MENU

メタバースの「標準化団体」ではなく、相互運用性標準の「開発を促進する団体」、メタバース・スタンダード・フォーラムが発足 ~創設メンバーはW3Cなど標準化10団体を含む37団体・企業、メタ、マイクロソフトも参加

「オープンで包括的なメタバースのための相互運用性標準の開発を促進するための標準化団体と企業の協力の場」というビジョンを掲げる「メタバース・スタンダード・フォーラム(The Metaverse Standards Forum、以下、フォーラム)が6月21日、発足した。

非営利の標準化団体Khronos(クロノス)が主幹事となり、創設メンバーには下記の標準化団体(10団体、末尾に記載)のほか、メタ、マイクロソフト、アドビ、NVIDIA、HUAWEI、ソニー・インタラクティブエンタテインメントなど37の団体・企業が顔をそろえる。家具・生活雑貨のIKEAも参加している。

創設メンバー 37の団体・企業
創設メンバー 37の団体・企業

クロノスの代表を務め、NVIDIAのバイスプレジデントも兼任するニール・トレヴェット(Neil Trevett)氏は、「メタバースは多様な技術を結集し、多くの標準化団体によって作成・維持される相互運用性標準を必要とする」と述べ、「フォーラムは、オープンで包括的なメタバースに不可欠な実用的でタイムリーな標準化の促進を使命とし、標準化団体と産業界を調整するユニークな場となる」と説明している。

相互運用性標準にフォーカス (日本語訳は編集部)
相互運用性標準にフォーカス (日本語訳は編集部)

フォーラムでは、

・メタバースの相互運用性を調整し、促進するための業界全体のフォーラム
・誰でも参加可能で無料、NDA(秘密保持契約)なし、IP(知的財産)のフレームワークなし
・業界と標準化団体(SDOs)の協調・協力の場

を理念として掲げる。

 メタバース・スタンダード・フォーラムの活動概要 (日本語訳は編集部)
 メタバース・スタンダード・フォーラムの活動概要 (日本語訳は編集部)

メンバーには、「プリンシパル」と「一般」の2種類があり、プリンシパル・メンバーはフォーラムの方針についての意思決定などに参画できる。そしてプリンシパルおよび一般メンバーが参加する「全体会議(Plenary Meeting)」で、活動の目標や優先順位を決めたり、プロジェクトの提案・討議などが行われ、その下で個別の「プロジェクト」や「活動」が走るという組織体制である。

 メタバース・スタンダード・フォーラムの組織・運用体制
 メタバース・スタンダード・フォーラムの組織・運用体制

活動としては、ハッカソン、プラグフェスト(接続試験)、実装プロトタイピング、オープンソース・ツーリングなど「実用的でアクションベースのプロジェクト」に焦点を当て、「メタバース標準のテストと採用を促進するとともに、一貫した用語と展開ガイドラインを開発する」としている。

具体的なプロジェクトは「メンバーのニーズと関心によって決まる」としつつも、3Dのためのアセット、レンダリング、AR・VRなどのヒューマンインターフェース、インタラクション・パラダイム、ユーザー作成コンテンツ、ID管理、プライバシー、金銭取引、などを挙げている。「多様な技術領域が含まれる可能性がある」という。

フォーラムの初ミーティングは2022年7月に開催される予定。フォーラムへの参加登録(無料)は、下記のサイトから行える。

https://metaverse-standards.org/


●創設時に参加した標準化団体

・Academy Software Foundation
 映画・メディア産業におけるオープンソースソフトウェア開発を推進
・CalConnect
 カレンダーとスケジューリングの相互運用性
・the Enosema Foundation
 セマンティックの相互運用性、共有概念、概念管理の標準化
・the Express Language Foundation
 データ交換のための情報モデルの定義・普及・促進
・Khronos
 3D技術の標準化
・OpenAR Cloud
 相互運用可能なARクラウドのテクノロジー、データ、標準の開発推進
・the Open Geospatial Consortium
 地理空間のコンテンツ、サービス、データ処理・共有に関する標準規格の開発・実装
・Spatial Web Foundation
 空間Webのためのオープンスタンダードとプロトコルの開発
・Web3D Consortium
 X3D (eXtensible 3D)標準・ツールの開発
・The World Wide Web Consortium
 World Wide Webで使用される技術の標準策定


[i Magazine・IS magazine]

新着