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事例|株式会社西井塗料産業(株式会社ニシイ)

判断・展開のポイント

・サーバーとWindowsの更新で多額のコストが発生
・クラウドを利用して販売・仕入管理システムを統合化
・OSを更新してもIBM i のプログラムはずっと使用できる

Windowsのバージョンアップで
既存プログラムに手直し発生

西井塗料産業は、塗料を扱う専門商社である。福岡3拠点を中心に、九州全域に販路をもち、建築用・工業用の多彩な塗料製品を法人および個人向けに供給している。

塗料は単に表面に色をつけるだけではない。建物内部の湿気を逃がし、外からの雨水を遮断して建物の耐久性を高める外壁用塗料や、電気製品から放出される電磁波をカットする電磁波シールド塗料、あるいはタバコやペットの臭いを寄せつけない防臭性塗料など、多様な機能性を備えている。

同社はそうした製品の特性を考慮しつつ、コストパフォーマンスを最適化し、用途に合わせた効果的な塗料・工事・対策を提案するエンジニアリングサービスの提供にも力を入れている。

もともと同社は20 年以上にわたるNECのユーザーである。当初は外部の電算センターにある汎用機を利用して、データ集計や請求書の発行などの業務を処理していた。

近年はVisual BASICを使って開発した販売・仕入管理システムをNECのPCサーバー(Express5800シリーズ)上で運用。サーバーは外部のデータセンターへハウジングするなど、アウトソーシングを軸に最小限のシステム人員で効率的な運用体制を確立してきた。

また物流センターでは独自にPCサーバーを導入し、販売管理とは別系統のピッキングシステムを運用している。

「こうした運用を10 年近く続けていましたが、2010年にはExpress5800の保守期間が終了し、修理部品などの供給が停止するためサーバーの更新が必要になると、NECから通知されていました。またその際、Windowsのバージョンアップに伴って、販売管理プログラムのほぼ作り直しに近いコンバージョンや、ターミナルサービスを利用するため導入していたMetaFrameもバージョンアップが必要になると判明しました。こうしたハードウェアの更 新やソフトウェアのバージョンアップ およびコンバージョンには、相当額のコストが必要になるとの試算が出ました」と語るのは、システム運用を担当する推進本部営業システム課の中原隆 一課長である。

そこでこれを機に、別々に運用している販売・仕入管理システムとピッキングシステムを統合し、システム在庫と実在庫を合致させたリアルタイムな 在庫管理システムの実現を目指すべく、基幹システムの再構築を決断したのである。

西井 一史 氏 代表取締役社長
西井 一史 氏
代表取締役社長

Powerクラウドセンターで
新システムを稼働

NECはもちろん、富士通、日立などの国産メーカーから相次ぎ、PCサー バーでのシステム開発案が提案された。そうした時、西井一史代表取締役 社長はある経営塾で懇意にしていた福 岡情報ビジネスセンターの武藤元美社長の言葉が強く印象に残った。

「Windows上で構築する限り、必ず次のバージョンアップでもプログラムの手直しや更新が発生する。しかしIBM iであればプログラム資産は完全に継承され、ずっと使い続けることができる、との話に大きく心が傾きました。OSの更新のたびに作り直す必要がない。それこそアプリケーションの本来の姿です」(西井社長)

福岡情報ビジネスセンターが提案したのは、同社のクラウドサービスである「Powerクラウドセンター」を利用し、IBM i上で統合販売・仕入管理システムを開発して、Webで利用する案であった。Power 720 上で販売・仕入管理システムのビジネスロジック部分をILE RPGを使って開発し、Webで運用するフロントエンド部分はPHP とJavaScriptで開発。物流センターにはハンディターミナルを導入する。

「もともとサーバー類は全てハウジングしており、手元に持たないことによる運用管理の快適性は十分認識していました。また福岡は地震や水害を経験しており、災害対策の観点からも、堅牢なデータセンターにサーバーを置く今回のクラウドサービスの提案を評価しました。サーバーの購入費とハウジングサービスの利用料を合わせた額が、クラウドサービスの利用により減額されるコストメリットも魅力でしたね」(西井社長)

Powerクラウドセンターの採用決定は2010年春。同年5月からプロジェクトがスタートし、販売管理、仕入・支払、ピッキングシステムと段階的に運用を開始。同時にIPアドレスの変更やネットワーク回線の見直しにも着手した。MetaFrameの利用時と同様のレスポンスをWeb環境で確保するため、パフォーマンスチューニングを重ね、新システムが全面的に本稼働したのは2011年12月のことである。

今回の再構築では、システム開発コストはソフト資産として5年償却。サーバーの利用はクラウドサービスとして月額料金で支払う。初期費用は高いが、以前使用していたExpress5800 の保守料、ハウジングサービス、通信の利用料金の総額と比較すると、月額のコストはクラウドサービスの方が約20%程度削減されるため、5 年でその差額は取り戻せるという。

「以前のシステムでは営業拠点からのリクエストにきめ細かく応じていたため、数多くの例外処理を認めざるを得ませんでした。しかし今回はシステム再構築を機に原則的に例外処理を認めず、ガバナンスの確立を目指しました」(中原氏)

新たな基盤の構築で、今後はさまざまな業務改革に着手する体制が整った。またWebアプリケーションとして完成しているので、営業マンにスマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスを携帯させ、外出先からの在庫照会といった新しい使い方も可能にする計画とのことである。img_56e7a04462cd0

中原 隆一 氏 推進本部 営業システム課 課長
中原 隆一 氏
推進本部 営業システム課
課長

CompanyProfile

創  業 : 1929年
設  立 : 1947年
本  社 : 福岡県福岡市
資 本 金 : 4800万円
売 上 高 : 200億円(2011年度)
従業員数 : 279名
http://www.nishii.co.jp/