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事例|高津伝動精機株式会社

POINT
・本社に本番機とバックアップ機を設置
・障害対策として二重化運用開始直後にシステムダウン
・障害発生から2時間でバックアップ機に切り替え

 

本社に本番機とバックアップ機
Bitis HA で二重化

高津伝動精機は産業設備機器の専門商社である。主要製品はギヤモータ、減変速機などの駆動・伝動機器や、ボールベアリング、リニアモーションガイドなどの軸受・直動機器など。1951年の創業以来、伝動部品だけでなく、広く制御システムの分野まで製品を拡大し、およそ「伝動」に必要なあらゆる製品を取り揃えてきた。その製品群はラインで稼働する工作機械に、あるいは自動車や電化製品の必須パーツとして、さまざまな形で組み込まれている。

同社では1996年に大阪支店で初めて導入したのを皮切りに、AS/400の利用を拡大してきた。

2003年には、全拠点の運用を本社に統合。現在は、2011年3月に導入したPower 520(8203-E4A)上で販売管理システムおよび経理システムを運用する。また障害対策用のバックアップ機としてPower 520(8203-E4A)をもう1台導入し、HAソリューション「Bitis HA」(ビーティス)を採用。本社内に双方のマシンを設置することで、2011年6月から二重化体制をスタートさせている。

同社は東日本大震災やその後の計画停電などの影響は受けなかったが、二重化の運用を開始した直後の今年7月、ハードウェアの障害でシステムダウンが発生。バックアップ機への切り替えを実施し、その後、約3週間にわたってバックアップ機の運用を経験することになった。その経緯を、以下に見てみよう。

牛山 吉雄 氏 取締役 電算グループ長
牛山 吉雄 氏
取締役 電算グループ長

 

 

本稼働から 3 週間足らずで
本番機にシステム障害が発生

同社の取締役で電算グループ長の牛山吉雄氏は2010年初頭から、Power 520へのリプレースを検討していた。「前回の更新は2004年で、そろそろ老朽化やパフォーマンス劣化などが目立ち始めていました。また内部統制や事業継続の観点から、HAソリューションによる災害・障害対策の必要性が再三指摘されており、マシンリプレースを機に当社でもバックアップ機の導入を検討する時期ではないかと考えていました」(牛山氏)

Power 520導入を担当するトッパンエムアンドアイはかねてからBitis HAを提案しており、牛山氏がそれを含む二重化の見積もりを依頼したのが2010年9月。必要性の是非は疑う余地もないが、その導入予算について経営陣をどう説得しようか、頭を悩ませていたそんな時期、11月に入ったある朝、System iが突然起動しなくなった。原因は電源部分の故障である。

すぐにIBMの保守部門に連絡したものの、損傷が数カ所にわたっていたため修理に時間がかかり、システムを再起動できたのはその日の午後2時すぎ。朝からずっと業務は停止状態で、その日はほとんど受注処理できず、出荷もできなかった。業務に多大な支障を与えたこの経験は、あらためて障害・災害対策の必要性を経営陣に痛感させる結果となった。直後に開かれた役員会で、二重化の予算が問題なく承認され、正式導入が決定したのである。

本番機およびバックアップ機の導入は2011年4月。二重化の運用がスタートしたのは6月20日である。ところが、それから3週間も経たない7月9日、今度は新しく導入した本番機のPower 520が障害でシステムダウンを起こした。RAIDカードの不具合が原因であったという。

この日は土曜日であったが、計画停電の影響を受け、輪番操業を開始していた自動車メーカーに対応するため、同社でも交代制で週末の出勤シフトを組んでいた。そのため、2~3割の社員が午前8時に出社していたが、システムは起動しない。

牛山氏は出張先の地方営業所で、業務システムが立ち上がっていないのを知り、すぐに本社に連絡した。そして前回の障害時に経験した業務停止の悪夢を避けるため、すぐさまバックアップ機への切り替えを決断した。電算グループのスタッフの手で、午前9時に切り替え作業を開始したのである。

この作業は約1時間で終了し、バックアップ機で業務を再開できたのは午前10時である。前回の障害時、ほぼ丸1日の業務停止を体験したエンドユーザーの多くは、その日の業務をほぼあきらめかけていた。それがわずか2時間で再開できたので、驚きとともに、社内のあちこちから電算グループに称賛の声が寄せられたという。この運用は約3週間続けられ、7月30日には本来の本番機への切り戻し作業が実施されている。

同社ではIBM iのスプールデータをPCサーバーに送り、そこから取引先へ自動でFax送信しているが、このサーバーへの接続変更に多少の時間を要しただけで、切り替え作業は全体に非常にシンプルであった。

「6月の導入時に何度も切り替えテストを実施しました。それからまだ3週間足らずの時期ですから、記憶が鮮明で、担当者も手順を迷わずに済んだようです。これを教訓に、今後は定期的に切り替えテストを実施していく予定です」(牛山氏)

現在は本番機・バックアップ機ともに本社に設置されているが、今後は災害対策に備え、バックアップ機をデータセンターへ移設することも検討していく方針のようだ。

 

COMPANY PROFILE
設立:1951年
本社:東京都大田区
資本金:4億5000万円
売上高:205億円(2011年3月期)
従業員数:約250名
http://www.takatsu.co.jp/