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Z世代のIBM i担当者たち ~第2回 IBM iの唯一のデメリットは情報が圧倒的に足りないことだ

本企画の第2回は、福岡県内にあるユーザー企業、ベンダー企業で活躍する若手担当者たちが登場する。
立場は違いながらも、ITを日々活用し、悩み、奮闘する彼らがIBM iに向けたそれぞれの思いを語り合う。

出席者(写真左から)

村上 亮馬氏
グリーンコープ生活協同組合連合会
情報システム本部 情報システム部
課長

有村 健志氏
九州三菱自動車販売株式会社
電算システム管理室
主任

熊﨑 琳太郎氏
株式会社福岡情報ビジネスセンター
IBM i PROFESSIONAL事業部
システムエンジニア

IBM iの知識は先輩社員から学んできた

i Magazine(以下、i Mag) まず皆さんのキャリアと現在の業務内容を教えてください。

有村 私は九州三菱自動車販売に新卒で入社して、今年で9年目、31歳になります。入社後すぐに電算システム管理室に配属され、最初の6年間はIBM iで稼働する基幹システムやオープン系Webアプリケーションの開発に従事し、ここ3年は基幹システムの保守・運用を担当しています。

有村 健志氏

村上 私はグリーンコープ生活協同組合連合会(以下、連合会)に途中入社して6年が経ちます。いま33歳です。最初の約3年は情報システム部に配属され、運用をメインに担当しました。次に、現場の配送業務をITで的確に後方支援するためのノウハウを身に付けるべく、約2年間、連合会から福岡県内のグリーンコープ生協へ出向する形で現場の業務を学びました。それからまた連合会の情報システム部に戻り、約半年になります。

熊﨑 私は2022年に福岡情報ビジネスセンターに入社しました。新卒入社なんですが、大学で学んだり、芸術系の専門学校に通ったりと紆余曲折を経て入社したので、現在27歳です。IBM i PROFESSIONAL事業部というIBM iビジネスを専門にする部署で、システムエンジニアをしています。

i Mag 有村さんと村上さんはユーザー側、熊﨑さんはベンダー側の立場でそれぞれIBM iに向き合っておられるわけですね。入社してから、IBM iについてどのような教育を受けたのですか。

有村 私は経済学部の出身で、ITの知識はほとんどありませんでした。当社で新人が電算システム管理室に配属されるのは数年に1度くらいなので、決まった教育カリキュラムが用意されているわけではなく、すべて先輩社員から指導を受けました。ある程度できるようになるまで、作成したプログラムをその都度先輩にチェックしてもらいながら、OJTとして仕事を覚えていきました。

村上 私も前職はITとは縁のない職場で、ゼロからの出発でした。EOLという昔からあるIBM iの研修教材を使用し、先輩社員の指導を受けながら、CLやRPG、Queryを覚えていきました。社内にはIBM iを使う業務とIBM i以外で運用する業務があり、OJTベースでどちらも同時に覚えていきました。

熊﨑 当社はベンダー企業なので、研修には時間をかけています。入社から3カ月間は外部の研修会社で、セキュリティからWordやExcelの使い方といった一般的なIT教育を受講しました。IBM iについては村上さんと同じようにEOLを使ったり、先輩社員からレクチャーを受けたりして、知識を増やしていきました。

初めてIBM iと出会ったとき
どんな印象を抱いたか

i Mag IBM iに初めて出会ったとき、どのような印象を抱きましたか。

村上 まったくITの知識も経験もないなかでIBM iに出会ったので、正確に比較できる対象がなかったです。つい個人で操作してきたWindowsなどと比べてしまうので、黒画面を見たときに、「こんな画面なんだ」とか、「なんかイメージが違うな」など、ぼんやりと違和感を抱いたことは覚えています。

村上 亮馬氏

有村 私もITスキルゼロの状況からスタートしました。IBM iではRPG ⅢとⅣを、オープン系ではPHPのプログラミングスキルを同時並行で学んでいきましたが、IBM iのほうが難しく感じました。開発言語の難易度というより、初心者向けの情報量が圧倒的に違うことが理由だと思います。PHPやWebについては、検索すれば多くの情報が得られるのに対して、IBM iは検索しても内容が難しい場合があり、そもそも言葉の意味さえも理解できないことが多く、「わかりにくい」というのが正直な感想です。2〜3年経って、IBM iで一通り経験して理解が進み、苦手意識を払拭することができました。

熊﨑 私は大学時代にITを専攻しましたし、福岡情報ビジネスセンターの面接を受けるときも、サイトでIBM iビジネスを展開している会社だとわかっていましたから、最初からIBM iにそれほど違和感はありませんでした。面接で「IBM iビジネスをやりたいと思います」と話したので、採用されたのかもしれません(笑)。

i Mag キャリアのなかで、IBM iへの理解を深める契機となった経験はありましたか。

有村 初めてIBM iの画面プログラムを作成したときでしょうか。自分の作成したプログラムが目に見える画面で動いてちょっと感動しました。画面の仕組みやファイル処理などを自分が納得するまで確認しながら作成したので、初めてシステムの仕組みを肌で理解したように思います。

熊﨑 私の場合は、昨年暮れから今年初めにかけて、データセンターでのサーバーの移行を担当したときですね。TCP/IPの設定など普段は使わないコマンドを使ったり、データを保存・復元して新サーバーに移行させたりと、今までとは異なる新しい作業を経験し、アプリケーションを開発しているのとはまた違う、運用の全体像をつかめた感じがして、とても新鮮でした。

村上 皆さんのように積極的に自分が主導して開発に携わったような経験もなく、IBM iの技術者と胸を張って言える知見もありません。まだまだ苦手意識がある状態で、現時点ではIBM iへの理解を深める契機となった経験はないように思います。

IBM iのデメリットは
圧倒的に情報が足りないこと

i Mag IBM iのよいところと悪いところ、つまりメリットとデメリットをどのように捉えていますか。

熊﨑 私が感じるメリットは、データベースの処理が速い、DBのネイティブアクセスとSQLという2種類のデータベースアクセスが使用できるので、狙いに応じて使い分けて開発しやすい、セキュリティが万全といったところですね。デメリットはネットに情報が少ない、これに尽きます。私はなにかあるとすぐにGoogleで検索する人間なので、ネットで情報が見つけられないのは辛いです。

熊﨑 琳太郎氏

有村 私の場合、メリットとして感じるのはレスポンスが速いこと、管理・運用が容易であること、そして障害に強いことです。デメリットは熊﨑さんが指摘されたとおり、情報が少ない点ですね。ネットで調べても、なかなか情報を得られない。私がIBM iに苦手意識を抱いた理由の1つでもあると思います。それに気軽に参加できるコミュニティを見つけられない点も寂しいです。ハードルが高そうに見えたり、発表が義務付けられていたりすると、参加しにくいように思います。同業の人たち、とくに若手の人たちと気軽に話せて、情報や悩みを共有する機会があるとうれしいです。

村上 当社では長い歴史のあるプログラム、顔も知らない先輩社員たちが作成した多くのプログラムが今も問題なく動いています。資産継承性はIBM iが評価される優位性の1つですが、そのことの素晴らしさは強く感じます。デメリットは皆さんと同じく、やはり情報が少ないことです。何か見つけてもいかにも翻訳的な、よく理解できない難しい日本語で書いてあるのが残念です。

i Mag 最後に皆さんが目指すキャリア像を教えてください。

有村 最初からIT部門の配属でしたし、開発、運用と経験してきたので、これからもIT業務を継続できたらと考えています。当社は現在、システムを内製化していますが、ディーラーではメーカーが提供するシステムを使用することが多く、今後はメーカーのシステムを使用する可能性もあります。会社の方針、あるいは会社を取り巻く外部の環境でシステム方針やテクノロジーが変わっても対応できるような柔軟性・知識を身に付けていきたいです。

村上 つい最近のことですが、課長に就任しました。そのため課長職としてマネジメントを学んでいくことが課題です。どの部門でも同じだと思いますが、IT部門でもジェネラリストとスペシャリストのどちらの役割も大事だと思っています。開発や運用の専門スキルを磨くことも重要ですが、私はどちらかというとマネジメントや進捗・進行の管理、業務の振り分け、外部との連携などを中心にしたジェネラリストとしてのスキルを身に付けていかなくてはならないと考えています。そのためにもデータの流れ、オープンソースの状況、他システムとの連携、そして目指すべきDXの姿といった基本的な知識や情報を増やしていきたいです。

熊﨑 私は皆さんと違って、ベンダーとしての立場にあるので、お客様の課題を解決できるようにご支援していくのが役割です。開発でも運用でも、あるいはお客様にご提案できる内容についても、自分にしかできない分野を極めることが目標です。だからここ数年はいろいろとチャレンジして、経験値を高めていきたいですね。IBM iの知識やスキルを伸ばしていく一方で、オープン系の技術力も高めて、バランスよくこなしていくことが理想です。

撮影:帆足慶一郎

 

[i Magazine 2024 Spring掲載]

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