日本総研は8月10日、「若者意識調査 ~サステナビリティ、金融経済教育、キャリア等に関する意識」と題する87ページの調査報告書を発表した。2022年に実施した同種調査の最新版で、今回は中学生・高校生・大学生の計1000人が回答した。男女は同数。調査は2022年11月30日~12月2日にWeb回答方式で実施した。
調査の目的として報告書は、「サステナビリティや金融経済教育など、社会のトレンドとなっているキーワードについて、将来社会を担う若者がどのような意識を持っているかを知ることで、企業や団体などが政策提言、経営戦略、人材育成等の検討に活用することである。また、そうした若者の意識がキャリアや結婚観等に与える影響等についての示唆を得ることを期待している」と述べている。
以下、調査のハイライトを紹介する。
◎サステナビリティ
国内外の環境問題や社会課題への関心については、「とても関心がある」(10.0%)、「やや関心がある」(35.5%)で、比率は前回調査と大きな変化はない。ただし、前回調査では、「気候変動・温暖化」と「医療・健康・感染症対策」が関心の1位・2位を占めたが、今回は「人権(ハラスメント・いじめ・虐待・不登校・人種差別等)」への関心が最も高い結果となった。
また、回答者の約半数は環境問題や社会課題への解決意欲があるものの、実際に社会貢献活動などの活動を行っているのは約2割程度だった。
SDGsについては、「知っている」と回答した若者の割合が前回の44.2%から73.4%へと30ポイント近く上昇した。高校生と大学生は8割超が「知っている」と回答している。全体の60.3%が、「SDGsは世界で達成するべき重要な目標」と思っているものの、「目標としている2030年に達成できそう」と考える若者は15.9%に留まっている。
◎金融・経済教育
金融や経済に関心をもつ若者の割合は全体の約4割であり、前回調査と大きな変化はない。どの年齢でも男子のほうが女子よりも関心が高く、金融・経済教育の理解度についても男子が女子よりも高い。投資への意欲がある若者のうち(n=435)、環境問題や社会課題に取り組んでいる企業への投資の意欲をもつ若者は、全体の約7割である。
◎キャリア意識
現在のキャリア意識として、「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計を多い順に並べると、トップ3は以下のようになる。
1位 興味・好奇心を追求して働くことが重要だ
2位 自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ
3位 喜びや充足感を得るために働くことが重要だ
この設問への回答を、大学生男子(200人)と大学生女子(200人)のそれぞれでみると、トップ3は以下のようになった。
大学生男子
1位 より高い報酬を得るために働くことが重要だ(給与の他諸手当、福利厚生含む)
2位 興味・好奇心を追求して働くことが重要だ
3位 社会に対して貢献するために働くことが重要だ
大学生女子
1位 興味・好奇心を追求して働くことが重要だ
2位 自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ
3位(同率)自己成長のために働くことが重要だ
3位(同率)喜びや充足感を得るために働くことが重要だ
結婚後、子どもがいない場合に希望する働き方として、「共働き(自分・結婚相手共に働く)」(48.7%)を選んだ若者が最も多い。また、男子(42.4%)より多くの女子(55.0%)が「共働き(自分・結婚相手共に働く)」を選んでおり、女子の共働きへの意欲が高い状況がうかがえる。
・「若者意識調査 ~サステナビリティ、金融経済教育、キャリア等に関する意識」
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=105899
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