IBMは1月24日(現地時間)、2021年第4四半期と通期の業績を発表した。総売上高は167億ドルで、前年同期のキンドリル相当分を引いた売上高との比較では6.5%増(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースでは8.6%増)だった。営業総利益率は58%、税引き前営業利益は35億ドル。
今期の結果について会長兼CEOのアービンド・クリシュナ氏は、決算説明会で、「第4四半期の業績は、1ケタ台半ばの収益成長モデルを実現するとした当社の戦略と事業モデルに対する確信を深めるものでした」と強調した。
第4四半期の主な業績ハイライトは、次のとおり。
・ソフトウェア事業の売上高は、前年同期比8%増(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースでは10%増、キンドリルの外部売上高の増加による約5ポイントを含む)
・コンサルティング事業の売上高は同13%増(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースで16%増)
・インフラストラクチャ事業の売上高は横ばい(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースで2%増)
・ハイブリッドクラウドの売上高は62億ドルで、前年同期比16%増(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースで18%増)。通期では202億ドルで、対前年比20%増(為替変動の影響を除いた恒常通貨ベースで19%増)
セグメント別の四半期業績は、以下のとおりだった(%は前年同期比)。
ソフトウェア事業
◎全体
売上高73億ドル、10%増
◎分野別
・ハイブリッド・プラットフォーム&ソリューション:9%増
・Red Hat:21%増
・自動化(Automation):15%増
・データ&AI:3%増
・セキュリティ:1%減
・トランザクション・プロセッシング:14%増
◎ハイライト(ジェームズ・カヴォノーCFOの説明による)
・ハイブリッド・プラットフォーム&ソリューション部門の好業績は、Red Hatと自動化の好調による。Red Hatの収益は、RHELとOpenShiftが企業の重要なハイブリッドクラウドの要件に対応しているため、インフラストラクチャとアプリケーション開発&先進技術(InfrastructureとApp Dev & Emerging Tech)の両分野で2ケタ成長した。
・自動化部門の好業績は、自動化に対する市場の旺盛な需要を背景にしている。当四半期に、AIOpsおよびマネジメントで、リソース管理とパフォーマンス監視に取り組んだ結果、良好なパフォーマンスを得ることができた。自動化のために買収したInstanaとTurbonomicは、迅速な価値創造をもたらしている。
・インテグレーションは、Cloud Pak for Integrationの継続的な普及により成長しました。データとAIの収益は3%増加。また、特にハイブリッドクラウドに分散しているサイロ化したデータを移動することなく接続できる「データ・ファブリック(Data Fabric)」が好調だった。
・セキュリティ分野の業績は、データ・セキュリティ分野の業績低下により減少した。年間通期では5%増。
・トランザクション・プロセッシングの業績(14%増)は、すべてキンドリル関連。キンドリルとの関係は16ポイント以上の成長に貢献した。
コンサルティング事業
◎全体
売上高47億ドル、16%増
◎分野別
・ビジネス・トランスフォーメーション:20%増
・テクノロジー・コンサルティング:19%増
・アプリケーション・オペレーション:8%増
◎ハイライト(ジェームズ・カヴォノーCFOの説明による)
・コンサルティング事業部門のハイブリッド・クラウドの収益は、34%増。通期では32%増の80億ドル。この成長には、Red Hatを中心としたアプリケーション・モダナイゼーションが貢献している。
・Red Hat関連の成約は2020年よりも2倍以上に増え、設立以来40億ドルを超えた。2021年第4四半期には150件以上の顧客契約があり、設立以来の累計契約数は1000件を超えた。
・戦略的パートナーシップに基づく業績を牽引した。パートナーシップによる収益は、年を追うごとに加速し、第4四半期にはSalesforce、SAP、AWS、Azureを中心に2ケタ台の伸びを示した。
・コンサルティング事業の成長を牽引したのは、20%増のビジネス・トランスフォーメーション。この事業は、テクノロジーと戦略的コンサルティングを組み合わせ、顧客の重要なワークフローの大規模な変革に取り組むもの。これを実現するために、IBMテクノロジーのスキルと能力、およびSAP、Salesforce、Adobeなどの戦略的エコシステムパートナーを活用した。
・当四半期は、クラウド・ネイティブ・アプリケーションを構築するアプリケーション・モダナイゼーションや、既存のアプリケーションをクラウド向けにモダナイゼーションするサービスが引き続き好調だった。
インフラストラクチャ事業
◎全体
売上高:44億ドル、2%増
◎分野別
・ハイブリッド・インフラストラクチャ:2%増
・IBM Z:4%減
・分散インフラストラクチャ(Power、ストレージなど):7%増
・インフラストラクチャ・サポート:1%増
◎ハイライト(ジェームズ・カヴォノーCFOの説明による)
・インフラストラクチャの2%増は、2021年10月時点の想定よりも高い成長率。
・このセグメントでは、ハイブリッド・インフラストラクチャと、以前のテクノロジー・サポート・サービスであったインフラストラクチャ・サポートを統合した。これにより、ハードウェア・プラットフォームのライフサイクルをより適切に管理し、顧客にエンド・ツー・エンドの価値を提供できるようになった。
・当四半期は、z15の提供開始から10四半期目にあたるが、z15の業績は、好調だったz14を上回り続けており、z15は過去最多のMIP数を出荷している。
・分散インフラストラクチャの7%増は、主にストレージ・ポートフォリオの強化による。
地域別
・南北アメリカ:81億ドル(7%増)
・EMEA(欧州・中東・アフリカ):53億ドル(7%増)
・アジア太平洋:33億ドル(16%増)
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