IBMは10月26日(米国時間)、生成AIを搭載したコーディング支援ツール「watsonx Code Assistant」を発表した。
開発したい内容を自然言語で指示すると、コードの一部(スニペット)やコード全体を提案してくるツールで、手作業によるコーディングを大幅に削減し、コーディング・プロセスに革新をもたらすと期待されるツールである。
watson Code Assistantは、IBM独自の基盤モデル「Granite」がベース。Graniteは、watsonx.ai上の生成AIモデル群の1つで、「インターネット」「学術」「コード」「法務」「財務」の5つの領域のビジネス関連のデータで学習を行い、そのうえでIBMが取捨選択したもの。プライバシーやバイアス、ガバナンスなどに抵触する好ましくないコンテンツをあらかじめフィルタリングしているため、より実用的な結果を生成できる。
watson Code Assistantは、そのGraniteで特定の用途に応じたデータセットを追加学習し、特定用途のコードの生成精度をより向上させるものである。
今回のニュースリリースでは、運用管理ツールAnsibleのタスク集Ansible Playbook用の推奨タスクを生成する「IBM watson Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed」と、IBM Z向けの「IBM watson Code Assistant for Z」が、「現在の対応中のユースケース」として発表された。watsonx Code Assistant for Zは、IBM Z用COBOLコードをJavaへ変換し、さらに新旧のコードの比較(現新一致テスト)や、日本語仕様書からのコードの生成なども可能なツールである。両製品とも、発表自体は今年5月と8月に行われている。
・Watson Code Assistant適用の第1弾、「Ansible Lightspeed」をRed Hatが発表 ~生成AIによりAnsible Playbook用コードの作成を支援
・IBMがメインフレーム・アプリケーションのモダナイゼーションを加速する「watsonx Code Assistant for Z」を発表 ~生成AIでCOBOLコードをJavaへ
ユーザーはwatson Code Assistantを利用してユーザー固有のデータセットを学習させることにより、ユーザー企業の環境により適合したコードを生成する基盤を開発することができる。これにはIBMコンサルティングとIBMクライアント・エンジニアリングが対応し、「お客様と二人三脚で具体的な問題点を特定し、ユーザー視点で重要なビジネスおよび技術的課題を解決します」としている。
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