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事例|住商モンブラン株式会社 ~クエリ結果の自動メール配信と ExcelファイルのIFS出力機能を多用

本 社:大阪府大阪市
設 立:1950年
資本金:8000万円
売上高:123億円(2018年5月)
従業員数:128名
事業内容:白衣(医療・食品用)、サービスユニフォームをはじめ、作業服など、2次製品および各種織・編物素材の企画、生産、販売
http://scmb.montblanc-web.jp/
 
1950年に白衣メーカー向けの生地問屋としてスタートした。1970年からは「モンブラン」のブランド名で、飲食・医療業界向けユニフォーム分野にも進出。「モンブラン」の名称の由来は、ヨーロッパ・アルプス山脈の最高峰であるモンブランから。「気品と美しさを兼ね備えた名山のように、ユニフォームを通じて感動を与える存在でありたい」という同社は、現在、「環境配慮型商品」やSDGsを目標に掲げる。
 
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商品開発力、品質、即納を
データの活用により実現

 
 ローラアシュレイ、JUNKO KOSHINO、アシックス。前の2つは人気のファッション・ブランドであり、アシックスは言わずと知れたスポーツ用品のブランドだ。そしてこの3者に共通するのは、住商モンブランが製造・販売するメディカル・ユニフォームのブランドということである。
 
 住商モンブランは1950年の創業以来、白衣を中心とするユニフォーム分野において商品開発力と品質の高さで独自の地歩を築いてきた衣料品メーカーである。業績も好調で、今年5月期の決算では「過去最高業績になりそうだ」と、同社社長の長尾孝彦氏は繊維業界紙のインタビューに答えている。
 
 同社の特徴は、商品開発力と品質の高さに加えて「即納」である。同社では、注文を受けた当日に商品を発送するというビジネスを、過去30年以上にわたって続けている。2018年度の即納率は「98%」(長尾社長)というきわめて高い数字だ。
 
 そして、これら3つの特徴を可能にしているのは「当社のデータ活用に理由があります」と、総務部IT企画の横田昌宏課長は話す。
 

横田 昌宏氏
総務部 IT企画
課長
 
「ユニフォームは、お客様のビジネスにとって不可欠なものなので、注文があったら即座にお届けできるよう適正な在庫と物流の仕組みが必要です。また注文が集中する3?5月はとくに、需要予測や動向分析に基づく品揃えや新しい企画の商品が欠かせません。これらは過去の実績の分析から得られるもので、当社では26年前にIBM iを導入してから社員に対して積極的なデータ活用を奨励し、その基盤作りも継続して行ってきました」(横田氏)
 
 同社が最初に取り組んだのはQuery/400の利用である。社内に着実に広がり、ユーザーからコンスタントに開発依頼が寄せられたが、「システム担当者が定義したクエリを使ってユーザーがワークファイルを吐き出しても、ヘッダ部分の修正などをシステム担当者が行わざるを得ず、利用が進めば進むほど負荷が大きくなっていく」(横田氏)ことを懸念し、別のツール探しを開始。2013年に「CQEC(シークイック)」を導入した。
 
「CQECはExcelやCSVへのダウンロードが可能で、かつCL連携も行え、Query/400の定義もそのまま取り込めるというよくできたツールで、当社のユーザーの間で急速に利用が進みました」と、横田氏。現在、約600本のCQECベースのクエリプログラムが利用されている。
 
 しかし開発元がその後会社を解散し、機能拡張やIBM i(OS)の新バージョンへの対応が行えなくなったことから、再度、ツール探しが必要になった。
 
「CQECはWindows上で稼働する製品でしたが、運用工数を下げるために、次はIBM i上で稼働する製品を探しました」と、横田氏は説明する。
 
 白羽の矢が当たったのは、オムニサイエンスのPHPQUERYである。IBM i上で稼働すること、CQECとよく似たインターフェースと操作感をもつこと、年額のサービス契約であること、が採用の理由だった。2017年12月に導入し、すぐに利用を開始した。
 
 

改修のタイミングに合わせ
PHPQUERYへ移行

 
 同社では現在、CQECベース、Query/400ベース(一部)、PHPQUERYベースの3種類のクエリプログラムを併用している。
 
 その理由について横田氏は、「CQECが現在のOS環境(IBM i 7.2)でまだ使えるのと、CLで組み込まれているプログラムが多数あるのが大きな理由です。ただし、いずれはPHPQUERYに移行させなければならないので、今はQuery/400ベースのプログラムと同様、改修などのタイミングに合わせて移行させています。新しく開発要求があったものは、PHPQUERYで作成しています」と語る。現在、PHPQUERYで開発し稼働中のプログラムは50本。
 
 横田氏は、「PHPQUERYのメール配信機能とIFSフォルダへのExcelファイルのダウンロード機能がとくに便利で多用しています。これはCQECにはなかった機能で、メール配信では、メールへの添付か平文への貼り込みを利用でき、iPhoneなどでデータを確認する人にはありがたい機能です。また、IFSフォルダへのダウンロードは、CL連携からもPHPQUERYのスケジュール機能からも行え、いろいろな作り込みが可能で、さまざまな局面で業務の自動化が可能になったことが、とくに大きなメリットです」と感想を述べる。
 
 メール配信機能を使ったプログラムとしては、たとえば、当日の出荷実績データが各物流倉庫からEDI経由で基幹システムへ送られて売上計上されると、PHPQUERYのCL連携機能によって該当のPHPQUERYの設定が稼働し、その結果のデータファイルを添付し、かつメールの本文へも表を貼り込んで、役員などへ一斉メールを送信する、というものがある(図表)。
 
 
 
 また、IFSフォルダへのダウンロード機能を使ったプログラムには、ある時点の状況のデータをExcelに抽出し、所定のIFSフォルダへダウンロードして履歴として参照する、というものがある。クエリプログラムの稼働とダウンロードを自動実行するのは、PHPQUERYのスケジュール機能である。
 
 同社は2018年10月に電子帳票ソリューションの「Paples」(日鉄日立システムエンジニアリング)を導入し、基幹システムから出力される日次・週次・月次の各帳票を帳票作成プログラムを変更することなくイメージデータ化して自動保存する、という仕組みをスタートさせている。
 
「今後はPHPQUERYとPaplesを連携させ、帳票サイズの規格に合わないデータをPHPQUERYでCSV化し、それをPaplesで電子保存するような使い方を検討しています」と横田氏。同社のデータ活用は、まだ続いていきそうである。
 
 
[i Magazine 2019 Summer掲載]