IBM i におけるジョブやシステム・タスクのログには、メッセージと呼ばれる通信文が含まれる。メッセージは通常7桁のメッセージIDとそれに伴ったテキスト部分から成り立っており、主にそれらが集積されて各種ログを形成している。
ログ出力のメカニズムは基本的にはIBM i OSに組み込まれており、ユーザーがとくに作り込む必要はない。OSやジョブに対して設定を施すことで、有用で多様なログを活用でき、ユーザーにとって運用しやすいシステム構築が可能になっている。
また、WebSphere Application Serverなどのオープン系と共通のミドルウェアでは、オープン系と共通のログを出力するのが標準である。図表1に、代表的なIBM iのログ出力をまとめた。

以下に、IBM i OSの出力する代表的なログについて説明する。
ジョブ・ログ
IBM i 上で実行されるすべてのジョブには、その活動を記録するジョブ・ログがある(図表2)。

とくに、問題を分析するための手がかりとして非常に重要なジョブ・ログには、以下の情報が含まれる。
・ジョブで使用したコマンド
・CLプログラム内のコマンド
・そのジョブに関連したすべてのメッセージ
ジョブ・ログの内容が膨大になるのを避けるため、ジョブ記述やジョブ属性により情報量を制御することが可能になっている。
ジョブ・ログ内の個別のログであるメッセージに関しては、ユーザーアプリケーションから意図的に出力して処理経過の記録の代わりにもできる。また処理の結果、不測の事態が発生したことをシステムが通知するメッセージも含まれる。
とくに後者については、ジョブの異常終了の原因を追究するうえで非常に有益な情報になり得るので、一定期間保管しておくことが推奨される。
ヒストリー・ログ
ヒストリー・ログには、システム操作およびシステム状況に関する情報が含まれる(図表3)。

ジョブの開始と終了、システム・オペレーター・メッセージ、セキュリティ違反など、システム全体の活動が記録され、システム提供のファイルに保管される。
ヒストリー・ログを活用することで、問題の分析に役立つ特定のシステム活動をモニターすることが可能になる。
ヒストリー・ログはジョブ・ログとは異なる。ジョブ・ログは、ジョブにおけるイベントを順次記録するためのものであり、 ヒストリー・ログは、システム内のすべてのジョブに関連した特定の操作メッセージおよび状況メッセージを記録するためのものである。
システム上の問題を調査する際、まずヒストリー・ログを確認したあと、 特定のジョブ・ログで詳細を参照するという流れが一般的である。
問題ログ
問題ログには、システム上で発生したハードウェアやソフトウェアのエラーのリストが含まれている。とくにハードウェアの動作異常や警告に関して、過去に発生した内容も含めて情報を一括で収集する際に活用する。

著者
佐々木 幹雄氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
IBM Power テクニカルセールス
[i Magazine 2024 Winter号掲載]