イグアスは、ラクスの提供する電子請求書発行システム「楽楽明細」とIBM iの基幹データを連携させる「i-Road Exporter for楽楽明細」を2021年12月にリリースした。
「楽楽明細」は、導入実績が3000社を超えるクラウド型の電子請求書発行システムである。これはIBM iやオープン系サーバー、クラウドサービスなどで稼働する多彩な販売管理システムから請求書、納品書、支払明細などの帳票をWeb上で発行するクラウドサービスだ。
帳票データのCSVもしくはPDFファイルを「楽楽明細」にアップロードするだけで、発行先に応じてWeb、メール、郵送、FAXのいずれかの方法で自動的に割り振り、発行できる。
印刷・封入・封かん・発送といった煩雑な業務の解消、用紙代や印刷・郵送に要するコストの削減、締日から着日までのリードタイム短縮といったメリットがあり、昨今は電子帳簿保存法への対応ニーズもあって、急速に導入実績を増やしている。
一方の「i-Road Exporter」は、JBアドバンスト・テクノロジー(以下、JBAT)が、同社のクラウド連携プラットフォームである「Qanat Universe」をベースに独自に開発した。IBM iの基幹データを多種多様なクラウドサービスへ連携することを狙いとしており、その第1弾が今回リリースされた「i-Road Exporter for楽楽明細」となる(図表1)。
JBATでは2021年5月ごろから、IBM iユーザーに向けたDX支援策を模索していたという。
多くの企業でDX実現に向けたクラウドサービス活用が進んでいるが、既存システムとクラウドサービスの連携には多くのノウハウとスキルが要求される。導入コストや導入工数、IT人材の不足、DXリテラシーの欠如などが課題となり、とくに中小規模の企業ではクラウドサービスの活用が十分に進んでいない状況があると、かねてから指摘されていた。
そこでJBATでは、既存システムとクラウドサービスの自動連携を可能にすることで、IBM iユーザーのDX推進を支援しようと考えたのである。
CSVファイルを自動作成し
「楽楽明細」へアップロード
通常、IBM iユーザーが「楽楽明細」を利用して、自社の基幹データを電子帳票としてWeb公開する場合、まず請求データなどからCSVファイルを作成し、「楽楽明細」へアップロードする作業が発生する。
さらにその後、「楽楽明細」にログインし、CSVデータの取り込みと確認、承認依頼および承認を経て、取引先ごとに請求データがWeb上で公開される。
これに対して「i-Road Exporter for楽楽明細」では、API機能を活用して、CSVファイルの作成やアップロード、そして「楽楽明細」のオペレーションで発生する作業のほとんどを自動化している点に大きな特徴がある(図表2)。
「i-Road Exporter for楽楽明細」を利用した場合は、ユーザーがIBM iのデータベースから請求データを作成し、「i-Road Exporter」が監視するフォルダへその請求データが送信されたことをトリガーに、APIが起動する。
そしてデータベースを参照してCSVファイルを自動的に作成し、「楽楽明細」へアップロードする。さらに「楽楽明細」へログインし、CSVファイルの取り組みからWeb公開までのオペレーションを自動化する。IBM i起点でデータを発生・連携させるので、複数担当者によるデータの確認作業なども不要となる。
導入作業としては、IBM iのWebSphere Application Serverと、端末となるPC側の双方へエージェントソフト(モジュールソフト)をインストールするだけである。
多彩なクラウドサービスと連携し
DX推進を支援する
このように、「i-Road Exporter for楽楽明細」では、電子請求書発行による印刷・封入・封かん・発送といった業務の解消、用紙や印刷・郵送コストの削減といったメリットに加え、基幹システムとクラウドサービスの連携時に発生しがちな数々の課題を解決する。
たとえばデータ連携作業に伴う開発コストや工数の削減、人的リソース不足の解消。またIBM i起点で請求データを自動取得し、帳票作成から発送までをクラウド上で完結させるので、明細データが残らず、複数担当者によるチェック作業も不要、データの誤送信といったリスクも解消できるなど、セキュリティ面の向上も期待できる。
クラウドサービスとして運用する「i-Road Exporter for楽楽明細」の利用料金は、月間のコネクト数に準じる。最小構成で月額料金が5万1900円、年額利用料金で62万2800円(どちらも「楽楽明細」の利用料金を含む)。最低契約期間は1年で、データ定義や接続などの初期費用は別途に発生する(最小構成で初期費用は55万円)。
イグアスおよびJBATでは、ターゲットとするクラウドサービスを拡大し、今後は「i-Road Exporter」の第2弾、第3弾をリリースしていく。IBM iとクラウドサービスの連携力を強化させることで、DX推進をさらに支援していくとのことだ。
株式会社イグアス https://www.i-guazu.co.jp/
JBアドバンスト・テクノロジー株式会社 https://www.jbat.co.jp/
株式会社ラクス https://www.rakus.co.jp/
[i Magazine・IS magazine]