米IDCは8月4日(現地時間)、世界AI市場の今後5年間の分野別予測と、主要プレイヤーなどを発表した。
それによると、世界AI市場の2021年は前年比15.2%増の3418億ドル、2022年は18.8%増となり、2024年には5000億ドルを突破する勢いという。
分野別では「AIソフトウェア」がAI市場全体の88%を占め、その中でも「AIアプリケーション」が約50%を占める。
AIソフトウェア分野の成長率では、「AIプラットフォーム」が最も高く、今後5年間の年平均成長率(CAGR)は33.2%。最も低いのは「AIシステム・インフラストラクチャ・ソフトウェア」で、今後5年間のCAGRは14.4%になる。また、「AI ERM(統合リスク管理)」の成長率は、「AI CRM(顧客管理)」のそれをわずかに上回る。
下の表は、2020年のAIソフトウェア市場の分野別トップ3(売上ベース)。
AIソフトウェア市場 | AIのタイプ | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|---|
AIプラットフォーム | AI Centric | Palantir | Microsoft | IBM |
AIアプリケーション | AI Centric | IBM | OpenText | Slack |
AI non-Centric | Microsoft | Workday | ||
AI システム・インフラストラクチャ・ソフトウェア | AI Centric | IBM | Microsoft | Dynatrace |
AI non-Centric | Microsoft | VMware | McAfee | |
AIアプリケーション開発・デプロイ | AI Centric | Microsoft | Oracle | |
AI non-Centric | Microsoft | ESRI | Teradata |
一方「AIサービス」の2020年の市場規模は194億ドルと推定され、ハードウェアおよびソフトウェアよりも高成長を示した。2021年は対前年比19.3%増が見込まれ、さらに今後5年間はCAGR21%で推移し、2025年までに500億ドル規模の市場になると予測している。このAIサービスのうち約80%を「ITサービス」が、残り約20%を「ビジネスサービス」が占める。
IDCでは、「AIは、将来の企業にとって不可欠な要素として浮上しており、パイロット・プロジェクトとエンタープライズAIの間にある多くのハードルをクリアするためのサービスに対する需要が高まっている。本番レベルのAIソリューションを開発し、大規模なAI導入を持続させるための適切な組織、プラットフォーム、ガバナンス、ビジネスプロセス、人材戦略に対する顧客の需要が、ITサービスとビジネスサービスの両方で拡大している」とコメントしている。
「AIハードウェア」は、AI市場に占める割合は5%と小さいものの、2021年は対前年比29.6%増と推定され、さらに今後5年間は年平均19.4%で推移すると、高成長が見込まれている。この分野は「AIサーバー」と「AIストレージ」に分かれる。AIサーバーが80%以上を占めるが、AIストレージは今後5年間、CAGR22.1%で成長するという。
2020年のAIサーバー市場では、5億ドル以上の収益を上げた企業が6社あった。Dell、HPE、Huawei、IBM、Inspur、Lenovoの6社で、6社合計のシェアは62%。また、2020年のAIストレージ市場で1億ドル以上の収益を上げた企業も6社あり、Dell、HPE、Hitachi、Huawei、IBM、NetAppの6社だった。これら6社の合計シェアは68%である。
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