タレスは1月19日(現地時間)、ソフトウェア・ライセンスに関する動向調査「State of Software Monetization 2022」(ソフトウェア収益化の現状:2022年)を発表した。
タレス(Thales)はフランスに本社を置き、ITを含め航空・宇宙・防衛分野などで幅広く事業を展開する国際的コングロマリット企業。旧社名はトムソンCSF。
同様の調査は2014年にも実施されており、今回はそれに続くもの。調査は2021年5~6月に実施され、1120社から1146件の回答があった。内訳は以下のとおり。
業種別
・ISV(独立ソフトウェアベンダー):210社
・IDV(独立デバイスベンダー) :210社
・企業のIT意思決定者 :700社
地域別回答数
・米国:400件
・中国:160件
・英国:160件
・オランダ:134件
・フランス:132件
・日本:80件
・イスラエル:80件
レポートは冒頭で、「ソフトウェア業界はライセンス形態の移行時期に差しかかっている」と指摘している。次のような状況認識を述べている。
ここ数年、SaaSによるソフトウェア配布が急速に伸びているが、ハイブリッド形態も人気が高まりつつある。ハイブリッド形態とは、オンプレミスとクラウドの両方で製品を配布しライセンスの切り替え/一元化に対応するもの。その一方、より柔軟な導入・ライセンスモデルを求めるユーザーニーズの高まりを反映して、ライセンスの仕組みがいっそう複雑になりつつある。そしてカスタマーエクスペリエンスが重視されるようになった結果、変化するユーザーニーズへの対応が重要な課題となった。
上記を示すのが、以下の調査結果である。
まず「ソフトウェアの配布形態」。2014年の調査では、クラウド(SaaS)での配布は33%だったが、7年後の現在は約2倍(65%)に増加している。「ベンダーがSaaSへのシフトを進めていることを裏づけるもの」と、レポート。別の設問では、今後12~24カ月間にISV・IDVの74%がSaaSによる配布の増加を想定しているという。
ISV・IDVは今後12~24カ月間に、自社ソフトウェア製品に下図のような変更を加えている。1位は「ソフトウェア製品をクラウドベースのアーキテクチャに」で58%である。
「自社ソフトウェアの運用に関する課題」は、次のような結果である。「複数デバイスにわたるライセンシング」がトップで、「異なる導入環境でのライセンシング」「リモートワークするユーザーのサポート」が続く。
レポートは総括として、ソフトウェアの配布と収益化、およびエンタイトルメント(権利)管理を適切に執行するベンダーは、次のようなメリットが得られるとしている。
・顧客がソフトウェア製品をどのように導入して利用するかに関して柔軟なオプションを提供できる
・顧客が製品を使い慣れるまでの学習時間を短縮し、ベンダーへの技術的な要望を抑制できる
・自社の成長を妨げる大きな障壁を解消し、競争優位性と収益向上を実現し、より多くの顧客に自社製品を満足してもらいながら、その数を確実に増やしていくことが可能になる
レポートは日本語版を含め各国版が以下のページからダウンロードできる。
・「State of Software Monetization 2022」
https://cpl.thalesgroup.com/resources/software-monetization/2022/software-monetization-trends-report
[i Magazine・IS magazine]