矢野経済研究所は2月14日、国内のビジネスチャットツール市場を調査し、参入企業動向や将来展望について明らかにした。
◎市場概況
2022年度の国内ビジネスチャットツール市場規模推移・予測(事業者売上高ベース)は、前年度比129.7%の330億5500万円となった。2023年度はコロナ禍で需要の先取りがあった影響から反動で成長率は鈍化すると見られ、前年度比109.9%の363億3000万円を見込む。
同市場は2020年度から2021年度にかけてコロナ禍の影響を受け、在宅勤務への移行に向けた環境整備の一環として同ツールの導入が急増した。
また、2022年度は現場での業務対応が必要となる顧客層、つまり在宅勤務の難しい現場向けを意識し、業務効率化や業務の自動化に向けた基盤としての打ち出し方に進化した結果、より幅広い業界や事業者へと導入が進んでいる。
ただし、新型コロナウイルスの感染症区分が5類に移行したことに伴い、在宅勤務から出社へと切り替える企業も出てきており、成長率は鈍化しつつある。
◎注目トピック
従来、ビジネスチャットツールはオフィスでの業務従事者(オフィスワーカー)を中心に広がってきたものの、特にコロナ禍を契機に販売や物流、医療など現場で働くワーカーにも浸透し始めている状況にある。
コロナ禍以前の働き方改革はもとより、コロナ禍に伴いテレワークの主な実施対象はオフィスワーカーが中心であった。緊急事態宣言などにより出社が困難となった中、勤務形態がオフィスへの出社から在宅勤務へと切り替わるに伴い、IT環境の整備を進めるなかでモジュール(機能)の1つとしてビジネスチャットツールが広がってきた。
?一方で、販売や物流、医療・介護など現場で働くワーカーは、在宅勤務に切り替えることが難しいため、チャットツールを利用するメリットが見当たらない。しかし、オフィスワーカーの主な利用用途であるコミュニケーションツールではなく、業務効率化に係るソリューションとしての位置づけで現場での導入が進み始めている。
◎将来展望
現状、同市場の顧客として在宅勤務の対象ではない現場ワーカーを完全には取り込めておらず、競争の激しいオフィスワーカー向けと異なり、開拓余地の大きい領域となっている。
そこで、各社ともに現場ワーカーを含む形で従業員全体のコミュニケーションを最適化することで、業務効率化や業務の自動化を図っていく取り組みが見られる。
この背景を踏まえると、引き続き、コロナ禍のような一時的な高い成長率は見込めないものの、継続的な成長が見込まれるものと同社は考えている。
ビジネスチャットツール市場規模は、2024年度で395億2000万円、2026年度には437億5000万円、そして2027年度には454億5000万円に達すると予測している。
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