IBMは7月8日(現地時間)、コンテナ導入支援サービスを提供するBoxBoat Technologiesを買収する、と発表した。
BoxBoatは2016年設立で、米メリーランド州に本社を置くサービス企業。キャッチフレーズを「私たちは問題解決者」(We are Problem Solvers)として、企業のコンテナ化計画支援やアプリケーションのコンテナ化、Kubernetesプラットフォームの運用、DevSecOpsのための自動化支援、マネージドサービス、トレーニングなどを提供している。
顧客はFortune 100企業や政府機関など多岐にわたり、パートナーにはAWS、Azure、Google Cloud Platformなどのクラウドプロバイダーや、GitLab、Docker、Rancher Labsなどのクラウドネイティブ企業が名前を連ねる。「我々のルーツはAWS」という文言も同社サイトで見ることができる。
同社CEO兼共同創業者のティム・ホーメン(Tim Hohman)氏はニュースリリースの中で、「私たちは、コンテナとDevOpsによる超高速のアプリケーション開発ワークフローの導入によって企業がITを変革できる可能性があると考え、BoxBoatを設立しました」と会社の成り立ちに触れ、「IBMへの加入により、コンテナベースのアプリケーションをオンプレミスやクラウドにデプロイすることによってお客様のイノベーションを支援するという共通のビジョンを実現できます」と述べている。
買収完了後、BoxBoatはIBMのグローバル・ビジネス・サービス(GBS)部門に編入される。「BoxBoatは、IBMのコンテナ戦略および実装サービスのポートフォリオを拡張し、IBMのハイブリッド・クラウド戦略をさらに進め、Red Hat OpenShiftの採用を世界的に加速します」と、ニュースリリースにある。
世界の企業はコンテナの採用・活用へ向けて大きく動いている。ガートナーによると、グローバル企業でコンテナ化アプリケーションを利用しているのは、2019年は35%未満だったが、2025年までに85%に達する。またDevOpsの導入は、2020年は企業全体の20%未満だったが2025年には50%以上になる、という。
しかしながら、コンテナが多用されるクラウド自体が期待どおりの価値を生み出していないようだ。PwCが今年3月に発表した調査レポートによると、米国企業の56%がクラウドを「成長とイノベーションのための戦略プラットフォーム」と見なしているものの、半数以上(53%)が「期待と現実との間にギャップがある」と認識している。そしてそのギャップについては、「クラウドのための技術要員の不足」(52%)や「技術面のリーダーシップの不足」(46%)が要因として挙げられている。
企業がクラウド化・コンテナ化を進めるにあたっては、企業単独では容易に解決できない大きな壁があることが、PwCのレポートなどから明らかだ。つまり、より専門的なスキルや経験が必要になっている。そこに今回の“問題解決者”BoxBoatの買収があると見ることができるだろう。
・BoxBoat https://boxboat.com/
・Gartner「Best Practices for Running Containers and Kubernetes in Production」
・PwC「PwC US Cloud Business Survey」
[i Magazine・IS magazine]