Db2 for i関連では、暗号化アルゴリズムAES256を組み込むための新しい関数と、多数の機能強化が発表された。
AES256を組み込むための関数(ENCRYPT_AES256組み込み関数)は、高度なデータ暗号化技術を簡単に利用できるようにするもの。SQLユーザー向けの機能という。
IBMでDb2 for i開発責任者を務めるスコット・フォースティー(Scott Forstie)氏は、「今回のTRでは、SQL関連の強化を多数行いました」と、次のように説明する。
「今回追加した『SQLエラーログ機能(SQL Error Logging Facility、SELF)』は、失敗したSQLステートメントや警告があったステートメントを特定するための機能です。こうしたものはこれまでにもありましたが、SQLエラーログ機能が提供するスピード、費用対効果、洞察力には遠く及びません。SELFはすでに利用可能です」
このほか「SQL組み込み関数を多数改良しました」として、以下を挙げた。
► SQL HTTP RESTfulサービス関数の強化
HTTPテーブル関数が拡張され、使用されているクッキーと値の完全な説明を要求できるようになった。
► HTMLをエンコードまたはデコードするためのCLOB関数の追加
SQLベースのRESTfulサービスを拡張した。
Db2 for iサービス
また、データベースの管理、データモデルの変更などを担当するデータベース・エンジニア向けの機能(Db2 for iサービス)として、以下を拡張したという。
► QSYS2.PARSE_STATEMENT_table function
SQL文の構成を理解するためのテーブル関数を、DDL(SQLデータ定義言語)文を含むように拡張した。
► QSYS2.SYCOLUMN2
データベースのカラムのためのメタデータの取得を可能にした。
► QSYS2.DUMP_PLAN_CACHE
SQLプランキャッシュを改良し、ユーザー指定のSQL文に一致する詳細データのみをキャプチャできるようにした。
SYSTOOLS
Db2 for iのツールセットであるSYSTOOLSに関しては、「CLやAPIに代わるSQLベースの便利ツールや例をIBMでは開発し続けており、IBM iユーザーがより簡単にDb2 for iを利用できるように努めています」とフォースティー氏は語り、今回の機能強化として以下を挙げた。
► generate_spreadsheet
SQLユーザーが既存のデータベース・ファイルまたはSQLクエリーに基づいてIFSにスプレッドシートを作成できるようにする新しいスカラー関数。
► send_email
電子メールの作成・送信を簡単に行える。
► change_user_profile
ユーザープロファイルへの特別な権限の追加・削除を行えるテーブル関数。これまでのCHGUSRPRFコマンドに代わるもの。
► ping
IBM iとリモートシステム間のTCP/IP接続テストする行える新しいテーブル関数。
► reply_inquiry_messages
ユーザーとアプリケーションに、未回答のIBM iシステム・オペレーター照会メッセージを返信するための新しいスカラー関数。
► job_queue_entries.
ジョブ・キュー内に存在するすべてのジョブについて1行を返す新しいビュー。
► IFS_RENAME
Qp0lRenameUnlinkおよびQp0lRenameKeepのサポートをSQLユーザに提供する関数。IFS内のオブジェクト名の変更がしやすくなる。
► ENDED_JOB_INFO
HISTORY_LOG_INFOが返すデータを基に、CPF1164メッセージに含まれるジョブ終了情報を抽出する新しいテーブル関数。
► LPRINTF
アプリケーション・ジョブログに詳細を送信するプロシージャの最大文字列長を大幅に拡張した。
► AUDIT_JOURNAL_XX
特定の監査ジャーナル用の新しいテーブル関数。SQLまたはNavigator for iを使用して、セキュリティ実施のアーカイブの理解が容易になる。
IBM iサービス
また製品発表レターでは、Db2 for i向けのIBM iサービスとして、以下の機能追加・拡張がリストされている。
► DB_TRANSACTION_JOURNAL_INFO
保留中のトランザクションで使用されているジャーナルの詳細情報を返せる新しいテーブル関数。
► DB_TRANSACTION_INFO
作成済みで保留中のトランザクションに関する情報を、すべてのユーザーが参照できるように拡張。
► PTF_INFO
最近更新されたPTFの識別子を返す列を追加。
► SYSTEM_VALUE_INFO
出荷時の既定値やそのほかの情報を含む、より詳細情報を返せるようにした。
► SYSTEM_STATUS_INFO
使用中のIBM iのハードウェア・シリアル番号と仮想シリアル番号の両方を返せるようにした。
► NETSTAT_JOB_INFO
修飾されたジョブ名の各要素に新しい列を追加し、使いやすくした。
► System Limits
アラート機能を拡張し、システム・ヘルス情報を活用できるようにした。
・Db2 for i – Technology Updates
https://www.ibm.com/support/pages/node/1116645/
・IBM i 7.5 TR3
https://www.ibm.com/docs/en/announcements/i-75-tr3
・IBM i 7.4 TR9
https://www.ibm.com/docs/en/announcements/i-74-tr9
[i Magazine・IS magazine]