「IBM iユーザー動向調査 2023」の調査報告の3回目は、「クラウド」をご紹介する。
IBM iをどの基盤で利用しているかという運用基盤を尋ねた設問では(複数回答)、自社サイト、ハウジング、ホスティング、クラウドサービスの4つを選択肢とした。その結果は、
●自社サイト(オンプレミス、自社データセンター)で運用中:71.4%
●プロバイダーのデータセンターのハウジング(マシンは自社保有)で運用中:20.2%
●プロバイダーのデータセンターのホスティング(マシンはレンタル)で運用中:6.0
●クラウドサービスで運用中:10.1
というもので、自社サイトが全体の7割を占めた。依然として大多数である。
しかし、この結果を前回(2022年)と比較すると、動きが確認できる。「自社サイト(オンプレミス、自社データセンター)で運用中」が3.0ポイント減少し、「クラウドサービスで運用中」が7.9ポイント増加している。
他の2項は変わらずで、「プロバイダーのデータセンターのハウジング(マシンは自社保有)で運用中」が微減(0.6ポイント減)、「プロバイダーのデータセンターのホスティング(マシンはレンタル)で運用中」がほぼ横ばい(0.1ポイント増)である。
さらに、IBM iシステム(基幹・業務)、HA・DR、データバックアップ、開発・テストの切り口で、それぞれの状況(運用中、検討中、計画・予定がある)を尋ねた設問では、次のような動きが見られた。グリーンが今回、オレンジが前回調査である。
顕著な動きがあったのはIBM iシステム(基幹・業務)で、
・IBM iシステムを現在クラウドで運用中:5.4ポイント増
・IBM iシステムのクラウドへの移行を検討中:5.7ポイント増
・IBM iシステムのクラウドへの移行計画・予定がある:3.6ポイント増
という内容だった。
このうち「現在クラウドで運用中」の企業を企業規模別に見たところ、「100億円~500億円未満」が33.3%となり、今回調査の企業規模別割合(カッコ内の%)と同様トップだったが、2位は「1000億円以上」(19.3%、企業規模別割合では4位)となり、順番に違いが出た。
・1億円未満:5.3%(0.9%)★
・1億円~50億円未満:17.5%(23.4%)
・50億円~100億円未満:14.0%(20.0%)
・100億円~500億円未満:33.3%(39.2%)
・500億円~1000億円未満:8.8%(7.1%)★
・1000億円以上:19.3%(8.0%)★
・その他:1.8%(1.4%)
上記を見ると、クラウド化の比率が相対的に高い企業規模(★印)は、「1億円未満」と「500億円~1000億円未満」「1000億円以上」である。小規模企業と大企業で、よりクラウド化の動きが顕著と見ることができそうである。
また、今回の調査では「予定なし」が前回調査より8.6ポイント減少し、半数を切った(53.4%→44.8%)。半数を切るのは初めてで、半数以上の企業がIBM i のクラウド化について何らかの予定がある、ということになる。
[i Magazine・IS magazine]