IBMは6月30日、サイバー攻撃者がDDMアーキテクチャの脆弱性を突き、CLコマンドを実行する恐れがある、と発表した。
影響を受けるIBM i OSバージョンは、
・IBM i 7.5
・IBM i 7.4
・IBM i 7.3
・IBM i 7.2
以下の脆弱性が指摘されている。
CVE-2023-30990
IBM iには、DDMアーキテクチャの脆弱性により、攻撃者がQUSERとしてCLコマンドを実行し、クロスサイトスクリプティング(XSS)を引き起こす恐れがある。
この脆弱性は、ページを一覧表示するための外部Wikiメソッドにおいて、ユーザーから提供されたデータのサニタイズ(テキスト上の「&」や「>」などの特殊文字を一般的な文字列に変換する処理)が不十分なために生ずる脆弱性で、Webサイトに設置された入力フォームなどから、悪意のあるスクリプトコードが入力されると、さまざまな被害にあう恐れがある。
CVSSベーススコアは、5.6(警告)。
対処法
IBM i 5770-SS1ベースのOSバージョンには、以下のPTFを適用することにより修正できる。
IBM i OSバージョン | PTF番号 | ダウンロード・リンク |
7.5 |
SI83472 |
|
7.4 |
SI83473 |
|
7.3 |
SI83474 |
https://www.ibm.com/support/pages/ptf/SI83474 |
7.2 | SI83475 |
・Security Bulletin: IBM i is vulnerable to an attacker executing CL commands due to an exploitation of DDM architecture (CVE-2023-30990)(英語)
https://www.ibm.com/support/pages/node/7008573
◎IBM i・Power関連の脆弱性情報(2023年1月~現在)
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・IBM Db2 Web Query for iの脆弱性を再度「警告」 ~IBM Toolbox for JavaのJava文字列処理に起因、IBM i 7.4・7.5で稼働
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・Power9・Power10のPowerVMに最高レベルの脆弱性 ~特権昇格の恐れ、IBMは修正版ファームウェアのインストールを強く推奨
・OpenSSL for IBM iに複数の脆弱性、DoS攻撃や機密情報漏洩の恐れ ~IBM i 7.2~7.5の各OSバージョンに影響
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・IBM i用のIBM HTTP Serverに複数の脆弱性 ~IBM i 7.2~7.5に影響。HTTPレスポンス分割攻撃やDoS攻撃を受ける恐れ
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・IBM iのWAS Libertyに、HTTPヘッダーインジェクションの脆弱性、IBM i 7.2~7.5に影響 ~さまざまなDoSを受ける恐れ、スコアは最高7.5(重要)
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[i Magazine・IS magazine]