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能登半島地震アンケート、大企業20%に影響、重要な防災対策は約40%が「社内連絡網の整備・確認」、20%が「BCPの策定・見直し」 ~帝国データバンクが1255社を調査

帝国データバンクは1月19日、1月1日に発生した能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケート「令和6年能登半島地震 関連調査」を発表した。

1月12日~17日にインターネット調査を実施。調査対象は全国の1238社で、不回答17社を除く1255社が有効回答した。ただし、「甚大な被害を受けた能登地方の企業にはアンケート要請を行っていない」という。企業の内訳は、大企業179社、中小企業1059社(うち小規模企業476社)。業種別では、農林水産、金融、建設、不動産、製造、卸売、小売、運輸、倉庫、サービス、その他だった(末尾に「集計結果」)。

能登半島地震の影響

「能登半島地震による企業活動への影響」は、

・既に影響が出ている:4.3%
・影響が見込まれる :9.0%
・影響がある(見込みを含む):13.3%
・影響の有無を確認中:7.4%
・現時点で影響はない:75.3%

との結果で、「既に影響が出ている」企業からは、

・社屋の一部が損壊した。幸い生産設備に問題はなかったが、一部配管漏洩
や防煙ガラス破損、部材転落などの被害があった(精密機械、医療機械・器
具製造、富山県)

という直接的な影響や

・材料が納入できなくなり、工期延長が発生した(建設、埼玉県)
・金属製品の納入を検討していたが、取引先の工場が被災して納品時期が不明とのことで、別製品に切り替えることになった(専門サービス、茨城県)
・富山県の外注先に対する発注量を見直している 鉄鋼・非鉄・鉱業 岐阜県
サプライヤーの被災により影響を受けている(輸送用機械・器具製造、愛知県)
・石川県から仕入れていた厚揚げ製品、たまご加工品が出荷停止となったほか、被災
地向けにミネラルウォーターの需要が急増し、自社への納品が不安定となった(各種商品小売、三重県)
・最大の木材丸太納品先である工場の被災と道路の状況などで出荷ができていない(農・林・水産、長野県)

というサプライチェーンなどなどへの影響が見られた。

しかし「現時点で影響はない」と「影響の有無を確認中」の企業からは、

・今後、仕入先の工場などの稼働状況がどうなるかが懸念される(機械・器具卸売、愛知県)
・石川県に重機械向けの各部品工場があり、特に「チェーン」に影響が出る可能性 (機械・器具卸売、福岡県)
・消費者マインドの低下も含め、北陸地方の店舗での売り上げが減少する見通し。被
災地に原料メーカーがあるが、被害状況は不明であり、代替先の選定などを検討中(医薬品・日用雑貨品・小売、東京都)
・一部材料の入手遅延が見込まれる。また、一部の取引先より、生産活動に影響が出
る可能性を打診されており、自社への部品発注が減少する可能性が高い(化学品製造、長野県)

と、今後の影響を懸念している様子もうかがえた、としている。

能登半島地震による企業活動への影響 回答:1238社
能登半島地震による企業活動への影響 回答:1238社

企業規模別への影響で、「影響がある(見込みを含む)」は、

・全国平均:13.3%
・大企業 :20.1%
・中小企業:12.1%
(帝国データバンクの企業区分による:末尾参照)

で、大企業が全国平均を6.8ポイント上回る結果となった。

能登半島地震の「影響がある」企業の規模別・地域別割合 

また、地域別では、

・北陸:43.3%

と、突出して多かった。北陸地方の企業からは、

・人的、物理的被害は甚大であるが、震災による自粛・萎縮マインドにともなう地域経済活動の停滞も心配。災害復興の継続支援のほか、風化させない取り組みが必要(金融、石川県)

というコメントがあった。

企業防災

震災・災害対策を尋ねた設問で回答率が20%以上となったものは、次の5つ。

・飲料水、非常食などの備蓄:39.2%
・社内連絡網の整備・確認:38.3%
・非常時の社内対応体制の整備・ルール化:31.6%
・非常時向けの備品の購入:28.4%
・事業継続計画(BCP)自体の策定・見直し:20.6%

能登半島地震を機に改めて大切だと考えた企業防災対策(複数回答) 回答:1255社

回答企業からは、次のコメントがあった。

・自然災害の強力な破壊力に対し、何かをするというより、起きた後の社員と社員の家族の生活をどのように安定させるかということを真剣に考えるきっかけになった。備蓄をどのように進めるかをしっかり検討していきたい(情報サービス、岡山県)
・危機管理の重要性を再認識した。今回のように長期休暇中での災害は安否確認などに時間がかかる。緊急連絡網の整備と災害時での対応を常に議論することが重要だと実感した(建設、栃木県)
・自社では、自然災害への備蓄保存や自家発電、社内マニュアルなどすべて対策を講じているが、今回のような災害ではどこまで実際に対応できるのかが不安である。自然災害が起こる前に、建物老朽化の確認のほか、災害の起きやすい地域では事前に対策を講じる必要があると考えている(不動産、大阪府)
・備蓄や訓練を行っているが、自社のみの行動であり、得意先・仕入先の被害を確認
するマニュアルが不足している。このあたりの整備も必要と改めて考えた(精密機械、医療機械・器具製造、東京都)
・災害時の対応マニュアルの見直し、策定を早急にする必要性を感じさせられた(機械製造、奈良県)
・関東でもいずれ大地震が発生する可能性はあり、BCPを早急に取り組もうと考えた(建設、東京都)
・地域のリスクに沿ってBCP対策を実施しているが、今回の震災で物流網に関する備えが不足していると感じた。直接被害を受けた取引先はないが、今後間接的な影響
が出てくることが予想され、対策の強化を検討中(機械製造、岐阜県)
・自然災害に対する取り組みは国が主導して行われるものだと思っている。耐震基準
や発生確率に基づいて補助金の配分を前倒しで施行してもらいたい(建設、愛知県)

今後の影響

帝国データバンクの調査では、能登半島に営業所や工場などの拠点のある企業は890社。この地域で生産される部品・商品の供給を受ける能登半島の4000社超を含む約5000社に「供給停滞や遅延などの影響が次第に顕在化する」と、帝国データバンクは指摘している。

「令和6年能登半島地震 関連調査」 集計結果 
「令和6年能登半島地震 関連調査」 集計結果 
帝国データバンクの企業区分
帝国データバンクの企業区分

・帝国データバンク「令和6年能登半島地震 関連調査」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240109.html

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