IBMは10月4日(米国時間)、プロダクトエンジニアリングサービス企業のDialexa(ダイアレクサ)を買収した。IBMは9月22日に買収計画を発表しているが、Dialexaが10月4日、Twitterで「買収完了」と公表した。
Dialexaは2010年設立で、米国のダラス(本社)とシカゴに拠点を構える、従業員約300人の企業。「プロダクトマネージャーやデザイナー、フルスタックエンジニア、データサイエンティストなど高度なスキルをもつスタッフを多数擁し、AWSやAzureなどのクラウドプラットフォームにおいてプロダクトエンジニアリングサービスを提供してきた深い経験をもつ」と、IBMは紹介している。顧客には、Pizza Hut米国、Toyota Motor North America、Deere & Company(世界最大の農業機械・建設機械メーカー)などの著名企業が名前を連ねている。
Dialexaのサイトには、強みをもつ事業分野として以下を挙げている。
・技術戦略の策定
・プラットフォーム・エンジニアリング
・カスタムソフトウェア・エンジニアリング
・ユーザーエクスペリエンスの設計
・機械学習エンジニアリング
・ハードウェア・エンジニアリング
Dialexaがメインビジネスとする「プロダクトエンジニアリングサービス」は、欧米で急成長している分野。
プロダクトエンジニアリングサービスとは、製品のコンセプト開発から設計、開発、リリース、サポート、リエンジニアリングまでの製品ライフサイクルの全体をカバーするエンジニアリング手法に基づくサービスで、メーカーやサービス企業はこのサービスを利用することにより、「企業が本来が行うべきビジネス戦略の立案や実行、マーケティングなどに集中できるメリットがある」(米Transparency Market Research)という。
欧米では現在プロダクトエンジニアリングサービスが急速に普及し、注目分野となっている。米Transparency Market Research社によると、同市場は2021~2031年に年平均8.8%増で成長し、2031年には1530億ドル(約22兆円)に達する見通しだ。
同サービスの米国市場におけるリーディング企業は、アクセンチュア、Akka Technologies、IBM、タタコンサルテンシーサービス、Xoriant(ゾリアント)などで、IBMが一角を占めている。
IBMは今後、DialexaをIBMコンサルティング事業に組み込み、「米州におけるデジタル・プロダクトエンジニアリングサービス事業の中核を担わせる」計画。アービンド・クリシュナ氏がCEOに着任(2020年4月)して以降、IBMは25社以上を買収してきたが、「プロダクトエンジニアリングサービス分野における買収は初めて」という。
IBMコンサルティング部門のシニアバイスプレジデント、ジョン・グレンジャー氏(John Granger)は、「Dialexaの専門知識とIBMのハイブリッドクラウドおよびビジネス・トランスフォーメーション・オファリングとを組み合わせることにより、お客様は自社の製品コンセプトを差別化されたものへと変え、成長を加速するできるようになる」と述べる。
またDialexaのCEO兼共同創業者、スコット・ハーパー氏(Scott Harper)は、「デジタル・プロダクトエンジニアリングサービスは、競争優位のための槍の先端のようなもの。IBMとDialexaが共有するデジタル・プロダクトエンジニアリングサービスのビジョンは、ゲームチェンジャーになる」と、意気込みを語っている。
[i Magazine・IS magazine]