IBMは2月14日(現地時間)、IBM Z(z/OS)用アプリケーションの開発・テストをクラウド上で行えるようにする「IBM Wazi as a Service」の開発意向表明(Statement of Direction)を発表した。
このサービスを利用することにより、ユーザー(開発者)はIBM CloudのVPC(Virtual Private Cloud)上でz/OSシステムをプロビジョニングでき、クラウドのメリットを享受しつつ開発・テストが行える。
IBMの製品発表レターでは、次の4点がメリットとして挙げられている。
• オンデマンドでz/OSシステムを構築・利用できるため、開発およびテストのスピードと俊敏性が向上
• 柔軟性があり使用量に基づく料金により、z/OSにおけるDevOpsの実践が加速
• 自動化された継続的なテストによるソフトウェア品質の向上
• 一貫したクラウド・ネイティブ開発エクスペリエンスにより、専門スキルの必要性を低減
また、IBMのアラン・ピーコック氏(IBM Cloud Delivery & Operationsゼネラル・マネージャー)は、Wazi as a Serviceとx86上のZ Development and Test environment(ZD&T)のコンパイル・テストの結果を比較して、「Javaアプリケーションでは約15倍、Cアプリケーションでは約12倍、COBOL/FORTRANアプリケーションでは約8倍、Wazi as a Serviceのほうが高速処理できた」と述べている。
Wazi as a Serviceのベースになっている「Wazi」は、IBMが2020年5月に発表した「IBM Wazi for Red Hat CodeReady Workspaces」。IBM Cloud Pak for Applicationのアドオン製品で、x86マシン上のOpenShift環境でVisual Studi CodeやEclipseなどの標準的なIDEを使い、z/OSアプリケーションを開発・テストできるようにした製品である。
今回のWazi as a Serviceは、そのWaziのソリューションをクラウド上で利用可能にするもので、z/OSの歴史上、画期的。ただし、製品のリリース時期は公表されていない。
IBMは、「将来的にはIBM Wazi as a Service機能を拡張して、最新のクラウド・ネイティブ開発体験をすべてのz/OSデベロッパーに提供する予定」と追記している。
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メインフレーム分野では最近、AWSが「AWS Mainframe Modernization」(2021年12月)を発表するなど、オンプレミスからクラウドへの移行やハイブリッドクラウドを想定したサービスの提供が活発になっている。
IBMでも昨年12月にメインフレームのハイブリッドクラウド化に関する知見・リソースを結集する「IBM Z and Cloud Modernization Center」を新設。今回の開発意向表明はそれに続く動きとなる。
・製品発表レター
・IBM Wazi as a Serviceページ(英語)
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