IPA(情報処理推進機構)は10月26日、『DX実践手引書 ITシステム構築編(完成第1.0版)』『DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査 概要報告書』『APIの活用に関する実践状況調査 概要報告書』の3本のレポートを公開した。
これはIPAが2020年度から進めている「DXの推進事業」の一環で、これまでに以下に取り組んできた。
・DXの取り組みが優良な企業の認定
・DX銘柄の選定に向けた調査
・ITシステムに特化した評価指標の策定(プラットフォームデジタル化指標)
今回のレポートはこの延長上にあるもので、次のような内容である。
『DX実践手引書 ITシステム構築編(完成第1.0版)』
DXにこれから取り組む企業や構築中の企業へ向けた実践的ガイドラインで、「DXを推進するためのあるべき姿、それを実現するための方法論」をまとめている。全191ページ。
本レポートの構成は以下のとおり。
第1章:DXを実現するための考え方
第2章:DXを継続的に進めるための考え方
第3章:DXを実現するためのITシステムのあるべき姿
第4章:あるべきITシステムとそれを実現する技術要素
このうち第4章に6割(約120ページ)を割いて、以下を解説している。
・DXを実現するための技術要素群の全体像
・アジャイル開発
・API
・IOT
・社会最適を実現するための外部サービスの活用
・現行システムからあるべき姿への移行
『DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査 概要報告書』
本レポートは巻頭で、「日本におけるDXの推進は、“DXに取り組み始めている企業”と“まだ何も取り組めていない企業”に2極化しつつある」としたうえで、「DX先進企業においても(中略)試行錯誤の時期を経験しながら、DXの実現・成功に至ったと考えられる。そうした、試行錯誤の中では、どのような点が課題としてあり、どのような施策を行うことで、その後のDXの実現に結び付けることができたのか、といった情報も、まだまだDXの取り組みを進められていない企業にとって、有益なものとなる」と、本レポートの狙いを記している。
調査対象は、「DXの実践で試行錯誤を経験した」6社。レポートはヒアリング内容を1社ずつ細かく記載しているが(下図)、それを辿るだけでも試行錯誤の様子が伝わってくる。
レポートは末尾で、DXに成功した要因として、次のような共通点・パターンを挙げている。
[中小企業]
▪ 経営陣が自ら現場で改革をリード
▪ トップダウン・ボトムアップで社員の協力を得る
▪ 限られたリソースの中での工夫が変革を生む
▪ 実現をサポートしてくれるパートナーを見つける
[大企業]
▪ 明確な戦略・ビジョンが課題を乗り越える駆動力に
▪ DX/IT/事業が垣根を越えて一体となって課題に取りかかる
▪ 実現をサポートしてくれるパートナーを見つける
『APIの活用に関する実践状況調査 概要報告書』
本レポートは、DX先進企業がどのようにAPIを活用しているかを調査したもの。今回公開された『DX実践手引書 ITシステム構築編(完成第1.0版)』では第4章で「API」について解説しているが、本レポートは企業の現場ではどのように使われているか、ケーススタディとしてまとめたものである。
調査対象は、情報・通信、保険、小売、製造の4社とAPI管理ツールベンダー1社。
調査は「API活用の全体像」「API個別・API群」「API全体管理」の3つの観点から28の項目についてヒアリングした(下図)。
末尾の「調査のまとめ」では、各ヒアリング項目への回答結果と今後の課題・対策について整理している。
各レポートのダウンロードは下記URl。
・『DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査 概要報告書』
https://www.ipa.go.jp/files/000094497.pdf
・『DXを推進する上での課題と対応事例に関する調査 概要報告書』
https://www.ipa.go.jp/files/000103770.pdf
・『APIの活用に関する実践状況調査 概要報告書』
https://www.ipa.go.jp/files/000103771.pdf
・IPAの「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」ページ
https://www.ipa.go.jp/ikc/our_activities/dx.html#section7
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