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SCSK Minoriソリューションズの「PROACTIVE(旧 ProActive C4)」、6600社・300グループ以上の導入実績をもつ統合ERP製品が IBM Powerに対応、IBM iユーザーへの提案を推進

[記事について編集部注]
本記事は「ProActive C4」について2024年10月24日に取材しましたが、同製品は11月19日に、atWILL、PImacsとのソリューション統合により、AIセントリックなデジタルオファリングサービス「PROACTIVE」へ改称されています。本記事は、取材時および雑誌掲載時の旧名 ProActive C4のまま掲載いたします。

歴史ある統合ERP製品を
初めてIBM Power対応へ

SCSK Minoriソリューションズは、SCSKグループのMinoriソリューションズ、CSIソリューションズ、Winテクノロジの3社が2021年10月に合併して誕生した新しい会社である。旧3社はエンタープライズ分野でそれぞれ独自に事業展開してきた経緯があり(Minoriソリューションズはシステム開発とCAE事業、CSIソリューションズはIBM iを柱とするトータルソリューション、WinテクノロジはWindowsサーバー事業)、合併後は3社のシナジー効果により、新しいマーケットの開拓を進めている。

IBM Power上で稼働する「ProActive C4」はその重点戦略の1つで、レガシー化したIBM iシステムのモダナイゼーションを実現する製品である。

ProActive C4自体は30年以上の歴史を有する、財務・会計・人事・給与・販売・在庫管理などのサブシステムで構成される統合ERP製品だが(図表1、図表2)、それを同社が日本IBMの協力を得て、2023年10月にIBM Power上で稼働するようポーティングした。

図表1 ProActiveの歩み
図表1   ProActiveの歩み
図表2 ProActive C4の適応領域 ~業務要件に応じて選択できる
図表2    ProActive C4の適応領域 ~業務要件に応じて選択できる

IBM iのユーザー企業の多くは今、システム運用が可能な人員の不足やシステムの老朽化などの課題を抱えて、基幹システムの次をどうするか、システムを今後どう運用していくのかについて検討期に入っている。そうした状況下で、IBM iの中堅ユーザーを対象にした国産のERP製品が登場した意義は大きいと言えるだろう。

ProActive C4の歩みと
C4拡張時の3つのポイント

ここからはProActive C4の特徴を見てみよう。

図表1にあるように、ProActiveは1993年に「国産初のERP製品」として市場に登場した。以来、「市場の技術動向とお客様の要望を採り入れて」(同社)、4回に及ぶ製品の大型拡張を行い、現在に至っている。

2021年にリリースされたProActive C4の拡張のポイントについて徳田友美氏(ソリューションビジネスユニット ソリューション第一事業本部 ProActiveソリューション部長)は、次のように説明する。

「ProActiveの基幹システム製品としての機能は30年の歩みの中で完成の域に達し、今や円熟した製品と言えます。そのためC4への拡張では、日々の使いやすさや導入・保守のしやすさ、安全性や信頼性の向上に主眼がおかれ、大規模な改善を実施しました。ProActiv C4はお客様にとってさらに親しみやすい製品となり、今後長期にわたって使い続けられる特色を強化できたと考えています」 

徳田 友美氏

ソリューションビジネスユニット
ソリューション第一事業本部
ProActiveソリューション部長

徳田氏が挙げるProActive C4の特徴は次の3点である。

①トップレベルの安全性と信頼性
②日々の使いやすさにこだわったUI/UX
③スマート導入とスマート保守

①は、法制度の改正への即時対応や、長年提供しているソリューションであることの安心感を指している。

②については6つの強化・拡張があり、ユーザーが画面の表示項目やレイアウトを自由に変更できる「画面パーソナライズ」、表示領域を自由に調節できる「画面表示領域調整」、項目名の変更や外国語への変換などが可能な「ラベル翻訳」、入力項目やエラー時の対応内容を説明する「画面項目・エラー説明」、複数のグループ企業を統合的に運用・管理する際に企業別に色分けできて便利な「画面カラー変更」、そしてマルチデバイス対応の「レスポンシブデザイン」である。

③の「スマート導入」は、ユーザーの作業負荷を軽減しながら、ユーザー自身による導入を実現する仕組みである。

ProActive C4の導入では、まず「FIT検証」と呼ぶ工程を実施する。ProActive C4の機能がユーザーの業務にどれだけフィット(適合)するか、どこにギャップ(未適合)があるのかを確認するための作業で、ユーザーは本番で使用したいProActive C4を実際に操作しながら機能を確認できる。またFIT検証のプロセス・フローが、「全体業務概要の把握」→「業務シナリオの選択」→「シナリオを基にした適合確認」などと定式化され、さらにナビゲーションや説明機能も用意されているので、エンドユーザーでも導入作業が行え、かつ属人的なシステム導入を回避できる。これは紙ベースで行う一般的なフィット&ギャップ調査と比べてスピードと作業品質で格段の違いがあり、ProActive C4の大きな特徴と言える(図表3)。

図表3 業務フローのナビゲーション例 
図表3 業務フローのナビゲーション例 

「スマート保守」は、個別ユーザー専用のサポートサイトの提供や、イベント的に発生する年末調整などの業務処理に関する情報の提供により、「お客様が長期にわたって安心して使い続けられる仕組み」(徳田氏)を指す。また多種類ある保守サービスから必要なサービスをユーザーが自由に選択できるという。

ProActive C4は16種類のサブシステムで構成されている。どのサブシステムも単体で導入でき、必要に応じて追加していける。「むしろすべてのサブシステムを一度に導入されるお客様は少数で、お客様のスケジュールに沿って、段階的に追加されていくケースが大半です」と、徳田氏は説明する。

また、ProActiveは過去30年間に「6600社、300グループ以上」(徳田氏)のユーザーを獲得してきた。その大半が長期にわたって使い続けているユーザーで、導入数を業界別に見ると、製造、流通、サービスが約1/3ずつと、特定の業種・業界に限られていないのが特徴である。

同一のIBM Power上で
IBM iと共存させるメリット

IBM Power対応のProActive C4は、Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)上で稼働する(図表4)。

図表4 ProActive C4 on IBM Powerの稼働環境
図表4 ProActive C4 on IBM Powerの稼働環境

最近、IBM iユーザーが老朽化した基幹システムをモダナイゼーションする場合、IBM i以外のプラットフォームで再構築するケースが少なくない。しかしそのようなケースでは、ベンダーへの依存度が増したり、新しい技術への対応の必要性やコスト増を招いたりしているのが通例である。

徳田氏は、ProActive C4をIBM iと同一のIBM Powerで稼働させるメリットとして、IBM i上の基幹システムとの「リソースの共有」と「データの連携」、管理対象となるサーバー数を抑えられることによる「インフラコストの最小化」を指摘する。データ連携などは、高性能のIBM Power上で行うアドバンテージに加えてIBM Powerのシステムバスを利用するので、別プラットフォームとIBM Powerとの間で行うデータ連携と比べて格段に速いというメリットもある。

またProActive C4をRHEL上に配置すると、「IBM i基幹システムのモダナイゼーションを段階的にスムーズに進めることができます」と、徳田氏は話す。

図表5はその例で、最初に標準化しやすい会計をIBM iからProActive C4へ切り替えてモダナイゼーションを実現し(①)、次にユーザーの都合のいいタイミングで販売管理などをProActive C4へ移行し(②)、さらにRHEL上のProActive C4の給与サブシステムを、クラウド上のProActive C4の給与サブシステムへ移行した例である。クラウド版のProActive C4は、多地点にあるグループ企業の基幹業務を統合するのに便利。ProActive C4には、RHEL版のほかにWindows版とクラウド版がある。

図表5 IBM i上の老朽化した基幹システムをProActive C4で刷新する例
図表5 IBM i上の老朽化した基幹システムをProActive C4で刷新する例

徳田氏によると、ProActive C4の「C4」は、「Customer(寄り添う)」「Connectivity(つながる)」「Collaboration(共創する)」「Cross-border(広がる)」の4つのCだという。

IBM i上で培ってきた企業競争力の源泉である基幹システムはIBM i上で継続し、標準機能で利用可能な業務システムは統合ERPの下で一元化することも、IBM iユーザーにとって1つの有力な選択肢になると思われる。

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[i Magazine 2024 Winter掲載]

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