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事例|JBグループ(JBCCホールディングス株式会社)

POINT
・情報系サーバー約 3 0 0 台を最終的に1台へ統合
・基幹System i 8台を1ラック29Uへ集約
・仮想テープ、仮想ストレージ、回線高速化装置などを採用

CO2 排出量を 91%削減

日本ビジネスコンピューターなど10社で構成されるJBグループは、2004年に全国に散在していた各社の情報系サーバー約300台を4台のブレードシャーシへ集約したが(第1次統合)、2007年に事業継続や災害対策を目的とする第2次統合をスタートさせた。この第2次統合では、4台のブレードシャーシを1台へ集約するとともに全国4カ所のストレージも含めてデータセンターへ移設、さらに各社の基幹系サーバー(いずれもSystem i)計8台も1台のSystem iへ集約し、データセンターへ移設した。

第1次統合による5年間のコスト削減とCO2削減の効果を図表1・2に示した。サーバーのみを見るとコスト削減効果は、スペース費が従来形態のままでは5年間で466万4000円であるのに対して統合後は233万2000円(削減率50%)、空調費では1億3349万1100円が1226万5927円(削減率91%)、電気費では9214万9835円が847万7271円(削減率91%)へとそれぞれ劇的に変化した(図表1)。また、CO2排出量も、従来形態では5年間で4818トンであるのに対して統合後は443トンに減少するなど(削減率91%)、目覚ましい効果を上げた(図表2)。こう見ると、サーバー統合を行うことだけで容易にCO2削減などを実現できそうだが、実はそうではなく、ユーザーに対するサービスレベルの維持・向上や、予算、期間、リソースなど、ともすればトレードオフになりかねないさまざまな要素を考慮し、検証し、実装していくことが不可欠になる。つまり、「本当の技術力」が問われるのだ。

 

8台のSystem iを1台へ集約

例えば、JBグループの第2次統合ではグループ各社の基幹系System iを統合し、ストレージともどもデータセンターへ移設したが、この時、バックアップをテープからストレージへ切り替える措置を講じた。いわゆる「ストレージバックアップ」への切り替えである。「従来使用してきたテープ装置(型番3570)はかなり筐体が大きいので、スペースコストの高いデータセンターへは持ち込めないと判断しました。そこで、ディスクエリアをテープ装置と見立てる仮想テープ機能を使い、ディスク保護にはRAID6を採用してストレージへバックアップを取ることにしました」と語るのは、JBアドバンスト・テクノロジー(以下、JBAT)の浜口昌也氏(先進技術技術推進GM)。JBATの先進技術はJBグループのIT企画を担当しており、今回の統合を主導してきた。

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浜口 昌也 氏
JBアドバンスト・ テクノロジー株式会社
先進技術 技術推進 GM

この結果、従来、大きな会議室ほどの巨大スペースを要していた8台のSystem iシステムが、1台のラック(29U)に収まることになった(図表3)。その所要スペースは、わずか48cm×82cm(高さ174cm)である。

 

仮想ストレージ、回線高速化装置

1台のブレードサーバーへ統合した情報系サーバーでは、VMwareを採用し仮想化を実施した。現在12枚のブレード上で58台の仮想マシンが稼働中だ。この仮想マシンのパフォーマンスを劣化させないためには、「サーバーとつながるストレージやネットワークの高速化が必要」(JBATの高浜祐二氏、先進技術技術推進アドバイザリーITスペシャリスト)になるが、そこで同社では、ストレージを仮想化するSANボリューム・コントローラー(以下SVC)と、回線高速化装置Steelhead(米RiverbedTechnology社製)を導入した(図表4)。

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高浜 祐二 氏
JBアドバンスト・ テクノロジー株式会社
先進技術 技術推進
アドバイザリー ITスペシャリスト

「実際にSVCを稼働させてみるとディスクのパフォーマンスが驚くほど向上し、いい意味で予想を裏切られました。ディスクを多用する重いNotesであっても、全くストレスなく運用できています」と高浜氏は言う。また、この実績を踏まえて浜口氏は「今後は、高額なストレージを買う必要がなくなるかもしれません。SVCを使えば、中低速のストレージであっても十分にパフォーマンスを出せます」と指摘する。回線高速化装置による効果でも、LAN上の計163GBのトラフィックがネットワークを通過する際は35GBへ削減されるなどの大きな結果が得られている。これは、ネットワークの両端に配置したキャッシュによる効果。この削減は、リソースの有効活用とコスト削減につながる。

IT化は、つねに効率化を含む点でグリーンITのテーマに沿うが、一方で電力消費や発熱など環境負荷となる側面もある。JBグループのサーバー統合の取り組みは、環境負荷を最小限に抑え、グリーンIT化の効果を最大化するものといえるだろう。

 

 

COMPANY PROFILE

設立:1964年(2006年にホールディングス制へ移行)
本社:東京都大田区
資本金:46億8700万円
売上高:989億5800万円(2008年3月)
社員数:2410名( 連結 )
http://www.jbcchd.co.jp/