IBMは1月10日、日本において、一部のIBM i環境で仮想シリアル番号(VSN)を利用可能にした、と発表した。
仮想シリアル番号とは、論理パーティションごとに仮想的に割り当てられるシリアル番号のこと。
シリアル番号は従来、1台の物理的なハードウェアに割り振られ、その上で稼働するソフトウェア(ツール、パッケージ)もそのシリアル番号に紐づけられて管理されてきた。
ただしこのソフトウェアの管理方法は、ハードウェア上で論理的なパーティション(LPAR)構成が可能になり、LPAR単位で独自のOSインスタンスを立てられるようになると、不都合なことが出てくる。個別のOSインスタンスを別のハードウェアへ移動し稼働させようとしても、OSインスタンスのシリアル番号が元のハードウェアに紐づけられているので、新しいマシン上でソフトウェアやアプリケーションを動かすことができないからだ。
今回の仮想シリアル番号は、この問題を解決するもの。論理パーティションごとにシリアル番号を付与し、OSインスタンスとその仮想シリアル番号を一緒に移動することにより、別のハードウェア環境で稼働させることができる。
仮想シリアル番号は、IBMへの申請により取得できる。OSインスタンスの移動については、移行元・移行先のPowerハードウェアがHMCの管理対象である必要がある。また対象はPower9・Power10サーバーだが、細かい利用条件があり、利用中のすべての環境に適用できるわけではないようだ。
IBM i製品マネージャーのアリソン・バタリル(Alison Butterill)氏は、米IT Jungle(オンラインメディア)の質問に答えて、「今回の仮想シリアル番号は最初のステップ。IBMは次のステップも検討中です。サービスプロバイダーからはワークロードやアプリケーションの柔軟な移動について強い要望がきています」と述べている。
なお、仮想シリアル番号は米国では2022年1月25日に発表されている。日本は約1年後の適用となる。
・製品発表レター「IBM は、日本および中南米の一部の国で、 IBM i で使用する IBM Power テクノロジー・ベースのサーバーの仮想シリアル番号の注文を可能にしました」
https://www.ibm.com/common/ssi/ShowDoc.wss?docURL=/common/ssi/rep_ca/5/760/JAJPJG23-0025/index.html
・IBM iの仮想化
https://www.imagazine.co.jp/imagazine-7162/
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