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日本調理機 | 外部にRPG開発者がいないなら、社内で育てていけばよい

RPGとDelphi/400で
システムを100%内製

i Magazine(以下、i Mag) まずIBM iの運用歴とシステム内容を教えてください。

西山 当社はもともとIBMメインフレームのユーザーでした。最初にAS/400を導入したのは1993年、グループ子会社のシステムを運用するために、分散用のオフコンが必要になったからです。その後、AS/400の快適さや開発生産性を評価し、本社側も1996年にメインフレームからAS/400へ移行しました。当初は各拠点に導入していましたが、今は本社のPower Systemsに統合しています。

 運用しているのは販売管理、生産管理、営業支援の各システムです。経理システムは2012年に、Windows上で動く国産統合業務パッケージへ移行しました。人事・給与系システムもWindowsで運用しています。

西山 智康氏
代表取締役 副社長

i Mag 人員体制はどうですか。

西山 私は情報システム部の出身で、執行役員、取締役、そして2015年12月に代表取締役副社長に就任後も、一貫してシステムを管轄してきました。現在の情報システム部は5名体制です。40代の部長、それに30代が2名、20代が2名です。開発の業務量から見れば、なんとか4名でもやっていけると思いますが、当社は他部門への異動があるので、開発者が1人抜けて、次の開発者が育つまでの期間を切り抜けられるように5名体制にしています。

 全員がRPGでの開発スキルを備えています。過去の資産はRPGⅢですが、最近はすべてRPGⅣで開発するようにしています。また5年前に、GUI画面を開発するツールとして、「Delphi/400」(ミガロ.)を導入しました。5250画面では表現力に乏しく、とくに若い社員には違和感があるとの意見が多かったので、その解決策です。20代、30代の4名はRPGに加え、Delphi/400でも開発できます。主に画面と帳票、それに他システムとの連携部分に使用しています。

i Mag 今まで、IBM iの利用をやめようと考えたことはありますか。

西山 あります。ちょうど5年ほど前のことです。情報システム部としては使い続けたいと考えていましたが、当時の会社の意向として、オープン系サーバーに移行し、システム部門をもっとスリム化して、外部に開発を委託する、もしくはパッケージ製品を使う方向での検討がスタートしました。いろいろなベンダーに提案や見積を依頼しましたが、経営側が当初想定した予算をはるかに上回るコストが必要と判明し、移行を見送りました。ただそのとき、このまま使い続けるにしても、5250画面など既存システムの弱点を補う必要はあるとの判断からDelphi/400を導入し、システム人員も当時の4名から現在の5名へと増員しています。

外にRPG開発者がいないなら
中で育てる

i Mag 一般には、RPG開発者の減少が指摘されています。

西山 私はまったく不安に感じていません。自社の業務を熟知し、その強みをシステムに反映させるには、内製で開発するのが一番です。RPGであれば社内で開発者を育てられます。外で人が足りないなら、中で育てる。RPGはそれができる言語だと思います。現在は100%内製です。今後はWeb系の開発も増えますが、Delphi/400を使って、できるだけ社内で開発していくつもりです。開発量に応じて、部分的にプログラムを外注することはあっても、内製できる体制は今後も維持していきたいと考えています。

 当社は会社としての人事ローテーションがあり、情報システム部でITスキルを身に付けても、ITとは関係のない部署へ異動することもあります。プログラミング能力は語学と同じで、使わないと忘れます。せっかく習得した技術なので、コンプライアンスなどの問題をクリアできれば、異動した先でその部門の業務課題を解決すべくRPGやDelphi/400でプログラムを作成したり、情報システム部との開発の窓口になったり、ユーザー側で開発をアシストできるような人材を全部門に配置できればと思いますね。

i Mag 教育はどうしていますか。

西山 入社してすぐに情報システム部へ配属される場合もあれば、営業など他部門を経験してから異動するケースもありますが、いずれも以前に開発経験はなく、IT知識のない点では共通しています。教育としては、まず社内でよく行うシステム業務、たとえばPC端末の入れ替えやトラブルシューティングなどを先輩とともに担当させながら、コンピュータやネットワーク、業務の基礎知識を学ぶことから始めます。

 それと並行して、RPGⅣを学習します。最初にアイ・ラーニングなどが開催する外部の実習コースに参加し、ベテランに聞きながら、すぐに簡単なプログラム作成を始めます。ライブラリやファイルの構成といった知識を含め、RPGによる基本的なプログラミング方法を覚えたら、次にDelphi/400での開発方法を学習させます。RPGとDelphi/400のどちらを使えば効率よく、目的に合致した開発ができるかを判断する能力を身に付けることも重要です。

i Mag 今後、どのようなIT人材を育てていきたいですか。

西山 プログラムを作る能力は、業務でITをどう使っていくかの発想に大きく影響すると実感しているので、基本能力として身に付ける必要があります。ただ当社では、業務をいかに改革できるかという視点での人材育成を重視しています。私としては、できれば経営感覚を身に付けたIT人材、つまりたとえ労力が増えようとも、現状に満足せず、「常に変えていく、もっと改善する」と考える。言われるままではなく、それ以上を提案できる。ユーザーが気づいていない課題を気づかせられる。そんな人材の育成を目指しています。

i Mag 今後も継続的にIBM iを利用していく予定ですか。

西山 システムは生き物で、環境によって変化していきます。IBM iやRPGにこだわるつもりはなく、環境や業務に合わなくなれば、いつ変えてもよいと思います。ただIBM iは私が知る限り、基幹システムを運用する最高のプラットフォームです。またRPGはIT経験のない社員でも容易に習得できる、オープン系のJavaやPHPに比べてはるかに簡単で優れた言語です。当面は内製を軸に、この環境と体制を維持していきたいと考えています。

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日本調理機株式会社

IBM i User Profile

運用歴:1996年から
運用システム:販売管理、生産管理、営業支援の各システム
RPGのプログラム本数:約4700本
開発言語:RPG
開発ツール:Delphi/400
システム部門人員数:5名
構成
20代 2名
30代 2名
40代 1名
50代 0名

COMPANY PROFILE

本社:東京都大田区
設立:1947年
資本金:5億9760万円
売上高:165億3700万円
従業員数:509名
事業内容:厨房用機械器具、食品加工機械器具、一般機械器具等の製作・販売および輸出入業務など

http://www.nitcho.co.jp/

[i Magazine 2017年 Spring (2017年3月)掲載]

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