理化学研究所(以下、理研)は4月1日、埼玉県和光市内に「量子コンピュータ研究センター(以下、RQC)」を開設し、併せて富士通と共同で「理研RQC-富士通連携センター」もオープンした。
理研のRQCは、政府が2020年1月に策定した「量子技術イノベーション戦略」に基づくもので、日本の量子コンピューティング研究の中核拠点となる。「量子技術イノベーション戦略」は、量子コンピュータの研究・開発で先行する米国・欧州・中国に追いつくための戦略で、量子技術イノベーションの創出へ向けて、「重点領域の設定」や「量子拠点の形成」、「国際協力」などの重要項目を定め、5つの戦略を定義したものである。RQCはそのうちの量子拠点の形成に当たる。
一方、理研と富士通の「理研RQC-富士通連携センター」は、両社が昨年(2020年)10月に締結した超伝導量子コンピュータに関する共同研究を発展させるための拠点。理研が取り組む超伝導回路を使った量子コンピュータの技術と富士通がもつコンピューティング技術・量子技術を統合して、エラー耐性のある1000量子ビット級の量子コンピュータの開発を目指す。
量子コンピュータの開発は、各社がさまざまな方式を採用し、しのぎを削っている。
量子コンピュータの開発には一般的に、基盤となる量子ハードウェアの開発と、その上で稼働するソフトウェアのうちの量子カーネルの改良、量子アルゴリズムの改善、適用モデル(ユースケース)の創出の4拍子がそろって進展する必要があると言われる。そのため、1社ですべてをカバーするのは困難なので、各社は大学・研究機関・ユーザー企業と連携し、グループを組んで共同研究・開発を進めている。
理研と富士通の今回の理研RQC-富士通連携センターの開設はその一環の動き。設置期間は2020年4月1日~2025年3月31日の5年間とされているが、5年間にどのような成果を生み出すか、注目される。
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