緊急事態宣言中でも
発送作業のため出社が必須
月刊「総務」が昨年（2020年）6月の緊急事態宣言中に行った調査によると、同期間中に企業の総務部門で完全にリモートワーク対応ができていたのは、調査320社中わずか5社、1.6％という結果だった。
内訳を見ると、
・交代制で毎日ではないが週に数回出社した：40.0%
・交代制で毎日最低でも１人は出社するようにした：33.1%
・ほとんど毎日出社していた：25.3%
・完全にリモートワークだった：1.6%
というもので、緊急事態宣言の発出中でも出社せざるを得ない総務部門の状況が浮き彫りになっている。
そしてその出社理由を見ると、「郵便物の対応」（79.7%）がダントツのトップで、2位「契約書等の押印」（60.3%）を20ポイント近くも引き離している（図表1）。
この「郵便物の対応」のなかには、到着する郵便物への対応・管理のほかに、郵便物をPDFにして在宅勤務中の社員へ送信するといった作業などもあるようだが、圧倒的に多くの工数・時間を占めるのは請求書や納品書などの発送業務である。月末・月初、あるいは週次・月次で定期的に作業がめぐってくる。
請求書などの発送では、請求書・明細書を印刷し、送付先ごとに送付物を仕分けて紙を折り、封入して封かんするという作業が必要になる。
この発送作業は、送付物が1種類であれば作業は比較的容易である。しかし送付物が2種類も3種類もあり枚数も種別ごとに違っていたりすると、手慣れた担当者でなければ所定時間内に作業を完了させるのは非常に難しい。そのような発送作業の「送付先別の仕分け（名寄せ）」を日本のかるた遊びになぞらえて“かるた取り”と言ったりするが、それくらい複雑なので、一連の作業の機械化・IT化はきわめて困難と考えられてきた。
納期短縮、コスト削減のほか
誤発送防止の効果も
ところが、IBM iで印刷した帳票用紙を封入封かん機のトレイにセットするだけで、送付物の種類が複数あり枚数がまちまちであっても仕分け（名寄せ）・紙折り・封入・封かんの一連の作業を自動的に行えるソリューションが出てきている。
編集部が現在確認できているソリューションは、ピツニーボウズジャパンの封入封かん機（Relayシリーズ）とバーコード生成ソフト「PlanetPress Suite」（Objectif Lune社製、ピツニーボウズジャパンが販売）、およびIBM i用PDF作成ソフト「UT/400-iPDC」を組み合わせる方法である。
IBM i上でUT/400-iPDCにより作成されたPDFファイルをPCサーバー上のPlanetPress Suiteが受け取り、そのPDFファイル上の伝票番号と得意先コードから仕分け・名寄せ用バーコードを生成し、PDFファイルにスタンプ。それを印刷してピツニーボウズジャパンの封入封かん機にセットすると、一連の処理が自動でなされ、そのまま郵送できる状態になる。
このソリューションを利用すると、担当者2人が10時間かけて行っている800通の請求書発送作業を、1人で行え30分で完了できる。しかもその1人は機器の操作だけである。そして人件費や封入封かん機のリース費用などを含めても約40％のコスト削減効果がある。
また導入メリットはこのほかにもある。重要なのは、誤封入や誤発送の防止である。JIPDEC（日本情報経済社会推進協会）が行った調査によると、個人情報を扱う際の事故原因のトップは「誤送付」（57.9％）で、そのうちの半数以上を「封入ミス」と「郵便物の宛名間違い」の合計が占める（「個人情報の取り扱いにおける事故報告集計結果」2018年度版）。
前述の「担当者2人」も、1人は封入ミス・宛先間違い防止のためのチェック要員だ。しかし、IBM i用PDF作成ソフト+バーコード生成ソフト+封入封かん機の組み合わせなら、バーコードに基づいて仕分け・封入処理がなされるので誤封入などの間違いは起きない。
企業が取引先や顧客向けに発送している送付物は、請求書・通知書・案内状など多岐にわたる。在宅勤務を含む多様な勤務形態がニューノーマルになりつつある現在、IBM iの帳票発送作業を再点検する時期にきているのではないだろうか。
［i Magazine・IS magazine］
