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エンジニアが実践する情報活用 ~フォロワーから得られる情報を深掘りし、体験をとおして「情報」を「知見」に変える|西村 元一氏@日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング

Twitterを起点に
情報を追いかける

 日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリングのエマージング・テクノロジー部門でIoTを担当する西村元一氏は、情報収集について、「仕事関係の情報は仕事の中で自然と集まってくるので、ふだんチェックするのは仕事以外の情報になります」と話す。
 
 西村氏が情報収集のツールとして最も活用しているのは、Twitterである。毎朝、片道約2時間の通勤電車に乗るとすぐにTwitterにアクセスし、タイムラインを流れるフォロー中の人のツイートを眺める。その中で興味を引いたツイートのリンクをたどって情報を読んだり、あるいはリツイートしている人のツイートへ飛んで、気になる情報を次から次へと追いかけるのがいつものパターンである。
 
 フォローする対象は、知人や仕事仲間に加えて、社外のコミュニティで知り合ったエンジニアやIT業界をリードする著名人が多い。「フォローしている人は確かな知見や技術をもっているので、その方々から得られる情報を深掘りしていくことによって身になる知識がついていくと考えています」。Twitterは仕事中に眺めていることも多く、「ほぼ常時、チェックしています」という。
 
 Twitterで興味を引いたツイートは、「Pocket」に保存していく。手軽に保存でき必要な時にすぐに参照できるので、3年前から利用してきた。「Googleアラート」もよくチェックするが、そこで気になったコンテンツもPocketに入れる。ただし、Pocketへの保存は「一時的な保管くらいの感覚」で、必要になった時にしか見返さない。
 
 1次的な情報収集としてはこのほか、日本経済新聞と日経産業新聞に目をとおし、ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を視聴している。「新聞やテレビ番組の情報量は驚くほど多く、重要な情報ソースです」と西村氏は言う。
 
 

よいと思った人の
真似をする

 一方、キャッチした情報は、「体験して掘り下げる」のが西村氏のやり方である。西村氏は、「まずやってみる、その場に出向く、プログラムならば実際に動かしてみることが重要だと思っています。実際に手や体を動かして確認するほうが、ドキュメントを読んだり頭で理解するより何倍も速いと実感しています」と述べる。現在、この「体験」の1つとして、IBMの技術者コミュニティ「ITLMC」(IBM Technical Leadership Master Course)のワーキンググループ「デザイン・シンキング」に参加して、3Dプリンターを使ったモノ作り(デジタル・ファブリケーション)に奮闘中である。
 
 また、そうした「体験」を実践する際、「よいと思った人の真似をする」のが西村流である。コーディングならば、完成されたプログラムをよく読んで真似をする。そのためソースコードが多数公開されているGitHubは、頻繁にアクセスするサイトの1つである。「自己流はよいものを生まないという考えです。先人が書いたプログラムを詳しく読み、それを参考にコーディングすると、先人のすごさが見えてきたりします」(西村氏)
 
 
 
 情報発信に関しては、共通のテーマをもつ人と「Slack」で日常的にやり取りし、気づいたことを発信している。Twitterを使うこともあるが、「蓄積していることの10分の1もアウトプットできていないと自覚しています。頭の中にため込んでいるものを整理してダンプアウトしないと次が入ってこないので、情報発信が今の課題です」と言う。
 
 そうした中、昨年からQiitaへの投稿を始めた。まだ本数は多くないが、今年4月に投稿した記事に対して未知の人からコメントがあり、新鮮な体験をしたことを、次のように語る。
 
「Qiitaは投稿すると誰かが必ず見ていて、思いも寄らない反応があったりします。Qiita上でやり取りすると、一人で勉強している時より、不明なことを調べたり理解するスピードが圧倒的に速いので、これからはもっと積極的に投稿していこうと思っています」
 
 

西村 元一氏

日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社
エマージング・テクノロジー
ITスペシャリスト
 

エンジニア歴:8年

 

[IS magazine No.12(2016年7月)掲載]

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