米Axwayは9月8日(現地時間)、「APIの複雑性は現実に存在し、増大し、企業の足かせとなっている(API complexity is real, growing, and holding enterprises back)」と題する調査レポートを発表した。米・英・独・仏・オーストラリア・シンガポールのユーザー企業を対象にした調査で、800人が回答した。
それによると、ユーザー企業は現在、平均で3種類のAPI管理ツールを使用しているが、2023年には平均4種類へと増える。これはAPIの利用が増え、APIの複雑性が増すからである。そしてAPIの複雑性の増大は、ビジネスを俊敏に進めようとする企業にとって足かせとなり、新しいプロジェクトやアプリケーションをリリースする際の障壁になる、と指摘している。
今回の調査から得られた知見は次の4点である、とレポートは記す。
・APIの複雑さが増している
・APIの複雑さが企業の足を引っ張る
・APIの複雑性を克服した企業が優位に立つ
・すべての企業がAPIの複雑さを克服する方法を知っているわけではない
APIが複雑になるのは、以下のような問題があるからである。企業のIT管理者は次のような点を問題(苦痛)としている。これはイコール、API管理ツールの問題でもある。回答者の30%以上が挙げた項目は以下。
・管理に手間がかかる
・セキュリティ
・バグの追跡と修正が困難
・自動化と標準化の不足
・一貫性のないポリシーとガバナンス
30%未満の回答としては、以下の項目が並ぶ。
・APIの利用状況の一元的な把握が困難
・一貫した顧客体験が得られない
・データサイロ化
・API再利用の低さ
・スケーリングが困難
既存のAPI管理ツールの弱点としては、セキュリティ(40%)、マルチベンダー管理(34%)、標準/オープン/プラットフォーム対応(34%)が挙げられている
次のグラフは、新規APIの構築にかかる時間(時間、日、週、月)と年間の構築数(赤線)を示したもの。「APIファーストのアプローチでAPIの複雑さをマスターした企業(最も早くAPIを構築できる企業)と、年間に立ち上げることができるデジタルプロジェクトの数との間に、驚くべき強い相関関係が見られる」と、レポートは指摘している。
複雑なAPIを集中管理することのメリットとしては、IT部門のリーダーは「より効果的なガバナンスと管理」、ビジネス部門のリーダーは「より多くのことをより早く、より簡単に、よりコスト効率よく行える」点に注目している。どちらも、API管理の一元化により、ビジネスをより効率的に進められると考えている。
●IT面の効果
・ITの複雑性の軽減
・監視体制の強化
・DX(デジタルトランスフォーメーション)の迅速化
・ガバナンスの一元化
・リソースの効率化
・スケーラビリティ
・標準化
・資産の再利用
・開発者の生産性向上
・CX(顧客体験)の向上
・ビジネスの相互依存性
●ビジネス面の効果
・ビジネスアジリティ(俊敏性)
・イノベーションの迅速化
・製品投入の迅速化
・新技術の活用
・シームレスなCX(顧客体験)
・チームコラボレーションの向上
・よりよい将来計画
・スケーラビリティ
・現在の投資の活用
・日常業務に革新をもたらす新たな機会の活用
APIの複雑性を解決するためのアプローチ法としては、以下が挙げられている。レポートは、「約1/3の企業が、APIの複雑さに対処する方法を検討しているが、APIプログラムの統合に注力している企業は少ない。また、約30%の企業がAPIガバナンスの一元化を計画している。残りの企業は、提携するベンダーの数を減らすことに注力しているか、今後の計画をまだ決めていない」とコメントしている。
下記はグラフの左から右への項目名。
・自分たちの足を引っ張る問題だと思っているが、対処法がわからない
・問題とは思っていないが、次のレベルへ進む方法を考えている
・さまざまなAPIプログラムの統合を計画中
・APIガバナンスの一元化を計画中
・API管理ツールの削減を計画中
・わからない
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