IBMは4月12日(現地時間)、分社化により誕生する新会社の社名は「Kyndryl(キンドリル)」になる、と発表した。新会社は、2021年末までに設立される。
社名は、親族・関連・共通などの意味をもつ「kinship」(Kyn)と、植物の巻きひげを意味する「tendril」(dryl)を合わせた造語で、「企業戦略の中心に社員・顧客・パートナーとの関係を置き、人類の進歩を常に目指す」という意味を込めているという。
本社はニューヨークに置かれ、CEOはマーティン・シュローター(Martin Schroeter)、グループ・プレジデントはエリー・キーナン(Elly Keinan)、CMO(最高マーケティング責任者)はマリア・バルトロメ・ワイナンズ(Maria Bartolome Winans)の各氏が務める。
3氏とも、IBMで長くキャリアを積んできたベテランで、シュローター氏はCFO(最高財務責任者)やグローバル・マーケット担当シニア・バイスプレジデントなどを、キーナン氏は日本IBMの代表取締役社長(2017~2019年)などを、ワイナンズ氏は北米IBMのCMOなどを歴任した経歴をもつ。
新たにオープンしたKyndryl(キンドリル)のWebサイトで、次のようなFAQが掲載されている。主な点を紹介してみよう。
Q 顧客担当役員は現在のまま引き継がれるのか。
分社後も、顧客担当の主要なコンタクトポイントやサポートポイントに変更はない。顧客が受け取るサービスやデリバリーの質も変わらない。
Q 現場ではIBMとチームを組んで活動するのか。
現在のチームは、Kyndrylのサポート基盤となり、現在と同じ高品質のサービスを提供する。
Q 利用価格は変わるのか
Kyndrylへの移管後も既存の契約に基づいて運営されるため、価格の変更はない。
Q 当社のプロジェクトでもIBMの人材を利用できるのか
Kyndrylは、IBMの技術と研究・開発の専門知識、およびIBMのグローバル・ビジネス・サービス(GBS)部門のビジネスコンサルティング能力を引き続き利用する。Kyndrylの設立に伴い、IBMが保有する特許が多数移管される(3000件以上)。
Q Kyndrylは何をする会社か。
Kyndrylは、最も近代的かつ効率的、信頼性の高い技術インフラを設計・運営・管理する会社。
Q どこに本社を置くのか。
ニューヨークに本社を置き、主要な市場に拠点を置く予定。
Q マーティン・シュローターCEOは経営陣をいつ指名するのか。
今後数カ月のうちに経営陣を決定する。
Q 分社後のIBMとの関係はどうなるのか。
IBMとKyndrylは独立した別個の事業体となるが、設立当初はお互いが最大の顧客であり、重要な戦略的パートナーの1つとなる。Kyndrylは、IBMのハードウェアおよびソフトウェアを引き続き提供していく。Kyndrylは、他の戦略的パートナーや大口顧客と同様に、IBMの専門知識やリソースを利用できる。
Kyndrylは分社化により、IBMからグローバル・テクノロジー・サービス(GTS)部門のマネージド・インフラストラクチャ・サービス事業と115カ国 4600社以上の顧客、9万人の従業員を引き継ぎ、IT基盤の構築・運用とサービス・デリバリーの専門ベンダーになる。売上規模は190億ドル(1兆9000億円)が見込まれている。
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