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事例|生活協同組合連合会グリーンコープ連合 ~IT経験のない30代・40代の職員を、ゼロからRPG開発者に育てる

全員がRPGⅢとⅣを習得し
開発と運用をローテーション

i Magazine(以下、i Mag) IBM iを使い始めたのは、いつからですか。

亀田 グリーンコープ連合が発足した1988年から利用しています。運用しているのは組合員管理、出資管理、商品管理や受発注管理、商品仕分管理などの各システムです。いずれもRPGで独自開発し、改修を重ねながら今も使い続けています。情報システム部は12名体制です。本部長の私と、部長の高橋を除くと10名ですが、一般のシステム部門に見られるように企画、開発、運用の業務をそれぞれ分担するのではなく、RPGの開発スキルを身に付けたうえで、全員がシフト制で開発・運用を担当しています。RPGによる基幹システムのメンテナンスや新規事業に伴う新たなシステム開発はすべて自社内で担う一方、Web系の開発は外部ベンダーに委託しています。

亀田 親男氏 
情報システム本部 本部長

i Mag 基本的な開発スキルはRPGですか。

亀田 そうです。私たちは導入当初から、少なくとも基幹システムは自分たちで開発し、求められる改修・改良も外部に頼らず、自分たちの手で行っていくという内製主義を掲げてきました。今もシステムの改修やデータ分析出力などを含めると、毎週10件程度の対応案件がありますが、すべて社内で対応しています。
 それを継続していくために、RPGⅢはもちろん、ほぼ全員がRPGⅣのスキルを身に付けています。2014年の消費税率8%に伴うシステム対応の際、計算ロジックを部品化したことを契機に、以降のプログラム開発にはRPGⅣを使うように切り替えました。忙しさに追われていると、つい使い慣れたⅢで書いてしまうこともあるのですが、意識的に開発スキルをⅣへ切り替えるよう努力しています。
 現在はOSが7.2なので、フリーフォームRPG(FF RPG)をすぐには使えないのですが、今後環境が整えば、FF RPGも利用しようと考えています。

RPGとLongRangeで
新たな領域の自社開発力を獲得

i Mag RPG以外の開発言語やツールを検討したことはありますか。

高橋 「この先、RPGだけでよいのか」という疑問があるのも確かで、我々もJavaやPHPを学習していた時期がありました。しかし本格的に開発するレベルにはなかなか至りませんでしたね。日常業務に追われて、まとまった勉強時間を確保するのは難しかったからです。そんな風に悩んでいたところ、2016年初頭になって、物流センターの入荷検品システムの再構築プロジェクトが立ち上がりました。それまでは専用ハンディターミナルを使っていたのですが、コスト面や今後の拡張性について検討した結果、スマートデバイスの導入が決まり、ネイティブ型のモバイルアプリを開発するツールとして新たに採用したのが、「LongRange」(ランサ・ジャパン)でした。

高橋伸浩氏
情報システム本部 情報システム部 部長

亀田 LongRangeであれば、RPGを使ってモバイルアプリを開発できるので、今までのスキルの延長線上で実現できるのに加え、Webやモバイルという新たな領域で自社開発スキルを蓄積できると考えたのです。頻繁な改修依頼をいちいち外部ベンダーに委託する必要がない点も、今までの内製主義に沿った構築が可能になるとの期待がありました。

高橋 最初は4名がLongRangeの操作トレーニングを受講し、実際の開発はランサ・ジャパンのオンサイトトレーニングを受けながら、当社の開発者1名で進めました。5カ所ある物流センターの1つで、2017年春にRPGとLongRangeを使った新たな入荷検品システムが本稼働する予定です。RPGと同様に、最終的には全員がLongRangeを学習し、少なくともコーディング内容を理解したり、部分的な修正は全員が担当できるレベルにしたいと考えています。

RPG開発者は
今後も自前で育てていく

i Mag 情報システム部には、50代のシステム要員が多いようですね。

亀田 そのとおりです。毎年のように定年で退社する社員がおり、人員の補充と若返りは大きな課題です。当連合会では全体的に20代の職員は少なく、他の業務部門を経験してから情報システム部に配属されるのが普通です。ですからITの知識や経験をもたない30代・40代の職員に対して、コンピュータの基礎から教育し、RPGなどの言語を学習させていく必要があります。

高橋 配属が決まると、IBMユーザー研究会が提供しているeラーニングを受講したり、昔のEOLを教材にしたり、自社で作成したテキストを使って学習したりして、あとは周りのベテランがその都度、RPGの書き方を教えながら育てています。一般的にはRPG開発者は高齢化し、外部のベンダーからも供給が難しくなっていると言われますが、当連合会では少なくともRPG開発者は自前で育てていく方針です。

亀田 ITの素養をまったくもたない職員でも、一人前の開発者に育てられるのは、やはりRPGという優れた言語ゆえと考えています。私たちは今まで、IBM iからオープン系サーバーへの移行を考えたことは一度もありません。IBMがIBM iを提供している限り、IBM iを使っていきますし、IBM iを使っている限り、RPGでの開発を続けるつもりです。

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生活協同組合連合会 グリーンコープ連合

IBM i User Profile

運用歴:1988年導入
運用システム:組合員管理、出資管理、商品管理、受発注管理、商品仕分管理などの各システム
RPGのプログラム本数:約5000本
開発言語:RPG
開発ツール:LongRange
システム部門人員数:12名

構成
20代 0名
30代 1名
40代 3名
50代 8名

COMPANY PROFILE

本  社:福岡県福岡市
設  立:1988年
供給高計:558億円(2015年度)
組合員数:39万8529世帯(2015年度)
出資金総額:218億円(2015年度)
事業内容:消費生活協同組合法に基づき、食料品を中心とした購買事業と共済事業を展開

http://www.greencoop.or.jp/

[i Magazine 2017年 Spring (2017年3月)掲載]

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