Text=三神 雅弘 日本アイ・ビー・エム
Webベースのインターフェース
IBM Navigator for i( 以下、Navigatorfor i)は、IBM i システムを監視・管理するための Web ベースのインターフェースである。
5250 エミュレータからのコマンド入力によって実行される管理機能を、Web ブラウザのGUI 操作で実行する。Navigatorfor i は IBM i の標準機能として提供されており、追加オプションを購入することなく使用可能である。
GUI 操作によるIBM i 管理機能は、Windows アプリケーション用の「オペレーション・ナビゲーター」として、1995年に初めて登場した。そして2007年に、Web ブラウザベースの「IBM Systems Director Navigator for i」となった。その後、インターフェースが改良され、「IBM Navigator for i」という名称になった。
現在の Navigator for i は、2021年のIBM i 7.4 TR7、IBM i 7.3 TR11 で再設計されている。新しい Navigator for i はこれまでと比較して、インターフェースの改良による操作性の向上のほかにも、以下の特徴がある。
・複数システムの管理が可能
・IBM i サービス( SQLベース) で情報を取得
従来の Navigator for i は、システムや区画ごとにWeb ブラウザからアクセスして操作する必要があった。これに対して新しいNavigator for i では、1つのWebブラウザ画面から複数のシステム(区画)へアクセスして、管理できる。
2021年に再設計されたシステム監視・管理の機能群
新しい Navigator for i を利用する場合はまず、http://hostname:2002/Navigatorへアクセスする。すると、ダッシュボードと呼ばれるシステムごとのタイルを示した画面が表示される。システム・タイルには、システムの稼働状況や OS リリースが表示されている(図表1)。
別のシステムを追加するには、左側メニューから「新規ノードの追加」を選択し、ノード(システム、区画)のホスト名を指定する(図表2)。
左側メニューの上にあるアイコンをクリックすることで(図表3)、ダッシュボード・ビューをリスト・ビューに切り替えられる(図表4)。
リスト・ビューではホスト名や記述でフィルターを使用して対象を絞ったり、CPUやシステムASP使用率で並べ替えて表示したりできる。そのため管理するシステム、区画数が多い場合は、リスト・ビューのほうが効率よく管理できる。
ダッシュボード・ビューのシステム・タイル、リスト・ビューのリストをダブルクリックすることで、そのシステムの管理を実行する。メイン画面にはCPU、システムASP 使用率のグラフを表示し、左側にタスクメニューのアイコンがあるホームページを表示する(図表5)。
新しいNavigator for i には、システムを監視・管理する以下のタスクが提供されている。
◎ホーム
ホームページの表示、製品情報(システム・リリースやグループPTFの表示)、お気に入りに登録したページの管理、プロパティーを表示・管理。
◎実行管理機能
アクティブ・ジョブおよびサーバー・ジョブを取得。ジョブ記述、サブシステム記述、アクティブ・サブシステム、アクティブ事前開始ジョブ、アクティブJVMジョブ、アクティブ・ジョブ待ち行列、出力待ち行列、メモリー・プール、メッセージ待ち行列、プリンター、インターネット・プリンター、 拡張ジョブスケジューラーなどを管理。
◎構成およびサービス
システム値を表示・変更。インストール済みソフトウェア、PTF、グループPTF、iSCSI構成情報を表示。ライセンス情報を管理。
◎システム
QSYSOPRメッセージを処理、およびシステム状況、ヒストリーログ、ディスク状況、IASP情報、NVMe状況、SSD状況、監視セッション、出口プログラム、SQLサービス、一時記憶域などを表示。
◎モニター
システムモニターおよびメッセージ・モニターを管理。
◎My Work
自分のメッセージ、プリンター出力、ジョブ、オブジェクト、IFSオブジェクトを管理。
◎ネットワーク
TCP/IP構成、TCP/IPサーバー、ホストサーバー、IPポリシー、ネットワーク属性などを管理。
◎セキュリティ
セキュリティ構成情報、監査ジャーナル、権限収集、権限リストなどを管理。機能の使用、侵入検知、暗号サービス鍵管理、ネットワーク認証サービス、EIM管理、IBM Digital Certificate Manager for i を実行。
◎ユーザーおよびグループ
ユーザーおよびユーザー・グループを管理・作成。
◎パフォーマンス
データの調査、収集サービスのパフォーマンス収集オブジェクトの管理、収集サービスの構成、グラフ・ヒストリーの要約と詳細を実行。
◎ブックマーク
ブックマークを管理。
◎保守容易性
接続プロパティを管理。GUIログを表示・構成。
著者
三神 雅弘 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
IBM Power テクニカルセールス
アドバイザリー Power テクニカルスペシャリスト
1989年、日本IBM入社。AS/ 400のテクニカル・サポートを担当。日本IBM システムズ・エンジニアリングへの出向を経て、2004年よりテックライン、2016年よりビジネス・パートナー向けテクニカル・サポート、2018年よりIBM iブランド業務を兼任している。
[i Magazine 2023 Summer(2023年8月)掲載]