IBMで、Watson・Db2・Cognos・QRadar・CloudPaksなどの製品事業のトップに立つボブ・トーマス氏(Robert Thomas、IBM Cloud and Data Platform担当上級副社長)が、米メディア「VentureBeat」のインタビューを受け、IBMのAI事業の状況について話をしている。
トーマス氏は1999年のIBM入社で、テクノロジー/戦略関連のコンサルティング、ソフトウェアおよびシステム開発、データ分析ソフトウェア担当などの経歴をもつ。『Big Data Revolution』(2015年)、『The End of Tech Companies』(2016年)、『The AI Ladder』(2020年)という3冊の著書をもつ論客でもあり、個人でサイト(https://www.robdthomas.com/)を開設し、ブログの発信も行っている。
インタビューの冒頭でトーマス氏は、新型コロナの感染拡大の初期から90日間で100社近くがWatson Assistantを導入し本番利用へと進んだ、と話す。そしてWatson Assistantの代表的なユースケースは下記の5つで、これらで「Watson Assistant活用の80%を占める」という。
・顧客サービス
・財務計画・予算管理
・データサイエンス
・コンプライアンス
・AI Ops(AI活用の運用)
またトーマス氏は、IBMがAI事業をスタートさせるにあたって注目したのは、「自然言語処理(NLP)」「自動化」「信頼性」の3つの分野だったとも振り返る。そして、AIをエッジで利用しようという最近の動きについて、次のように語る。
「AIをデータのあるところで利用するのは必然だと思います。分析やAI、機械学習(ML)などをエッジで行うことは、長期的なトレンドになると考えています」
IBMではこの動向を踏まえて、今年1月に、IBMソフトウェア事業部門の中にSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)とエッジに特化した部門を立ち上げた。
AI市場の動向についてトーマス氏は、次の3点を指摘する。
・分散化
・自動化
・データ活用
そして、これらの動向に対してIBMは、「オープンソース」「エコシステム」「共創」への投資を続けていると述べる。
「すべての製品・サービスをオープンソースをベースに構築するという移行に伴って(IBMに)起きた最大の変化の1つは、ビジネスの半分をパートナーの成功に委ねるというものです。最高のイノベーションはすべてIBMから生まれる必要はありません。オープンソースの観点から同じような理念を持つパートナーと協力できるのであれば、IBMではそれを実行しています」
そのほか、競合他社への言及などもある。
VentureBeat記事(Michael Vizard氏執筆):IBM’s Rob Thomas details key AI trends in shift to hybrid cloud
[i Magazine・IS magazine]