PwC Japanグループは、地政学リスク・経済安全保障環境に対する日本企業の意識、対応実態を把握するため「企業の地政学リスク対応実態調査2024」を実施し、8月19日にその速報結果を公開した。同調査は2019年にスタートし、今回で5回目になる。
「最も懸念される地政学リスク」は3年連続で「サイバーアタック/サイバーテロ」
最も懸念する地政学リスクでは「ロシア・中国・北朝鮮などによるサイバーアタック/サイバーテロ」が40%を占め、3年連続で首位となった。
「エネルギー供給構造の変化に伴う需給の不安定性」は20%で2位、その他「保護主義的政策(米国の鉄鋼アルミ関税、EUの中国EV調査、資源国による資源輸出制限など)」(19%)が前年比で大きく順位を上げて3位となった。
地政学的分断への備えや国内産業保護、有権者の支持獲得を目的に、米中等の大国や資源国において保護主義的な政策がとられることへの懸念を示す結果となった(図表1)。
8割超の企業が、地政学リスクマネジメントが経営戦略上「重要」と認識
自社の経営戦略にとって、地政学リスクマネジメントが「とても重要」または「やや重要」と答えた企業の割合は86%(前年比で-1ポイント)であった。地政学リスクは企業経営に強い影響を与える重要な経営課題だ、との認識が依然として高いことを示唆している(図表2)。
7割の企業が地政学リスクの情報収集やモニタリング体制を確保
地政学リスクの情報収集やモニタリング体制をとっているか、との問いでは「対応をとっていない」との回答は32%にとどまり、7割の企業が高まる地政学リスクを踏まえ体制確保を行っていることが分かった。
また、地政学リスク対応を進めるため、「海外拠点・子会社における情報収集と本社への共有」(26%)、「専門人材の採用強化」(20%)、「専門人材の社内育成」(19%)、「学術研究者やコンサルタントによる支援」(18%)、「法律専門家による支援」(16%)など、多くの企業が具体的な取り組みを行っている実態が判明した。
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