「API-Bridge」は、オムニサイエンスが開発し、2021年8月にリリースしたAPI連携ツールである。
「PHPQUERY」をはじめとする多彩なソリューションを提供し、国内のIBM i市場で強い存在感を発揮する同社が、RPG技術者を想定して開発した初の国産API連携ツールだ。多くのIBM iユーザーにヒアリングし、APIに関するニーズを即座に標準機能として反映している。こうした対応の早さは、国産ベンダーならではの柔軟性、迅速性であろう。
API-Bridgeの最も大きな特徴は、IBM iをAPIサーバー化する機能とクライアント化する機能の双方を備えること。
「IBM iをAPIサーバー化する」とは、外部システムがAPI経由でIBM i上のロジックやデータを活用すること。「IBM iをAPIクライアント化する」とは、IBM iがAPI経由で外部システムのアプリケーションやデータを利用することである。つまりAPIを公開し、ロジックやデータを提供するのが「サーバー」(もしくはプロバイダー)、APIを実行してロジックやデータを活用するのが「クライアント」(もしくはリクエスタ)となる。
たとえばIBM iをサーバー化すれば、基幹ロジックとデータをリアルタイムにExcelやWebサイト、オープン系アプリケーション、クラウドサービスなどで活用できるようになる。またIBM iをクライアント化すれば、APIで公開されている郵便番号などの住所データをIBM iの顧客データと連携させたり、外部の与信データをIBM i上へ呼び込んだり、天候データをIBM i上に取り込み、天候を踏まえた納品日の調整などに役立てるといった使い方が可能となる。
基幹データを周辺システムで活用する場合は、IBM iをサーバー化するニーズのほうが高いように考えられるが、APIの利用が拡大するにつれて、上記のようにIBM i上で社内外の周辺システムのデータを活用する例も今後は増えてくるだろう。
本来、サーバー化とクライアント化は別々の機能であり、同一製品内で双方に対応できるのは、現在のところAPI-Bridgeだけである。
サーバー化する場合は、まずAPI公開したいプログラムを選択し、パラメータを設定。仕様出力やセキュリティ、実行回数管理などの各種設定を行う。APIとして公開できるプログラムはRPG、CL、SQLで、ILE RPGだけでなく、RPG Ⅲも可能である。またクライアント化する場合は、IBM iから実行したいAPIの仕様を確認し、それに合わせてIBM i側でAPIの実行定義(実行URLと取込先DBの指定)を作成する。
API-Bridgeでは、ニーズに応じて以下の3つのエディションがあり、いずれも月額のサブスクリプション型料金体系を用意している。
「Enterprise Edition」は、サーバー化およびクライアント化の全機能を搭載し、APIアーキテクチャを推進する。「Professional Edition」は、サーバー化に特化した機能を提供する。「Solution Edition」は特定ソリューションに向けて、サーバー化とクライアント化機能をパッケージ化している。対象となるソリューションはkintone、i-Reporter、Slack、LINE、Garoon、Box、intra-mart、FAX(faximoSilverなど)の8種類であり、今後もOutSystemsなど順次リリースしていく予定である。
株式会社オムニサイエンス
https://www.omni-s.co.jp/
[i Magazine 2022 Autumn(2022年11月)掲載]
特集 IBM iの連携力
PART1:注目されるIBM iの連携ソリューション
・オムニサイエンス:API-Bridge
・日販テクシード:ハイブリッドAPI開発スターターパック
・三和コムテック:ConnectCDC、ARCAD API
・クライム:Syniti Data Replication
・マジックソフトウェア・ジャパン:Magic xpi Integration Platform
・ソルパック:GoAnywhere MFT
・JBアドバンスト・テクノロジー:Qanat Universe、Qanat 2.0
・イグアス:i-Cross API
PART2:IBM i 最新連携事例
・株式会社フェリシモ
データ中心アーキテクチャに沿って
ファイル連携とAPI連携を使いわける
・日本ハム株式会社
・日本ハムシステムソリューションズ株式会社
IBM iの基幹データをAPIでAIシステムへ連携
・株式会社JRC
IBM iを中心にしたシステム構成から
データ連携が主役の将来構想へ