ガートナージャパンは8月16日、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」を発表した(米Gartnerの8月10日発表リリースの翻訳)。
ガートナーの「ハイプ・サイクル」は、新たに登場したテクノロジーがどのような軌跡をたどって普及するかを示したもので、「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓発期」「生産性の安定期」の5つのフェーズに分かれる。
今回のハイプ・サイクルで「『過度な期待』のピーク期」にランクインしたのは、次の6つのテクノロジー(カッコ内は、主流の採用までに要する年数。以下同じ)。このうち、「NFT(非代替性トークン)」と「分散型アイデンティティ」以外は、初めてこのゾーンに登場するテクノロジーである。
・クラウド・データ・エコシステム(2~5年)
・NFT(非代替性トークン)(2~5年)
・分散型アイデンティティ(5~10年)
・ファウンデーション・モデル(5~10年)
・Web3(5~10年)
・コンピュテーショナル・ストレージ(5~10年)
Gartnerの定義によると、「クラウド・データ・エコシステム」はクラウドベースのデータ管理サービス。クラウド上のデータ管理は企業による個々の構築・管理からサービスの利用へと移行する、とGartnerは予測している。「ファウンデーション・モデル」は事前学習済みのAIモデル。幅広いAIタスクへの適用が可能とされる、「コンピュテーショナル・ストレージ」はCPU搭載のストレージで、I/O負荷の軽減のほかに、ストレージ側でのデータ処理(分散処理)が期待されている。
2022年の「黎明期」には多数のテクノロジーがリストされている。このうち「『過度な期待』のピーク期」の手前にある4つのテクノロジーは次のとおり。
・スーパーアプリ(5~10年)
・インダストリ・クラウド・プラットフォーム(5~10年)
・インターナル・タレント・マーケットプレイス(5~10年)
・デジタル・ヒューマン(10年以上)
以下は、2017年~2020年の「『過度な期待』のピーク期」と「黎明期」にリストされたテクノロジーである(カッコ内の年数は発表当時)。
2021年のハイプ・サイクル
『過度な期待』のピーク期
・分散型アイデンティティ(2~5年)
・データ・ファブリック(5~10年)
・非代替性トークン(2~5年)
・AI拡張型ソフトウェア・エンジニアリング(5~10年)
・従業員コミュニケーション・アプリケーション(2~5年)
・コンポーザブル・アプリケーション(2~5年)
黎明期
・ジェネレーティブAI(2~5年)
・マルチエクスペリエンス(5~10年)
・デジタル・ヒューマン(10年以上)
・アクティブ・メタデータ管理(5~10年)
2020年のハイプ・サイクル
『過度な期待』のピーク期
・説明可能なAI(5~10年)
・ソーシャル・ディスタンシング・テクノロジー(2年未満)
・セキュア・アクセス・サービス・エッジ:SASE(5~10年)
・組込型AI(2~5年)
・データ・ファブリック(5~10年)
・コンポーザブル・エンタープライズ(2~5年)
・AI拡張型開発(5~10年)
黎明期
・責任あるAI(5~10年)
・マルチエクスペリエンス(5~10年)
・人のデジタル・ツイン(5~10年)
・シチズン・ツイン(5~10年)
2019年のハイプ・サイクル
『過度な期待』のピーク期
・グラフ分析(5~10年)
・5G(2~5年)
・バイオチップ(5~10年)
・エッジ・アナリティクス(5~10年)
・自律走行(レベル5)(10年以上)
・低軌道衛星システム(5~10年)
・エッジAI(2~5年)
黎明期
・説明可能なAI(5~10年)
・パーソニフィケーション(5~10年)
・ナレッジ・グラフ(5~10年)
・合成データ(5~10年)
2018年のハイプ・サイクル
『過度な期待』のピーク期
・ブロックチェーン(5~10年)
・シリコン負荷電池(5~10年)
・仮想アシスタント(2~5年)
・IoTプラットフォーム(5~10年)
・カーボン・ナノチューブ(5~10年)
・ディープ・ニューラル・ネット(ディープラーニング)(2~5年)
・デジタル・ツイン(5~10年)
・バイオチップ(5~10年)
・スマート・ワークスペース(5~10年)
・ブレイン・コンピュータ・インターフェース(10年以上)
・自律モバイル・ロボット(5~10年)
・スマート・ロボット(5~10年)
黎明期
・ディープ・ニューラル・ネット向けASIC(5~10年)
・AI PaaS(5~10年)
・量子コンピューティング(5~10年)
・立体ホログラフィック・ディスプレイ(10年以上)
2017年のハイプ・サイクル
『過度な期待』のピーク期
・ドローン(2~5年)
・ブロックチェーン(5~10年)
・コグニティブ・コンピューティング(5~10年)
・ナノチューブ・エレクトロニクス(5~10年)
・自律走行車(10年以上)
・機械学習(2~5年)
・ディープラーニング(2~5年)
・コネクティッド・ホーム(5~10年)
・仮想アシスタント(5~10年)
・IoTプラットフォーム(2~5年)
・スマート・ロボット(5~10年)
・エッジ・コンピューティング(2~5年)
・強化データ・ディスカバリ(2~5年)
黎明期
・スマート・ワークスペース(5~10年)
・会話型ユーザー・インターフェース(5~10年)
・ブレイン・コンピュータ・インターフェース(10年以上)
・立体ホログラフィック・ディスプレイ(10年以上)
・量子コンピューティング(10年以上)
「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2022年」プレスリリース
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20220816
[i Magazine・IS magazine]