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Valence App Builder ~直観操作とウィザードをベースに IBM iのノーコード開発を実現

データベースと画面部品を
関連づけて直観的に配置する

 

 ミガロ.の提供するValenceシリーズに、ローコード/ノーコード対応の超高速開発ツールが登場した。20188月にリリースされた「Valence App Builder」である。

Valence App Builder」は、IBM iの業務アプリケーションをノンプログラミングで作成する開発ツールである。直観的なビジュアル操作が可能なウィザード画面を使用し、データベースとグラフやグリッドといった画面部品を関連づけて配置する独自の開発手法を採用。コーディングすることなく、基幹業務に必要な入力・更新・照会系のWebアプリケーションを迅速に作成する、いわゆる「ノーコード開発」を実現する。

「またIBM iの既存アプリケーションとの連携やユーザーインターフェースの独自要件などに対応する場合は、開発量を最小限に抑えたRPGのコーディングを柔軟に追加できます」と語るのは、RAD事業部 技術支援課の吉原泰介課長である。

吉原 泰介氏
RAD事業部 技術支援課
課長

 

 ビジュアル宣言的な手法、アプリケーション構成要素の配置、柔軟なコーディングの追加など、昨今注目される「ローコード開発プラットフォーム」の要件を十分に満たした新しい開発ツールと言えるだろう。

 

3ステップで進める
IBM iの超高速開発

 

 Valence App Builder」を特徴づけるローコード開発は、ウィザードをベースにした3つのステップで実現する(図表1)。

図表1 3つの開発ステップ

 

 すなわち、「データソースの作成」「ウィジェットの作成」「アプリケーションの作成」の3つである。以下に、各ステップの実行内容を紹介しよう。

①データソースの作成

 アプリケーションで利用するデータ元となるファイルを選択する。受注ファイルや得意先マスタ、商品マスタなど、複数ファイルを選択できる。それらの結合条件を指定し、必要な表示項目や抽出条件、並び順などを登録する。これらの操作はデータソース作成ウィザードに従って進める。

 このほか、IBM i上にある既存のクエリー定義などを使用したり、SQL ServerMySQLなどオープン系のリモートデータベースを参照することも可能である。

②ウィジェットの作成

 上記のデータソースをもとに、データを表示・編集する部品を「ウィジェット」と呼ぶ。ここでは、アプリケーションの画面作成に必要なウィジェットを選択し、設定する。

 ウィジェットは現在、「データ表示」「データ編集」「チャート」「ダッシュボード」「地図」の5カテゴリで合計12種類が用意されており、今後も拡張される予定である(図表2)。

図表2 12種類のウィジェット

 

 たとえばデータ表示ウィジェットには、データを一覧表示する「グリッド(表)」や「ピボットグリッド」がある。これらを使えば、Excelのようにデータを一覧表示したり、データの並び順や絞り込み条件の指定、クロス集計などを定義できる(図表3)。

図表3 一覧表示と円/棒グラフの表示

 

 またダッシュボードウィジェットには、円や折れ線、棒、面などのグラフを表示する「チャートウィジェット」や、進捗状況などをメーター形式で表示する「ゲートチャート」、金額や割合を数字で表示する「シングルKPI」などが用意されている(図表4)。地図ウィジェットを使えば、データソースにある住所をもとにGoogleマップを表示する。

図表4 ゲートチャートとシングルKPI

 

 ユーザーがこれらのウィジェットを見れば、自社で実現したいと考えている業務での活用イメージが喚起されるだろう。

③アプリケーションの作成

 作成したウィジェットを画面に配置して、アプリケーションを完成させる。実際には、1つの画面に複数のウィジェットを配置していくことが多い。相互の連携方法や、行をクリックしたときのアクション(処理)など、アプリケーションの動作を設定する。

 作成したアプリケーションはPCのブラウザだけでなく、スマートフォンなどのモバイル端末でも実行できる。端末に応じて自動的に画面サイズが調整されるので、実行するデバイスごとに別途アプリケーションを開発する必要はない。

 標準装備のウィジェットで実現できない業務ロジックの要件がある場合、たとえば項目相関関係など独自ルールに基づくエラーチェックや採番処理、受注ファイル更新時に在庫ファイルも同時更新するといったトランザクション処理を実現する際は、RPGによるコーディングと追加実装が可能である。

「この場合は、フリーフォーマットRPGFF RPG)を使用しますが、FF RPGで記述するのは、Valence App Builderの画面項目とやり取りするAPI部分の数行のみです。あとは使い慣れたRPGⅢの固定フォーマット形式で記述していただけます」と、RAD事業部 技術支援課の國元祐二主任は指摘する。

 

國元 祐二氏
RAD事業部 技術支援課
主任

Valence App Builder」は、ビジュアル操作が可能なIBM iの運用管理ツール群である「Valenceユーティリティ」とセットで提供されている。IBM iのみで稼働し、PCサーバーなどを別途導入する必要はない。

 

株式会社ミガロ. Valence App Builder

 

[i Magazine 2018 Autumn掲載]