クラウドネイティブ・コンピューティングの推進団体CNCF(Cloud Native Computing Foundation)は、年次報告書「CNCF Annual Report 2021」を公開した。
冒頭でCNCFゼネラル・マネージャーのプリヤンカ・シャーマ(Priyanka Sharma)氏は、「2021年はプロジェクト、イベント、クラウドネイティブ・エコシステム、メンバーシップ、コミュニティなどすべての分野で記録的な成長を遂げました」と述べている。
プロジェクト数は2021年中に42増えて120に、コントリビュータは89カ国から参加があり14万2000人以上に、メンバー数は200社以上の増加(前年比23%増)があり740社以上に、エンドユーザー・コミュニティは24グループ以上が参加し(前年比17%増)164グループ以上になった。
プロジェクトの内訳は、KubernetesやEnvoy、Prometeusなど成熟段階に区分される「Graduated」が16、成長段階の「Incubating」が26、スタート段階の「Sandbox」が78。2021年中にLinkerdとOpen Policy Agentの両プロジェクトがIncubatingからGraduatedへ、FluxやKedaなど7つのプロジェクトがSandboxからIncubatingへ“昇格”した。
報告書はKubernetes関連のイベントの成果についてページを割いてレポートしている。
そのうちの1つで、オープンソースやクラウドネイティブの教育・コラボレーション・ネットワーキングを目的とし、2021年に内容を改めて再スタートした「Kubernetes Community Days」(KCD)は、世界12カ国で計12回開催され、7500人以上が参加した。「英語、中国語、イタリア語、スペイン語、韓国語、インドネシア語でプレゼンが行われた」と記している。
また、KubernetesとCNCFがホストするプロジェクトの最新情報の報告をテーマとする「KubeCon+CloudNativeCon」は欧州・米国・中国の3カ所で開催され、それぞれ2万6648人(欧州)、2万3164人(米国)、7160人(中国)の登録・参加があった。
また、トレーニングへの参加も大きく増加した。
Kubernetesのオンライン学習コースの受講者は39%増加し22万9000人に、認定資格の「Certified Kubernetes Application Developer」 (CKAD)は3万4000人、「Certified Kubernetes Administrator」 (CKA)は7万人、「Certified Kubernetes Security Specialist」(CKS)は8450人がそれぞれ登録し受験した。また認定のサービス・プロバイダー(Kubernetes Certified Service Provider:KCSP)は28%増加して230社に、認定トレーニングパートナー(Kubernetes Training Partner:KTP) は14%増加して57社になった。
今回の年次報告書は、クラウドネイティブ・コンピューティングがグローバル規模で急速に拡大しつつあることを映し出している。報告書は、「CNCFにとって2021年の最も重要な変化は、CNCFの定義が、テクノロジーの開発と提供方法を根本的に変革しようと活動する世界のさまざまなコミュニティを包含するものへと進化したことです」と記している。
・年次報告書「CNCF Annual Report 2021」
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