IBM i 7.5 TR3(IBM i 7.4 TR9)におけるアプリケーション開発面の機能強化については、IBMのティム・ローウィ(Tim Rowe)氏(アプリケーション開発&システム管理担当、ビジネス・アーキテクト)がRPGの強化から説明した。
「IBMではRPGを強化し続け、最新のビジネス言語へと変貌させてきましたが、このTRも例外ではありません。新しい組み込み関数をいくつか追加し、プログラマーの作業を支援しています。文字列操作を簡素化する%LEFT、%RIGHTでは、文字列から左3文字または右3文字のいずれかの指定で、すぐに文字列を特定できます。これは非常に便利です。文字の正規化も行えるため、異なる言語や文字セットでも正確な結果を得ることができます。また、名前付き定数の列挙を可能にし、コード内で定数を定義するための、よりクリーンで意味のある方法も提供しました」
ACS 1.1.9.3
ACS(Access Client Solution)では、バージョン1.1.9.3がリリースされ、SQLスクリプトの実行サポートが強化された。
「注目すべきは、データベースを操作するための2つのインターフェースです。1つはアプリケーション開発者向けのCode for IBM iで、もう1つがシステム管理者向けのACSです。ACSでは、開いているすべてのSQLスクリプト・タブを横断して検索できるようになり、特定のアイテムを見つけやすく、すばやく移動できるようになりました」(ローウィ氏)
SQLスクリプトの実行では、このほか以下がある。
► 例からの挿入を多数追加
► SQL文の言語拡張のための書式・色の処理
► コンテンツ・アシスト機能のパフォーマンス改善
またACSのIFSビューに、PC上のアップロード場所を指定できる設定機能が追加された。「これによりファイル転送が簡素化されます」と、ローウィ氏。さらに、IFSのファイルをコピーまたは移動する際に大文字と小文字が区別され、元の大文字と小文字が保持されるように改善された。
ACS関連ではこのほか、ローウィ氏が「ゲームチェンジャー!」と強調するSQL生成機能がある。
「ACSにはデータベース・テーブルを検索できる機能があります。その検索で表示されたテーブルを右クリックすると、SQLを生成できるのです。DDLだけでなくDDMのSQL文も可能で、Insert、Update、Deleteを生成できます。SQL作成の方法を変えるもので、間違いなくゲームチェンジャーになると思っています」
システム管理、IBM Navigator for i
システム管理分野では、CPU使用率や対話型ジョブをより効果的に監視・管理できるワーク管理APIを強化した。また、HTTPサーバーをプログラムで管理できる新しいHTTP Admin APIを導入し、設定変更の自動化やサーバーの状態監視を容易にした。
IBM Navigator for iでは50種を超える機能強化がリストされている。
このうちローウィ氏が取り上げて説明したのは、テーブル/カラムのフィルタリング機能と、Advanced Job Scheduler、VPN接続作成機能、印刷サポートである。
テーブル/カラムのフィルタリング機能は、個々の列レベルでさまざまなフィルターを設定可能にするもの。設定した複数のフィルターを保存する機能も提供された。
Advanced Job Schedulerは、今年末に提供される機能で詳細は公表されなかったが、「多くのIBM iユーザーを悩ませてきた課題を解決する重要な機能が提供される予定」と、ローウィ氏は述べた。
VPN接続作成機能は、VPN接続を設定・操作するための機能で、「美しい作成ウィザードがあり、複雑なエンティティで構成されるプロセス全体を確認できます」という。
印刷サポートでは、リモート印刷キューの追加などが行われた。
・IBM i 7.5 TR3
https://www.ibm.com/docs/en/announcements/i-75-tr3
・IBM i 7.4 TR9
https://www.ibm.com/docs/en/announcements/i-74-tr9
[i Magazine・IS magazine]