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クレスコ・ジェイキューブ、4月1日に高木システムを吸収し経営統合 ~シナジー効果により「IBM iビジネスに3つの新たな価値を創造」

高木システムとクレスコ・ジェイキューブは2月7日、「TREE 未来に向けたビジネス・プラン説明会と感謝の集い」と題するイベントを東京・品川の品川プリンスホテルで開催した。

同イベントは、昨年(2024年)10月に親会社・子会社の関係になったクレスコジェイキューブと高木システムが、「子会社化に伴うTREEユーザーの不安を払拭し、両社のシナジーによるTREEのさらなる成長プランを具体的に示す」(両社の代表取締役を兼任する深井淳氏)目的で開催されたもの。

TREEは、電気・電子部品や電設資材、機械部品の製造・流通業向けの販売物流システムで、高木システムでは1986年にシステム/38版をリリースして以降、約40年にわたって継続的に機能強化を継続してきた製品。ユーザー数は「100社以上」で「中堅のIBM iユーザーが多い」と、深井氏は話す。

今回のクレスコ・ジェイキューブによる高木システムの子会社化は、IBM i市場の1つの動きとしても注目に値する。

IBM iベンダーの多くは今、ユーザーが直面する多様な新しい課題への自社単独での対応に困難を抱えている。そうした背景の下、従来の営業・マーケティング面の協業を超えるベンダー間の新たな提携・協業が模索され一部で進んでいるが、クレスコジェイキューブと高木システムの経営統合の動きは、今後の1つの形を示す可能性がある。

深井氏は「高木システムの強み」として、以下の3点を挙げる。

・IBM iビジネスを中心に、基幹業務システム「TREE」を37年にわたり構築
・電気・電子、電設資材、機械部品商社を中心に100社以上の強固な顧客基盤
・基幹業務システムを短期間で構築、成功裏に完遂する堅実なSI力

一方、クレスコ・ジェイキューブについては、次の3点が強みだという。

・IBM iのノウハウや業務実績をもち、多くのIBM i開発人材を抱える
・IBM iで稼働する人事・給与・経理・ワークフローパッケージに強みをもつ
・クレスコ・グループの中核企業として人材採用、人材育成力をもつ

両社は今回のイベントで「2025年4月1日の経営統合」を発表した。クレスコジェイキューブは高木システムを吸収して1つの会社になる。深井氏はこの経営統合によって、IBM iビジネスにおいて「次の3つの新たな価値を創造します」と説明した。

・人材の融合と相互活用により新たな価値を生み出す
・両社が強みをもつ販売チャネル、サービス、ノウハウを融合することで相乗効果を生み出す
・お客様に今まで以上に「わくわくする」ようなソリューションとサービスの提供

クレスコジェイキューブではこのための施策として、2025年4月1日に組織改編を実施し、TREE事業部を新たに設ける(このほかPower事業部も新設し、5事業部体制とする)。
 
TREE事業部には、高木システムの現在の開発部がそのまま移り、「営業部はクレスコ・ジェイキューブのストラテジックマーケティングオフィスに合流する」(深井氏)という。
 
また昨年10月にスタートさせた「TREEカイゼン会議」を今後も継続していく。同会議は、「すべてのソリューションは、お客様のお困りごとから」の考えに基づき、顧客の声やフィードバックをTREEの開発メンバーが検討し、機能やデザイン、使いやすさのための改善に反映させていくためのもの。「ゆくゆくは新しいTREE製品の開発につなげていく予定」と、深井氏は述べる。
 
TREEは、1986年以来、3年ごとにバージョンアップを続け、最新版は2023年リリースの「TR23」になる。「次は2026年のTR26、その次が2029年のTR29のリリースを予定しています」と、深井氏は続ける。
 
今回のイベントに参加したTREEユーザーの1社は、「高木システムが買収されると聞いた時は、当社が基幹システムとして長年利用してきたTREEが今後どうなるか不安でしたが、今回のイベントに参加してその不安や懸念は払拭されました。それに加えて、IBM iのみならずオープン系やクラウドなどの多様なIT技術に通じ、豊富な業務経験ももつクレスコ・ジェイキューブと一体になったことで、TREE以外のシステムについても相談していけそうだという期待がもてました」と語っていた。

[i Magazine・IS magazine]

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