IBMは7月2日(現地時間)、ジム・ホワイトハースト氏の社長退任と関連する人事異動を発表した。会長兼CEOのアービンド・クリシュナ氏が直々発表するという異例の体裁を取った。
2020年4月の社長就任から1年余りという短期間の退任であることと、キンドリルの分社化(9月1日予定)を控え新生IBMの事業の根幹となるハイブリッドクラウドを牽引するトップリーダーであることから、海外メディアやアナリストの間では驚きをもって受け止められている。米Wall Street Journal(オンライン版)は「クリシュナ氏がCEOに就任して以来の最大の出来事」と報じる。
IBMは2018年のRed Hat買収以降、ハイブリッドクラウド戦略の要として、製品・サービスの基盤を独自のコンテナ製品からRed Hat OpenShiftへと置き換え、OpenShiftを軸にマルチクラウドやオープンなクラウド・エコシステムを拡大してきた。そしてその戦略の中心にいたのが、Red Hatの社長兼CEOを10年以上務め、オープンソース・コミュニティに幅広いネットワークをもつホワイトハースト氏だった。
ホワイトハースト氏は今後、事業部門などの担当をもたない、「エグゼクティブ・リーダーシップ・チームのシニア・アドバイザー」を務める。
ホワイトハースト氏はIBM社長として、「クラウド&コグニティブ・ソフトウェア」と「コーポレートストラテジー」を担当していた。今回の発表では、その後任の名前が挙げられている。ただし「社長(President)」職は空席となっている。
クラウド&コグニティブ・ソフトウェアは、トム・ロザミリア(Tom Rosamilia)氏の担当となる。直前の担当はシステム事業で、IBM ZやPower Systemsなどのサーバーとストレージ、OSソフトウェアと北米IBMを統括していた。ロザミリア氏はIBMで30年以上の経歴をもつベテランで、WebSphereのGMを務めたこともある。
ロザミリア氏の異動で空席となったシステム事業の担当には、新任のリック・ルイス(Ric Lewis)氏が着任した。ルイス氏は、IBM入社以前はヒューレット・パッカード・エンタープライズで30年以上にわたり、ハードウェア/ソフトウェア開発をリードしてきた(最終の職位はシニア・バイスプレジデント)。
また今回、グローバル・ビジネス・サービスの担当としてケリー・シャンブリス(Kelly Chambliss)氏、退任するグローバル・マーケット担当のブリジット・バン・クラリンゲンに代わってロブ・トーマス(Rob Thomas)氏の就任がそれぞれ発表されている。
[i Magazine・IS magazine]