来の帳票ソリューションは、大企業では事業部ごとに、中堅・中小企業では部門単位に導入するケースが多くありました。しかし最近の電帳法対応では“全社まとめて”というご要望が少なくありません。そのため、より大規模な帳票処理への対応とお客様のさまざまな帳票オペレーションを想定した機能の追加、さらにはカスタマイズやSIによる作り込みが必要になる場合も増えています」(大谷氏)
Paplesは2022年に電子帳票エンジンを抜本的に改築し、製品のスケールアップを図った。
「アーキテクチャを再設計し高速化したのに加えて、帳票の格納数を数百万件から数千万件へと拡大しました。またPaplesへの同時ログイン数も大幅に増やし、企業ワイドで余裕をもってご利用になれる環境を整えました」と、産業流通ソリューション事業部の川崎太雅氏(デジタルドキュメントソリューション部チーフ)は説明する。これにより、他システムで1年分の帳票しか格納できなかったユーザーがPaplesへの移行後、「10年分を楽に格納できるようになりました」という。
川崎 太雅 氏
日鉄日立システムエンジニアリング株式会社
産業流通ソリューション事業部
デジタルドキュメントソリューション部 兼
デジタルテクノロジー研究開発センター
チーフ
上位システムと
スムーズな連携が可能か
追加済みの機能としては、さまざまな上位システムとの連携機能などがある。
「Paplesは多様な取り込み口を備えているので、さまざまな上位システムとのスムーズな連携が可能です。そしてスムーズな連携だけでなく、電帳法活用基盤としてPaplesが追加されても、お客様の業務オペレーションに負荷をかけないようにするのが当社の強いこだわりです。つまりオペレーションは以前のままでも、システムの裏側で自動で電帳法対応が完結するような仕組みをご提案しています。電帳法への対応ではオペレーターや業務部門の負荷を増やさないことが、結果的に法令遵守の徹底につながると考えています」と大谷氏。「その意味で、電帳法に特化したシステムコンサルティングを行えることがPaplesの大きな強みです」と強調する。
そのほかの追加機能としては、たとえば「定期検査ツール」がある。タイムスタンプの押印日時やスキャン画像の解像度などを自動でチェックする機能である。スキャナ保存要件の改正にあわせて開発したものだが、現在は要件が緩和され法律的には不要となっている。「ただしお客様からは押印処理が社内規定や内部監査基準に合致しているか、改ざんされていないかをチェックするのに便利との評価をいただいています。こうした便利機能は、今後ますます必要になると考えています」と、川崎氏は語る。
電帳法対応ツールの使いやすさやシステム構築のしやすさ、処理性能やパフォーマンス、保守性などの非機能的な要素は、ベンダー各社のWebサイトやパンフレットではほとんど明記されていない。しかし実際の利用シーンでは欠かせない要素なので、電帳法対応ツールを検討する際は、ベンダー各社に問い合わせてみることをおすすめしたい(図表4)。