運用から保守・改修まで
オールインワン・サポート
福岡情報ビジネスセンター(以下、FBI)は、同社のクラウドセンター「Powerクラウドセンター」を九州電力傘下のQTnetが博多駅近くに開設した「QTnet 福岡第3データセンター」へ移設し、サービスを開始している。
旧クラウドセンターで運用してきたユーザーのシステムは順次移行する予定で、一部は既に新センターでの運用が始まっている。
FBIの武藤元美 代表取締役は、「QTnet 福岡第3データセンターは、データセンターとして最高水準(JDCC Tier4準拠)のファシリティを備えているので、お客様により大きな安心と安全をお届けできます。それに加えて、東京のアクセスポイントを介してIBM Cloudなどにダイレクトにつながるので、これまで以上に多種多様なサービスのご提供が可能になります。当社のPowerクラウドサービスのパワーアップを図るためにセンターの移設を決めました」と、移転の狙いを説明する。
同社の「Powerクラウドサービス」は、ユーザーが抱える悩みや困難をトータルに解決する“オールインワン・サポート”が特徴である。
IBM iユーザーの多くは今、システム要員の不足や運用負荷の増大という問題に直面している。そして、少なくない数のユーザーが、IBM iシステムの継続に強い懸念と不安を抱いている。
Powerクラウドサービスは、そうした課題をもつIBM iユーザー向けのサービスで、システム基盤の提供だけにとどまらず、日々の運用から業務アプリケーションの保守・改修までを対象とするサービスである。
言うなれば、「マネージドサービス」の範疇に含まれるサービスだが、一般的なマネージドサービスの範囲を大きく超えている点が、Powerクラウドサービスの特徴だ。
そして、業務アプリケーションの保守・改修は、1998年の会社設立以来、業務システム開発とシステム・インテグレーションを主力のビジネスとし、多数のIBM i技術者とオープン系技術者を擁する同社が得意とする分野でもある。
また料金設定も大きな特徴で、最新のPower Systems S914(IBM i 7.4)を月額14万円から利用できる(1000CPW、メモリ8GB、ディスク100GB)。この料金設定は業界最安料金のレンジに属する。
Cloud & Service事業部の惣川義則事業部長は、「さまざまな問題を抱えるお客様が、すぐにご利用になれる料金設定としています。システムに関わる問題・課題の解決は、基盤からアプリケーションまで当社にお任せいただき、お客様は本業に専念していただくのが当社の考えです」と述べる。
マルチクラウド接続も
ダイレクトに可能
FBIは、IBM iをベースとしながら、オープン系の技術やクラウド、AIなどの先進技術に積極的に取り組み、それらを企業システムの高度化やユーザー企業の業容拡大に活かしてきたことでも知られる。
最近では、AIに最適化されたPower Systems AC922を導入し、AI・ディープラーニングの活用をユーザー企業に提案中である。
そうしたなかで、PowerクラウドセンターのQTnet 福岡第3データセンターへの移設は「きわめて大きな意味をもちます」と、武藤氏は次のように話す。
「QTnet 福岡第3データセンターは、東京のアット東京にアクセスポイントをもち、福岡と東京間を20Gbpsの専用線で結んでいます。アット東京と言えば、IBM Cloudのセンターの1つ。つまり、QTnetの『IBM Cloud接続サービス』を使うと、PowerクラウドサービスをIBM Cloudにダイレクトに高速接続できるのです。
これによって、Powerクラウドサービス上でIBM Cloudのさまざまなサービスが透過的に利用でき、お客様システムのソリューションの幅と可能性が格段に広がります。Powerクラウドサービスの可能性も大きく広がりました」
同社はこの5月に、「クラウド&DX時代に必要なITソリューションを紹介する情報サイト」と銘打つWebサイト「SaaS Bank」を開設した(https://saasbank.jp/)。
「DXの推進が求められ、ビジネスモデルの転換さえも多くの企業で避け得ない現在、ITの使い方も抜本的に変えていく必要があります。これからは、これまで以上にクラウドサービスの活用を進め、それとお客様企業で培ってきた技術・ソフトウェアをダイナミックにミックスさせて、スピーディにソリューションをリリースすることが必要です。
そのためには、“本当に役立つ”クラウドサービスやソフトウェアを選定し、お客様やベンダーが簡単に利用できるようにしたいと考えました」と、武藤氏はサイト開設の利用を話す。
QTnetからはIBM Cloudだけでなく、AWSやAzure、GCP(Google Cloud Platform)へもダイレクト接続が可能である。
これまでさまざまな技術に取り組んできたFBIのPowerクラウドサービスは、今後本格的に台頭するであろう「マルチクラウド」「ハイブリッド・マルチクラウド」を提供する場としても発展が期待される。
Powerクラウドセンター
●提供環境・サービス
ラック:共有(専用ラック指定も可能)
サーバー:共有(専用サーバー指定も可能)
データバックアップ運用支援:オプション
ヘルプデスク(アプリケーションを除く):◎
ハードウェア障害対応:◎
死活監視(PING):◎
●サーバー環境
モデル:Power System S914
OS:IBM i 7.4
CPU:1000CPW
メモリ:8GB
ディスク:100GB
通信:LAN:4ポート (V.24なし)
●利用可能ライセンス
多機能印刷:◎
Query:◎
SQL:◎
ADTS:1
ILE:1
Heritage:1
[i Magazine 2020 Summer掲載]