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事例|リコーロジスティクス オープン系からIBM iへ回帰し、開発言語をRPG Ⅳへ統一

IBM iの開発環境にオープン系との親和性をもたせ
外部のオープン系開発者を積極的に投入

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IBM i User Profile

運用歴:システム/38時代から
運用システム:運送管理、貿易管理、倉庫管理の各システム
RPGのプログラム本数:未調査
開発言語:RPG
開発ツール:Biz/Browzer
システム部門人員数:24名
システム部門年代構成
20代:7名
30代:15名
40代:2名
50代:0名

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オープン系から
IBM iとRPGへ回帰する

i Magazine(以下、i Mag) 最初にシステムの運用状況を教えてください。

清水 当社は1980年代にシステム/38やAS/400で基幹システムを構築し、現在は3台のPower Systems上で運送管理、貿易管理、倉庫管理の各システムを運用しています。2005年ころからJavaによるWebアプリケーション開発が主流になり始め、それに応じて当社でも、「今後はRPGからJavaへ」と、オープン系言語を積極的に採用するようになりました。実際に、貿易管理システムなどはIBM iのRPGとオープン系のJavaが連携する仕組みを採用していますし、OracleとJavaを組み合わせたWindowsサーバーでサブシステムを多数構築したり、パッケージ製品を採用したりと、オープン系に対するさまざまな取り組みを進めました。

しかしJavaの開発者を社内で育成するのは難しく、システムの性能面でもレスポンスの問題や運用管理の煩雑さなど課題が多かったのも事実です。そこで2012年9月にスタートした「倉庫管理システム」の再構築に際して、IT環境全般を見直し、サーバー環境をIBM iへ統合し、開発言語をRPGⅣへ統一することを決定しました。さまざまな経験を重ねた結果、IBM iとRPGへ回帰したわけです。

i Mag 現在のシステム部門の体制と教育内容はどうなっていますか。

清水 物流ソリューション本部は、LT(物流技術)とIT(情報技術)で事業課題を解決する技術組織です。業務設計を担うLT推進部、実際にシステムを開発する情報システム部、そして本部運営を担当する事業管理部の3部門で構成されています。このうち情報システム部は総勢24名で、プロジェクト型開発を担当する広域システム課に10名、基幹システムの保守開発を担当する基幹システム課に7名、運用管理を担当する情報管理課に6名を配置しています。

年齢構成は20代が7名、30代が15名、40代が2名で、全員がRPGⅢとⅣのスキルを備えています。システム部門には特殊なITスキルが必要なので、他部門からの異動で人員を補充するのは難しいと考えています。そのため新入社員を配属させることが多く、若手のシステム要員の育成に力を入れています。

新入社員は一般の新人研修に加え、配属が決まるとITの基礎研修を受けます。当社はデバイスを問わず、ユーザー・インターフェースの開発に「Biz/Browzer」(オープンストリーム)を使っているので、まずBiz/Browzerの操作習得に1カ月。その後の3?4カ月で、IBM iの基礎および開発環境の理解、RPGⅣでの開発と開発パターンの学習、それに帳票作成ツールとして利用している「SVF」(ウイングアーク1st)の操作トレーニングを実施し、あとはOJTで覚えていきます。

本人の希望や適性を判断して配属を決めていますが、理工系の新卒社員もいれば、文系出身者もいて、バックグラウンドに関係なく活躍しています。

 

IBM iの開発環境に
オープン系との親和性をもたせる

i Mag 開発は内製を重視していますか。それともアウトソーシングしていますか。

清水 全員がRPGⅣで開発できますが、実際には一部の保守開発を除き、ほとんどの開発を外注しています。当社に最適なシステムを実現するには、内製が理想だとは思いますが、今は案件数が多いので、現実的には外部に委託しないと開発を進められません。長いお付き合いのパートナーが多いので、コミュニケーションが良好で、当社の業務内容をよく理解してもらっています。社内のシステム要員が担当するのと同じ感覚で外部委託しているので、「アウトソーシング型の内製主義」という言い方が近いかもしれません。

i Mag 今後の開発言語について、どのように考えていますか。

清水 社内的にはRPGメインの体制です。ただし、必ずしもRPGにこだわっているわけではありません。IBM iにも、Node.jsなど新しい言語やツールが登場しているので、使えそうだと判断できれば、今後は積極的に採用していくつもりです。ただその場合も、すべて開発を外部に委託し、システムがブラックボックス化するのは避けたいと考えています。

当社の社員がプログラミングスキルをもたず、ソースの内容も理解できないと、外部へ的確に指示できず、見積の妥当性も判断できません。そこで新しい言語やツールを採用する場合は、社内で少なくとも1?2名はソース内容や開発方法が理解できる人員を育てる必要があると考えています。

i Mag 今後、IBM iを使い続けるうえでの課題はありますか。

清水 外部ベンダーの状況を見る限り、RPG開発者の減少や高齢化が顕著になりつつあるのは確かですね。ただし対策は考えています。当社では2013年に、Eclipseベースの統合開発環境である「IBM Rational Developer for i」(以下、RDi)や、オープンソースのプロジェクト管理ソフトウェアである「Redmine」を採用するなど、IBM iに関しても、オープンの世界で標準とされている開発手法や開発環境に統一しました。これにより、外部ベンダーのオープン系開発者が感じるRPGへの違和感をかなり払拭することに成功しました。

JavaやPHPを使うオープン系の開発者は皆、RPGの利用を阻む最も大きな壁は言語自体の特性ではなく、エミュレータの存在であると指摘しています。そこでRDiの採用により、「脱エミュレータ」を図ることで、IBM iの開発人材を大きく広げられると感じています。

i Mag 脱エミュレータが、RPG開発者を育成する一案というわけですね。

清水 そうです。また既存ソースをRPGⅣへ変換することも計画しています。現在、新規の開発はRPG Ⅳを使用していますが、既存システムにはまだ多くのRPGⅢの資産が稼働しています。そこで改修頻度の高いプログラムを選び、ⅢからⅣへ変換していく予定です。フリーフォームのⅣはオープン系との親和性があるので、オープン系開発者がIBM iの開発・運用を担うことが可能になります。外部からRPG開発者の供給が難しくなったとしても、社内のIBM i環境にオープン系との親和性をもたせることで、こうした問題を解決できると考えています。

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COMPANY PROFILE

リコーロジスティクス株式会社

本社:東京都品川区
設立:1964年
資本金:4億4800万円(2016年3月末)
売上高:746億7900万円(連結)、611億2600万円(単体) (2016年3月期)
従業員数:3247名(連結)、1962名(単体)(2016年3月期)
事業内容:一般貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫業および保税上屋業、通関業、航空貨物運送取扱および港湾運送事業など
http://www.rlc.co.jp/

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清水 健一氏

物流ソリューション本部
情報システム部
次長

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i Magazine 2017 Spring(2月)掲載

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