Fortra(前HelpSystems)は1月25日、毎年恒例のIBM i市場調査「2023 IBM i Marketplace Survey Results」を発表した。「IT関連の関心事項」は回答者の50%以上が3年連続で、サイバーセキュリティ、モダナイゼーション、HA/DR、IBM i技術の4つを挙げているが、サイバーセキュリティとHA/DRがポイントを落とているのに対して、モダナイゼーションとIBM i技術の2つは3年連続で上げているなど、興味深い結果となっている。
今回は「約300人のIBM iユーザー」から回答があった。地域別は、米国48%、ヨーロッパ27%で、その他の地域はそれぞれ10%で分散している。業種別では、金融と製造がそれぞれ18%、ITソフトウェア開発13%で、その他の業種はそれぞれ10%以下である。また回答企業の従業員規模は、「100人未満」が23%で最多、「1万1人以上」が14%で、その間は、中小、中堅、大企業がほぼ均等に分布している。
IBM iのOSバージョンとPowerのモデルは、新旧の交代が直線的に“きれいに”進んでいる。日本におけるここ数年のドラスティックな変化とは対照的である。日本では、日本IBMの“慣例破り”のEOS施策(2017年9月発表)が、OSバージョン/Powerモデルの移行に大きく影響した。
「IBM iで稼働する業務システムをどこで運用しているか」への回答は、興味深い結果になった。
今回(2023年版)は、
・オンプレミスのみで運用 82%
・ハイブリッド(オンプレミスとクラウド) 10%
・クラウドのみ 8%
2022年版は、
・オンプレミスのみで運用 78%
・ハイブリッド(オンプレミスとクラウド) 15%
・クラウドのみ 7%
2021年版は、
・オンプレミスのみで運用 84%
・ハイブリッド(オンプレミスとクラウド) 10%
・クラウドのみ 6%
という結果で、「クラウドのみ」に1ポイントずつの増加が見られるが、3項目とも大きな変化はない、と見ることができる。アンケート結果を見る限り、IBM iで稼働するIBM iシステムのクラウド化はそれほど進んでいない、と言えそうである。
また、「ハイブリッド」と「クラウドのみ」中のクラウド化したものは、今回(2023版)、以下のような結果だった。
・コア・ビジネスアプリケーション 65%
・テスト/開発 65%
・バックアップ 59%
・災害対策(DR) 55%
・その他 8%
この結果も、2021年版と2022年版の調査結果と大きな変動はない。
「IBM i開発で使用中の言語」は、以下のような結果だった。
i Magazineの調査結果(2022年)とは、調査方法が異なるので厳密な比較はできないが、SQL、Java、PHPなどオープン系言語の利用は欧米のほうが進んでいる。JavaやPHPは日本の約2倍、SQLは4倍ほどの開きがある。
・2023 IBM i Marketplace Survey Results(ダウンロード)
https://www.fortra.com/resources/guides/ibm-i-marketplace-survey-results
[i Magazine・IS magazine]