米国e-ラーニングベンダーのSkill Softは12月2日、女性IT技術者の現状についての調査レポート「2021 Women in Tech Report(2021年 技術系女性レポート)」を発表した。
調査は2021年春~夏にオンラインで実施され、米・英・カナダ・フランスの1100人の女性IT技術者から回答があった。レポートはA4版86ページ。
調査のハイライトとしてレポートは、女性技術者は職場において一定のポジションを得ているものの、「専門的な能力開発やキャリアアップの機会に関しては、依然として大きなギャップが存在している」と指摘する。
「ITキャリアを追求したい女性のために、組織は何をすべきか」という設問への回答は、次のような結果である。半数以上(55%)が「専門的教育・研修の機会」の必要性を訴え、43%が「コーチング/メンタリング/キャリアカウンセリング」を挙げている。
・専門的教育・研修の機会:55%
・子育て支援:47%
・コーチング/メンタリング/キャリアカウンセリング:43%
・平等な職場環境:41%
・インクルージョン文化のある職場環境:37%
・多様性のある職場環境:34%
・ボーナス支給:32%
・インターンシップ:30%
・技術系キャリア/ジョブフェア:29%
・その他:2%
・わからない:1%
一方、「ITキャリアを追求するうえで直面する課題は何か」への回答は、下図のような結果になった。この設問では、回答者の1/3が「専門的な能力開発やトレーニングの機会の不足」を挙げている。さらに、この設問への回答で注目すべきは、「公平性の欠如」がキャリア追求の障害であると考える女性技術が多数いるという点である。「賃金の公平性」や「機会の公平性」の不足は、それぞれ1/3以上が挙げている。
・賃金の公平性の欠如:38%
・ワーク・ライフ・バランスの欠如:36%
・機会の公平性の欠如:33%
・専門的な能力開発やトレーニングの機会の不足:32%
・多様性の欠如:25%
・インクルージョンの欠如:23%
・ハラスメント:17%
・なし – 重大な課題に直面したことはない:16%
・その他:1%
レポートは、「女性技術者はチャンスを求めている」と、女性技術者一般の前向きな姿勢を記している。しかしながらその一方で、女性技術者の多くがさまざまな局面で不公平を感じていることも明らかにしている。
その状況を打開するには、「従来男性に与えられていた機会、トレーニング、リソースを女性に与えることが重要」と、レポート。そして、「昇進とエンパワーメントの手段としての学習機会の提供と能力開発がポイントである」という。
レポートが、組織および個人が取り組むべき事項として、次の5つを提言している。傾聴に値する提言と言えるだろう。
●レジリエンス、アジリティ、エンパシーといったパワースキルを身につける
●積極的に耳を傾け、社内外で効果的なチェンジ・エージェントとなるための洞察力と感情的知性を身につける
●職場での女性の獲得、育成、昇進のためにリソースを投入する
●女性のプロとしてのキャリアパスをサポートするだけでなく、仕事と生活のバランスを促進する
●すべての分野で多様性、公平性、インクルージョンの文化を創造する
調査レポート「2021 Women in Tech Report」(英文)
https://www.skillsoft.com/2021-women-in-tech-report
[i Magazine・IS magazine]