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事例|日星電気株式会社

POINT

・海外生産体制の拡大で災害対策シナリオを見直す
・バックアップ機の強化とデータセンターへの委託に着手
・コスト削減の観点から「Hybrid SYNC」へリプレース


海外生産の増大で

災害発生時の要件が拡大

電気絶縁材料の開発・製造メーカーとしてスタートした日星電気は幅広い技術領域に挑戦し続け、現在は自動車や電機など多様な産業分野にさまざまな電気・電子部品を供給している。主力とするのは、フッ素樹脂関連製品の「ハイフロン」、シリコンゴム関連製品の「ライカル」、そして光ファイバー関連製品の「ライコム」の3ブランドである。

1993 年に中国、1999 年にはベトナムでの生産に着手するなど、早い時期からグローバル展開を開始。各種機器の小型・薄型化への対応、環境への配慮、さらには未知の領域への挑戦という視点から、省資源製品(少量の資源で高付加価値)の開発およびニッチマーケットの開拓に注力している。

同社は想定される東海地震の震源域に近い静岡県浜松市に本社を置くため、早くからシステム面の災害対策に取り組んできた。2004 年には、販売管理や生産管理などの基幹システムを運用する本社のSystem i(9406-520)に対して、大阪営業所にバックアップ機を導入。HAソリューションを利用して、本番機とバックアップ機間でリアルタイムなデータレプリケーションを実現した。

しかし2011 年初頭から、従来の二重化体制の見直しに着手した。その背景には、リーマンショック以降、急激に進展する生産体制のグローバル化がある。

現在、同社は中国・ベトナムに生産拠点4 カ所、販売拠点2 カ所の合計6拠点を展開しており、海外工場での生産量は全体の約80%を占めるまでに増大している。

「 2004年にバックアップ機を導入した当初は、今ほど海外生産量が多くはなかったため、災害発生時にバックアップ機へ切り替えた場合も、海外拠点から在庫や受注残の参照ができればよいとの考えで設計を進めました。そのためアクセス可能な端末台数も、1 拠点当たり3~5台程度で十分だと見積もっていました」と当時を振り返るのは、業務部情報システム課の鈴木宣彦氏(コーポレート部門 業務統括グループ)である。

しかし2005 年に生産管理・販売管理・財務会計の各システムを海外製ERPソリューションにより再構築した頃から、データ処理量が急増。また海外生産の拡大に伴い、災害発生時の役割は年を追うごとに重要度を高めつつあった。

国内の生産拠点としては本社工場をはじめ、竜洋工場、龍山工場の合計3拠点を擁するが、いずれも静岡県内にあり、本社が被災した場合はどの工場も生産が停止すると想定される。そのため災害発生時は、海外工場での全面的な代替生産体制が求められる。事業継続上はバックアップ機へ切り替えて、参照だけでなく生産・出荷に必要な全業務を利用可能にする必要がある。

ところが大阪営業所にあるバックアップ機(9406-800)では、性能的な限界からこうした災害時の業務要件を十分にサポートできない。またアクセス可能な端末台数も30台程度と、海外6拠点の総導入台数の10 分の1 程度であった。そのため2011 年に入って、まずはバックアップ機の更新が検討されたのである。

小楠 敦夫氏 取締役兼執行役員 コーポレート部門 業務統括グループ担当
小楠 敦夫氏
取締役兼執行役員
コーポレート部門 業務統括グループ担当


コスト削減と性能向上に向け

HA 製品をリプレース

この検討に際しては、マシンだけでなく、HAソリューションのリプレースも対象になった。主な理由は、保守料金が高額であったため、よりライセンス価格の低額な製品に切り替えてコスト削減を図ることにあった。

また開発元が国内ということもあり、海外製品と比較すると、迅速なサポートを受けられること。既存のHAソリューションではユーザープロファイルのレプリケーション時に権限が譲渡されない、DB に項目を追加する際、いったんバックアップ機側のDBを削除してから転送・同期する必要があるなど、運用上の課題を解決したいとの理由もあったようだ。

さらに東日本大震災の発生で、バックアップ機をデータセンターに委託する案も急浮上した。そこでコストパフォーマンスや性能面を評価して、ベル・データが提案したHAソリューション「Hybrid SYNC」(ヴィンキュラムジャパン)の採用を決定した。新しいマシンの導入とベル・データのデータセンター委託も併せて採用し、2011 年12 月から新しい環境での二重化体制がスタートしている。

「Hybrid SYNC は十分な性能を備えているのに対し、ライセンス価格が低額で、保守料は以前と比較して5 分の1程度に削減できました」と語るのは、堀公一係長(コーポレート部門 業務統括グループ 業務部 情報システム課)

堀 公一 氏 コーポレート部門 業務統括グループ 業務部 情報システム課 係長
堀 公一 氏
コーポレート部門 業務統括グループ
業務部 情報システム課
係長

災害発生時には、小楠敦夫取締役兼執行役員(コーポレート部門業務統括グループ担当)を長とする災害対策委員会が緊急招集される。本番機が利用不能になった場合は、小楠氏が衛星電話で大阪営業所にバックアップ機への切り替えを指示。そこからベル・データへ連絡し、データセンター要員が切り替え作業を実施する。各端末へのアクセス先切り替えの指示なども大阪営業所が伝達する流れで、現在細かな運用マニュアルを策定している。

「現在は本社への一極集中を避け、受注や資材調達・発注などの一部業務を香港へ移管する計画で、業務や組織の見直しを進めています。グローバル市場を見据えた国際競争力の強化とリスク分散の2 つの観点から、業務の分散化を図っていく考えです」(小楠氏)

グローバル化時代を見据え、災害対策時の想定シナリオも随時書き換えていくことになるようだ。img_56f53a73b2bea

鈴木 宣彦 氏 コーポレート部門 業務統括グループ 業務部情報システム課
鈴木 宣彦氏
コーポレート部門 業務統括グループ
業務部情報システム課

COMPANY PROFILE

設 立:1969年
本 社:静岡県浜松市
資本金:17億7666万円
売 上:305億円(2010年11月期)
従業員数:600名
http://www.nissei-el.co.jp/

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