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日鐵ドラム株式会社

狙 い ── 専用プリンタと事前印刷帳票の廃止によるコスト削減
手 法 ── 「PaplesⅢ」によるレーザープリンタへの出力と電子帳票化
今 後 ── 領収書の電子データ化による印紙税の削減と帳票サーバーのクラウド化による災害対策

本社・支社・工場で
専用プリンタを導入

日鐵ドラムは、ドラム缶の製造・販売で業界2位の国内シェアを誇る。唯一、日本全国の主要な石油化学工業地帯の全て(京葉・川崎・中部・関西・水島)に製造工場を擁し、効率的生産体制と短納期を実現。品質の高さや柔軟な受注・生産・輸送体制、薄手ドラムなど新ドラム缶の開発も加わって、競争力の強化と強靭な企業体質の確立に取り組んできた。

また洗浄して繰り返し使用し、最終的にはスクラップにして鉄の原料として再利用できるリサイクル性は、環境保護の観点でも昨今、注目を集めている。

同社は1990年代にAS/400を導入し、生産・販売・購買・固定資産・財務会計・給与・原価・労働保険などの基幹系システムを運用してきた。

東日本大震災以降は災害対策を見直し、2011年7月に本番機をPower 720 Express(8202-E4B)へ更新するとともに、バックアップ機としてもう1台のPower 720を導入。東京本社と大阪支店の間で二重化体制を構築している。

そんな同社が印刷基盤の改築に取り組み始めたのは、2004年に遡る。当時、本社にはラインプリンタを1台、工場や支社にはドットプリンタを各2台、合計20台近くを導入し、請求書や納品報告書などの基幹系帳票を印刷していた。

こうした専用プリンタを廃止し、すでに多数導入されていたレーザープリンタからダイレクトに出力できないかとの検討が浮上した。狙いは、コスト削減と文書管理の効率化である。

専用プリンタのリース料金や保守料の減額、事前印刷帳票からカット紙への移行によりコスト削減を実現する。同時に電子帳票の導入で、紙による保管スペースや管理作業を解消し、データ加工の柔軟性を広げようと考えたのである。

2005年に予定されていたe-文書法への対応も視野に入っていたという。

システム部門の役割を担う営業本部営業総括部では、これらの要件を実現するソリューション製品として、統合電子帳票システム「PaplesⅢ」(日鉄日立システムエンジニアリング)を採用した。

同社が求めていたのは、IBM iのスプールデータのオープン系プリンタへの出力と、電子帳票機能の双方を備えること。PaplesⅢがこの要件を満たすのに加え、IBM iとの親和性の高さや導入実績を評価した結果の採用であった。

大田 功次 氏 参与 営業本部営業総括部 部長
大田 功次 氏
参与 営業本部営業総括部 部長

20種類の帳票を
段階的に移行・電子化

導入は2004年9月。同社では、複写用紙の事前印刷帳票に出力する請求書や納品書を含め、約20種類の帳票を専用プリンタで出力していた。これらをレーザープリンタで出力するには、IBM i側での若干のプログラム修正と、帳票フォームの設計が必要になる。

同社で情報システムを担当する営業総括部の大田功次部長は、自身の手で帳票フォームを作成する一方、プログラム修正は外部へ依頼。最初の帳票である受注日報を皮切りに、2004年4月から2009年10月までの約5年半をかけて、段階的に20種類の帳票を電子帳票化およびレーザープリンタへ移行した。

これにより工場では出荷帳票の移行を最後にドットプリンタを撤去。また支店では、2009年10月にドットプリンタを撤去。本社でも同様のタイミングでラインプリンタの利用を停止した。

「レーザープリンタへの印刷に際して、今までのB4サイズからA4へ縮小するので、見づらいのではないかと懸念しました。導入前はそれを嫌がる声もありましたが、レーザープリンタの方が文字が鮮明なこともあり、ユーザーはすぐに新しい印刷環境に慣れ、懸念は杞憂に終わりました」(大田氏)

ただし本社には給与・賞与明細を印刷するため、1台だけ小型のドットプリンタを残している。

「 給与明細や賞与明細は、どうしても紙で受け取りたいという意見が多く、これだけは廃止できませんでした」(大田氏)

しかし大多数の専用プリンタと事前印刷帳票の廃止で、狙い通りのコスト削減効果を得たことは間違いない。大田氏はPaplesⅢによる印刷基盤の刷新により、さらに2つの課題解決を検討している。

1つは領収書の電子データ化による印紙税の削減。直接的なコスト削減が図れることから、PaplesⅢの導入以降、領収書の電子データ化に向けて客先との調整を進めてきたが、営業総括部の担当者が異動になったこともあり、途中で作業が中断した。そこで電子化した領収書のメール送付や、最新バージョンである「PaplesWeb」などを利用した電子データの開示など、実現手法の検討を含めた作業を早急に再開したいと考えている。

そしてもう1つは、災害対策を見直す過程で浮上した帳票サーバーのBCP対策である。現在、IBM iは二重化されているが、PaplesⅢが搭載されたPCサーバーは本社のみ。本社の被災や停電時は、帳票印刷業務を停止せざるを得ない。

そこで大田氏はクラウドサービスの利用で、帳票サーバーの安全性を確保したいと考えている。こちらも早急に検討をスタートさせる。帳票環境のさらなる強化に向けて、さらに一歩を踏み出すことになるようだ。

 

COMPANY PROFILE

設立:1934年
本社:東京都江東区
資本金:16億5400万円
売上高:213億円(2010年度)
従業員数:199名(2011年3月)
http://www.drum.co.jp/

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